37話
それから、僕らの新しい生活が始まった。
僕は働かないといけないから、ずっと輝についていることは出来ない…
だから、僕が仕事の時はヘルパーさんに輝の世話を頼んだ。
空は、月に二回輝の往診…ううん。僕の家に遊びに来る。
その時に、輝の様子を診てくれるらしい…
「ひ~か、今日は空が来てくれる日だね。よし、着替えような」そう言って僕は輝の服を着替えさせた。
こうやって、僕は毎日輝を着替えさせる。
動けない輝を着替えさせるのは至難の業だったが、輝は年頃の男の子。ずっとパジャマは嫌だろうからな…
「灯、輝くん、遊びに来たよ~」そう言って空は僕の家に来た。
やっぱり輝の手前、『往診』って言葉は使いたくなかった…
それは空も同じで、あえて使わないようにしている。
「ひ~か、リビング行こうな…」そう言って僕は輝を抱いて限界まで倒した車イスに寝かせて、リビングまで連れて行った。
輝のベッドは、輝の要望通り、僕が使っていたベッドだ。
何にも便利な機能がついていないから、毎回輝を乗せ替えないといけないから大変だけど、輝が喜んでいるから、仕方ない…というより、嬉しい♪
「輝くん、心臓の音聴かせてね…よし、大丈夫」
「灯~最近の体温と血圧は?」
「えっと…36度少しかな?血圧は少し低いけど…」
「うん。許容範囲…あっこれ!」そう言って、空は輝に桜の花束を手渡した。
「ひか、良かったね♪部屋飾っておくな」僕はそう言いながら、輝に手渡された花束を、受け取った。
「じゃあ輝くん、また再来週ね♪バイバーイ」そう言って空は輝の頭をなでた。




