86話
「俺も一緒だよ」
「じゃあいつ泣いた?俺を思っていつ泣いた?」
「んー…泣いてはっ」
「ほら俺のが蓮の事好きじゃん」
「泣いてはないけど会う度に我慢してた」
「……へっ?」
「俺は尚をいつも欲しがってた」
真剣な顔が嘘じゃない事を物語っている。
「じゃあ俺の事思って1人でやった事っ」
「当たり前じゃん」
俺と一緒だ。
「じゃあ俺が映画館でっ」
「あれは本当によくないから」
「なんで?」
「手を出したくても出せないし自己処理したくてもできないし気持ち抑えるの必死だしマジで生き地獄」
「…ぷっ!ごめん可愛くて!」
「尚は平気だったんだぁ〜って事は尚より俺の方が好きな気持ち大きんじゃない?」
「俺だって平気じゃっ」
「俺が止めなかったら尚やばかったもんな」
意地悪く笑う蓮に心を鷲掴みされた。
「今日泊まろうかな」
「明日学校だよ」
「でもっ」
「制服ないし今日は帰りなさい」
「別に明日くらい休んでもっ」
「だーめ」
想いが通じ合った日くらい別にサボってもよくない?
「でもやっぱ今日くらいっ」
「尚らしくない事言わないの」
「別にっ」
「俺の事を優先してくれるのは嬉しいけど俺のせいで尚の良さが失われるのは嫌だから」
「……………でもっ」
「俺は尚の傍にいつでもいるんだから」
もっとずっと一緒に居たい。
俺が蓮と一緒に居たいだけなんだよ。
「じゃあ晩御飯は食べて帰る」
「食材ないから買いに行かないと」
「じゃあ先に買い物行って後でゆっくりしよ」
「そうだね」
そのまま玄関を出て近くのスーパーに向かった。
買い物をしながらふと思う。
「制服取りに帰ればよくない?」
「んっ?なに?」
「制服無いなら取りに帰ればよくない?」
「………だからさっき話したよね」
「別に俺ん家から学校行っても蓮の家から行っても距離変わんないし制服があればよくない?」
自分でもビックリするくらい必死な俺。
逆に完全拒否な蓮。
本当に想いを確かめ合ったのか不安になってきた。
「俺ずっと起きてるよね?」
「えっ……大丈夫?」
夢?これリアルな夢でしたってオチ?
「体調悪い?」
「全然元気だけど1発殴ってみて」
「無理無理」
「じゃあデコピンしてみて」
「まぁそれなら」
パチンッ……
「痛っ!」
「そりゃそうだろ」
夢じゃないって事は伝えあったのも夢じゃない。
じゃあ何で蓮は完全拒否なの?




