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化け物と呼ばれた少女は、殺した少女と愛を知るお話!!  作者: ポルチーニアツオ
2章 静寂の楽園

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見えている側

第7話です。


今回は会話中心の回になります。


少しずつですが、この世界の“おかしさ”と、

それを理解している者とそうでない者の違いが見えてきます。


そして、3人の新たな関係が動き出します!


ぜひ最後まで読んでいただけたら嬉しいです!

 村の外れへ向かうにつれて、人の気配は少しずつ薄れていった。


 やがてヨルが立ち止まる。


 「ここだ」


 そこには崩れかけた建物がいくつか並び、壁は割れ、屋根は崩れたまま放置されている。家とは呼ばない家だった。


 「なにここ」


 思わず漏れた声に、ヨルは振り返らない。


 「悪くはないだろ、使われてないだけだ」


 短く言って奥へ進む。


 優実は少し躊躇いながらもその背中を追い、崩れた入口をくぐると中は思っていたより整っていた。外の荒れ方が嘘みたいに、最低限人が過ごせる形だけは残されている。


 「もしかしてここ、あんたの家?」


 「まあな」


 「へぇ〜」


 苦笑いをする優実を横目に、ヨルは淡々と答え、壁にもたれかかる。


 優実は周囲を見回しながら落ち着かない様子で立ち尽くす。


 「え、ちょっと待って、さっきからさ、色々ありすぎて全然整理できてないんだけど」


 ヨルがちらりと視線を向ける。


 「それで、聞きたいことがあるんだろ」


 「あるよ!!」


 即答だった。


 「まぁまぁ落ち着けって」


 「ありすぎるけど、とりあえず一個聞かせて」


 指を立てる。


 「ここ、なんなの?」


 少しの沈黙。


 ヨルは窓の外へ視線を向けると遠くでは、相変わらず同じ笑顔が並んでいた。


 「あれが普通だ」


 静かに落ちる言葉。


 「は?」


 優実の声が抜ける。


 「普通ってなにそれ」


 「そのままの意味だ」


 ヨルは続ける。


 「怒らない、悲しまない、疑問も持たない。それで成り立ってる」


 優実は一瞬言葉を失い、少し考えてから口を開く。


 「いやいや、おかしいでしょ」


 「おかしいと思うのは、お前だけだ」


 間を置かず返される。


 「えぇ……」


 思わず引いた声が漏れる。


 その流れのまま、ヨルの視線が貞美へ向く。


 「お前は」


 少しだけ間をおく。


 「見えてる側か」


 貞美は視線だけを向ける。


 「……別に」


 短い返答だが、その一言で何かを測るようにヨルの目がわずかに細まる。


 「え、なにそれ!?」


 優実が慌てて割り込む。


 「見えてる側ってなに!?」


 ヨルは視線を外す。


 「……お前にはまだ早い」


 少し鼻で笑うようにして優実をあしらうヨル。


 「いや教えてよ!?」


 食い気味に返す優実に、ヨルは軽く息を吐く。


 「……変だと思っただろ」


 ぽつりと落ちる声に、優実は少しだけ視線を落とす。


 さっきの光景が頭に浮かんだ。


 「うん、確かにやっぱ変だよここ」


 ヨルは頷きもせず、ただ淡々と続ける。


 「変わり始めると終わってしまう…全てが」


 「え?何それ?どゆこと」


 優実が顔を上げる。


 ヨルは少しだけ遠くを見る。


 「過去に一度見たことがあるんだ」


 たったのそれだけだった、決してそれ以上は語らない。


 「この村も、もう長くないかもな」


 「は?」


 優実の声が揺れる。


 「ちょっと待って、どういう意味」


 「そのままの意味だ」


 淡々と返すヨルの姿勢に、言葉が続かない優実。


 外から同じ笑い声だけが部屋に流れてくる。


 少しの沈黙を置いてヨルが口を開く。


 「……で、お前ら、行く当てはあるのか?」


 優実は少し考えてから


 「ない!!」


 正直に強く答える優実を見て、ヨルは小さく息を吐く。


 「そうか……なら勝手にしろ」


 突き放すようで、完全には拒まない声音。


 「え、いいの?めっちゃ助かる!」


 少し間をおいて


 「で……貞美は?これからどうするのよ」


 少し心配そうに聞く優実。


 ほんの少しだけ空いた間に、わずかに揺れた気配。


 「……ついて行く」


 それだけだった。


 理由は言わないし、表情も変わらない、それでも優実は小さく息を吐いて、


 「……そっか、じゃ貞美とは一度今度話さないとだね」


 少しだけ優実の肩の力が抜けた時だった。


 ぐぅぅ……


 静かな空間に、不釣り合いな音が鳴り響いた。


 優実が音の方へとゆっくりと視線を下げる。


 貞美はほんのわずかに視線を逸らし、どこか恥ずかしそうな感じで何も言わないまま少しだけ下を向いている。


 「…え」


 一瞬固まる。


 ヨルも無言でその二人の様子を見て、ふっと、ほんのわずかに笑った。


 「何だお前達、腹減ってんのか」


 優実が思わず吹き出す。


 「ちょっと!今のタイミング!?」


 空気が少しだけ緩み、さっきまでの重さが、少しだけ軽くなった。


 ヨルは壁から体を離し、


 「よっしゃ!じゃ食うか!」


 ヨルの楽しそうな言葉に


 「食べる!!」


 優実は即答し、横で貞美は小さく頷いた。


 「なんか貞美も可愛いとこあるじゃん」


 優実の嬉しそうな言葉には反応せず無視を通す。


 壊れた建物。


 静かな空間。


 遠くでは相変わらず同じ笑い声が続いていた。


 それでも、この場所だけは、ほんの少しだけ違っていた。


 “同じ世界のはずなのに“



 今回も読んでいただきありがとうございます!、

 どんどん更新していきますので新しいストーリを楽しみに待っていただけると嬉しいです!

 それでは次回をお楽しみに!


 高評価、ブックマーク、感想等バンバンお待ちしてます!

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