3話
土日を挟んで月曜日を迎えた。
玄関を恐る恐る開ける。
「こんなに話さないの初めてだな」
蓮がいつも立っている場所に向かって声をかけてみたけど返事はない。
バカな自分に笑ってしまう。
拓哉と塁が待つ場所にも蓮の姿はない。
「お前らまだやってんの」
何も言えない。
蓮以外と話す気にもならない。
「蓮は先行くってよ」
「……そぅ…じゃ俺らも行こう」
拓哉と塁が顔を見合わせている。
もう俺にとってこの世界は灰色でしかない。
アイツの傍にいる事が俺の幸せであって人生なのにその立場すら失ってしまった。
隠さず聞けばよかった?言わなかっただけでこんな事になるなんて俺たちの仲ってそんなもんだったの?また泣いてしまいそうだ。
「気分悪いからやっぱ休む」
2人を残して家に戻る。
たまたま先週の金曜から両親は出張中。
家には1人。
「寝よう」
ベッドに潜り込んで眠りにつく。
「おい!大丈夫か!」
……………………蓮の声?
「尚!大丈夫か!」
徐々に目が覚めていく…………蓮?
「よかった……生きてた」
なんで蓮が目の前に?
今の状況が理解できない。
「死にそうな顔で家に帰ったって拓哉から連絡きて携帯鳴らしても出ないし家の呼び出し押しても返事ないし死んでんじゃないかって心配した」
酷く動揺した顔の蓮。
「…えっと……とりあえず元気です」
「風邪?熱は?吐き気は?」
「んー…大丈夫かな」
「貧血?腹痛?片頭痛?」
「あー……それも大丈夫です」
困った顔で俺を見ている。
「じゃあどこが悪いんだよ」
「お前がっ………なんでもない」
不思議そうな顔で俺を見る。
「なんでもない、俺は元気だからお前は学っ」
「あっ、そっかぁ」
なんとも言えない顔で俺を見ている。
「そっかそっか」
バレたような気がして急に恥ずかしくなった俺は掛け布団を顔にかけるがすぐ引っ張り取られた。
「可愛い」
「はっ!はあ!?」
「俺と話せなくて体調悪くなっちゃったか」
「違うし!」
「尚ちゃんは嘘が下手だよねぇ」
「だから違うって!」
目線を蓮に合わす。
やっぱ好きだ。
ずっと蓮の瞳の中に居たい。
声も憎たらしい笑顔も俺だけに向けてほしい。
「なーお」
「なっ…なんだよ」
「俺も傷ついたんだけど」
あの時の事を言っているに違いない。
「あれは…ただ話すタイミングじゃっ」
「隠し事されてるって…何か隠してるって思ったら距離感じた……でもあんな態度…ごめん」
「ごめん、隠し事とかじゃっ」
「言わなくて大丈夫だから」
このまま言わなかったら蓮を傷つけたままにしてしまう、友達として聞けばきっと大丈夫だよね。
「おっ、お前さぁ」
「うん」
「どっどんなアレがっ、アレなんだよ」
「…ん?え?なに?」
「だっ、だから……こっ恋バナ的な?やつ」
「………え?」
重苦しい沈黙が流れる。
「ぷっぷぷっぶはははは!」
見事に大爆笑する蓮と何気傷ついてる俺。
俺の横に寝転んで大爆笑する蓮と蓮がいなくなった天井を見て苦笑いをする俺。
ある意味泣きそうなんですけど。
「ごめんごめん!恋バナだっけ?」
「もういいよ」
「すねるなって!可愛すぎ!」
もうなんでもいいや。
蓮が俺の傍で笑っていてくれるなら。
蓮の笑顔を見ていられるなら。
「SかMかってら話?フェチ?経験的な?」
「はあ!?そんな話誰も聞いてねぇだろ!」
「じゃあ何が聞きたかったわけ?」
ちょっと待て!経験的なってなんだ!?
蓮の言葉にパニックな俺の頭。
「もういい!また今度にしよ」
冷静に冷静に冷静に冷静に冷静に!
「なんで?恋バナしよーよ」
「いやほら体調悪いし」
「元気じゃん」
聞きたいけど聞きたくない!
「じゃあ俺から質問、尚って彼女いないじゃん?いた事ないじゃん?好きな人の話とかもしないしあの子可愛いとかも言わないじゃん?」
「まぁ」
「好きなタイプは?」
ニコニコしながら俺を見ている。
「なんでそんなに楽しそうなんだよ」
「恋バナだよ?」
「お前たまに他の奴の恋愛相談とか受けてんじゃん?初めてじゃないわけだしそんなっ」
「尚との恋バナだよ?」
そりゃ蓮が好きだなんてバレるわけにいかないんだから恋バナなんてするわけないよな。
「尚の好きなタイプは?」
蓮を見ながら考える。
俺は蓮の何が好きなのか。
「唇がプルプル?食べたくなるような唇?」
「……なんか尚さんえっちぃ」
「なんでだよ!?」
「普通は性格がいいとか顔が可愛い系とか小柄な女の子とか芸能人だとって感じじゃん?」
「ふっ普通とか知らんし!」
「でも尚さんの言い方だと誰か思い浮かべてる感じがするんですけど……………もしかしてっ」
「誰もいねぇから!」
絶対バレてはいけない。




