30話
あれから2週間たった。
輝に過呼吸がおこらなくなって、本当に良かった…凄く安心する。
やっぱり輝が苦しんでいる所見るの嫌だしね…
そして今日は母さんたちの命日だ。
去年まで、輝を車イスに乗せて2人で行っていたけど、今年は無理そうだな…
そう思いながらも、僕はいつものように輝の部屋に向かった。
「ひ~か、おはよーちゃんと眠れた?」
「うん…で今日はいつから行くの?」
「えっ」
「母さんたちのところに…」輝は行く気満々だった。
「輝、でもな…」
「嫌だ。行く!母さんたちに会いたい」
「ん…しょうがないな」僕は、輝の気持ちに負けて、連れて行くことにした。
いつ呼吸困難になってもおかしくないから、本当は嫌なんだけど…
僕は、輝を車イスに乗せて、背もたれを限界まで下げた。
寝ているときと同じくらいの状況だし、少しは楽かな…
僕らは、手配していたタクシーに乗り込んで、病院を後にした。
「じゃあまずお花屋さんいかないとな…すいません、近くの花屋までお願いします」
「はい。了解しました」
「ではお気をつけて…」
「あっまだ行くとこあるんで、待っててくださいますか?」
「良いですよ。じゃあお支払いはまとめて…」
「ありがとうございます」僕はそう言って、タクシーを降りた。




