33話
「ひ~か、おはよう」
「……」
輝は最近具合が悪いみたいで、僕が来ても目を瞑ったままだ。
時折目を開けて、『起きてるよー』ってアピールするのだが、その目は全く焦点が合ってなくて、虚ろに天井を見つめているだけだったから、
「輝、そんなに無理しなくても僕ずっと居るからね」そう言って輝の頭をなでであげた。
輝が具合悪そうなことを空に話したら、
「いつ呼吸困難になってもおかしくない」って怖いことを言われたから、僕は長期休暇を取って、一日中輝のそばに居ることにしている。
そして、あの日はやって来た。
僕は、何の反応も無い輝に、1人で話し続けていた。
輝が退屈しないように…
なのに、輝はいつの間にか眠っていたようで、心地よい寝息が聞こえてきた。
空によると、寝ている時ほど注意しないといけないそうなので、僕は輝の頭を規則正しくポンポンとしながら、片時もそばを離れなかった。
それはいきなりだった…
輝は一瞬息を荒げたと思ったら、目を見開いたまま、完全に停止した。
僕が慌てて確認すると、脈はあるのだが、息が出来てないようだった。
僕は無言で苦しんでいる輝を前に何も出来ず、ただ空を呼んで、待っていることしか出来なかった。
「灯、どうしたの?輝くん?」
「輝の様子が変なんだよ。多分息出来て無い…輝、輝…」
「灯、まず落ち着け。輝くんをICUに運ぶ。まずはそれからだ」
「うん…」空は、持って来たストレッチャーに輝を乗せて、ICUに運んだ。
輝は自分で『苦しい』ってアピール出来ないから、僕が居なかったら…と思うとぞっとする。
そして、やっと輝の容態は安定してきたらしく、ICUの中で、すやすやと眠っていた。
でも、3日たっても輝の目は覚めなかった…




