40話~空side~
最近、輝くんの具合が悪いらしい…
体温は34度台とかなり低いし、脈も遅い…
今日は輝くんの所に行く日だ。
「輝くん、久しぶり。調子はどう?」
「なんかきついみたいでさ、目を開けてくれないんだよ…今日も体温低いし…」
「何度?」
「34.3…」かなり低いな…
頭も痛いだろう…
「輝くん、無理そうだったらいいけど、目を開けてくれるかな?」俺がそう言うと、輝くんはゆっくり目を開けてくれた。
その目は潤んでいて、少し充血していた。
「ありがとう。体温も低いからさ、体暖めような」そう言って輝くんの頭をなでた。
そのまま灯が輝くんを抱いて、ベッドに寝かせた。
灯は寝てしまった輝くんを心配そうに見つめていた。
「ひか…」
「灯、毛布は?」
「えっあっ毛布…」そう言いながら灯は部屋を出ようとした。
その足取りはふらふらしていて、顔は青ざめていた。
「灯!?大丈夫か?」そう言いながら俺が灯を支えると、
「ん…毛布」そう言いながら床に座り込んだ。
「俺が取りに行くから…どうした?具合悪かったの?」
「はぁはぁ…」
「立てるか?」そう言いながら灯に手を差し伸べると、灯は僕の手を取って立ち上がった。
ふらふらしていたから支えてあげて、リビングのソファーに寝かせた。
「ちょっと待って…輝くんに毛布持って行くから」そう言って僕は毛布を持って輝くんの部屋に行き、輝くんに毛布をかけた。
「輝くん、まだ寒いよね…暖まろうな」輝くんはすやすや眠っていて、可愛かった。
灯が輝くんにぞっこんなのも分かるな…
「灯、いつから具合悪かったの?」
「一昨日…でも僕よりひかのほうが辛そうだから、僕が見てあげないと…」
「灯…今日はもう寝な?輝くんは俺が見とくから…」
「嫌。ひかの部屋行く…」そう言いながら灯は体を起こした。
しかし、すぐにふらついて俺に倒れ込んできた。
「灯、無理するなって…」
その時、灯から本音がこぼれ落ちた…
「空…もう疲れたよ」
「灯…?」
「何で輝なんだ。何で神様は僕らばっかり苦しめるんだよ」
「……」俺は何にも言ってあげられなかった…
「もう嫌。もう疲れた…」
灯は、輝くんの具合が悪くなってから、あんまり寝ていないらしい。
寝ていないのに、仕事ではそんな素振りを見せなかった。
家ではずっと輝くんの面倒を見て…
「灯…そんなに頑張らないで。俺に頼って…」そう言って灯の頭をなでた。
「僕が頑張らないと。輝に笑顔を届けないと…でももう疲れちゃったんだ。僕は最低だな」
「灯は最低なんかじゃない。輝くんの最高の兄ちゃんだって…」
「空…嘘だ。だって僕は輝と居るの疲れたって言ったんだよ?最低だよ…」
灯は『看護疲れ』っていうのかな…
自分のことを責めて責めて…
辛そうだった…
「俺じゃない。輝くんが一番思ってるよ。灯のこと大好きなんだから…」
灯はしばらく輝くんの部屋を見つめていた。そして、
「ひかごめんな。最低な兄ちゃんでごめんな。でも…大好きだよ」灯はそう言いながら笑った。
「灯、今日はさ、ゆっくり休みな」
「うん。おやすみ」そう言って灯は夢の世界に入っていった。
それから、俺は暇さえあれば輝くんに会いに行った。
灯に合い鍵を貰ったからいつでも行けるし…
輝くんの体調はだんだん良くなっていった。
体温も35度台になったし…
俺らは安心した。
なのに安心してられない事態がおこった…
輝くんの容態が急変したのだ。
体温も一気に33度台まで下がった。
「輝くん、聞こえる?俺らいるからな。辛いだろうけど頑張って」俺はそう言いながら必死で輝くんを暖め続けた。
灯は呆然と立ち尽くしていた…
数日は危険な状態が続いた。
今は安定していて、俺も灯もほっとした。
あの時携帯を忘れなければ…
あの時道が混んでいなければ…
そう思ったらきりがない。
とにかく…




