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化け物と呼ばれた少女は、殺した少女と愛を知るお話!!  作者: ポルチーニアツオ
3章 巨大樹の共和国

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明日は、作るもの

 温かな食卓で交わされる何気ない会話ですが、その裏にはこの世界の厳しい現実がありました。


 それでも、明日を待つのではなく、自分たちの手で作っていく。


 今回は、そんな小さな決意のお話です。


 是非楽しんで読んでください!

 「なんでアーカディアはここを攻めてこねぇんだ?」


 その瞬間、食卓が静まりかえると、そんな異質な空気が包む中、ガルドはゆっくり湯飲みを置く。


 「攻められんのだ」


 ガルドは続ける。


 「ここはノクス」


 「心を持ち生きていく者たちの最後の砦だ」


 リアナも小さく頷く。


 「調律官の皆さんに、エルドレア様がこの街を守ってくれてるものね」


 ノエルが続ける。


 「結界の維持もそうですし、樹蝕の抑制や各地の調査もありますし、あの人達は皆んな毎日休む暇もありません」


 ヨルは納得したように頷く。


 「となると、シエラさんもガルドもまた忙しいのか」


 ガルドは腕を組み


 「あの人は忙しい」


 それだけを話した。


 「なら尚更なんでアーカディアは攻めてこないんだ?」


 「違う、そうではない」


 その一言で空気が変わる。


 「奴らにも事情がある、それに今はエルドレア様の力で外部からこの世界は簡単に視認できないようにされている、だから今は攻め込めん」


 「その視認できないっていうのはどういう事なんだ?」


 ヨルの質問にガルドは続けた。


 「このノクスには大樹エルドレア様の力をお借りして特殊な結界がノクスを包むように敷かれている、それが本来外界からは見えないように隠してくれている」


 「でも待てよ」 


 一つ不可解な点に気づくヨル。


 「ならなんで俺達はこのノクスを見つけることができたんだ?」


 ガルドは少し考えると、その様子を話を聞く皆が見ていた。


 「詳しく全てを言うことはまだできないが、エルドレア様がお前達を許し選んだのだろう、だからお前達はこの国の前に現れる事ができた」


 「なら俺達をエルドレア様って言うのが選んでくれたって事なんだな」


 「それなら私達は全然安心できないって事なの?」


 優実が不安そうに続ける。


 「前みたいに急に訳わかんない奴らが現れて、村の人を殺して、私達を殺そうとしてってそんなのがまた起こるかもしれないって事なの?」


 優実の言葉にガルドが静かに返す。


 「確かに、その通りだ」


 「明日攻めて来ても何もおかしくはない」


 優実の表情が曇る。


 「じゃ...またあの時みたいに」


 「所詮今は奴らにもなんらかの事情があってノクスに来ないだけで、いずれここにも来る」


 ガルドの言葉にノエルが続ける。


 「アーカディアの奴らは感情を嫌い、感情を持つことを許しません」


 「世界の平和には、争う魂胆を無くそうと言った、古く頭の悪い考えた方でこの世界を整えようとしてる」


 「ノエル言葉遣いが悪いぞ」


 ガルドがノエルの言葉に被せると、ノエルもすぐに謝った。


 「すいません...ガルドさん」


 「お前の気持ちが入ってしまう事は理解しているが、それではアーカディアの者達と何も変わらんぞ」


 リアナも少しだけ視線を落とし、話し出す。


 「だからこの国の人たちは皆んな、毎日を大切にしてるのよ」


 「明日が当たり前に来る保証なんて、この世界にはないから」


 静かな沈黙が流れ続ける。


 ガルドは窓の外へ目を向けると、祭りの準備はまだ続いている。


 遠くで灯りが揺れ、そんな部屋の空気とは違った、ノクスの皆んなの明るい声が今はより大きく聞こえてくる。


 「戦争というものはな、決して敵だけで起きるものではなく、味方にも事情がある」


 ヨル達は黙って聞き続けた。


 「ノアレムナント様も……」


 そこまで言ってガルドが口を閉じると、リアナが静かに声を掛けた。


 「ガルド」


 ガルドは少しだけ苦笑すると、湯飲みを持ち直した。


 「そうだな、今はいい」


 それ以上は誰も聞かなかった。


 そんな空気を吹き飛ばすように、エナが元気よく手を挙げる。


 「ママおかわりー!」


 一瞬で皆が微笑み、リアナも立ち上がる。


 「はいはい、いっぱいあるからね」


 笑い声がまた部屋へ戻ると、その中で一人だけ、貞美は静かに俯いていた。


 ヨルはその様子に気付くが、何も聞かない。


 きっと今は、その時ではないと、そう思ったからだ...


 ◇◇◇


 夕食を終えると、皆で後片付けを済ませ、それぞれ風呂へ入り終わった頃には、外はすっかり暗くなっていた。


 部屋へ戻ったヨルは、布団へ勢いよく倒れ込む。


 「疲れたぁぁぁ」


 優実もその場へ座り込む。


 「私ももう足が限界!!もう正座なんて無理!」


 足をマッサージしながら優実が続ける。


 「修行ってもっとこう、格好いいものだと思ってたのに、明日もちゃんとノエルと来いって言われたし...」


 不貞腐れる優実を見て、ヨルが笑う。


 「お前らしいな」


 貞美が静かに布団を敷き終え、小さく腰を下ろすと、優実が振り向く。


 「ねぇ、貞美も疲れた?」


 「うん……少し」


 以前なら返事すらまともに返す事はなかった貞美。


 それだけでも二人には少し嬉しかった。


 少しだけ沈黙が流れた後、ヨルは天井を見上げながら呟いた。


 「今日さ」


 「ん?や


 「俺思ったんだ」


 二人がヨルを見る。


 「毎日修行して、帰って飯食って、こうやって話してさ」


 少し照れくさそうに笑う。


 「忘れていたこんな毎日ってさ、すごく嬉しくてさ」


 優実も自然と笑った。


 「確かにね!」


 嬉しそうな優実の声にヨルが続けた。


 「こうやって笑って過ごせる日々が、続けばいいよな」


 「みんなでね!」


 「ああ」


 優実が貞美を見ると、静かに貞美も頷いた。


 その返事だけで二人には十分だった。


 部屋の灯りが静かに消える。


 窓の外から祭りの準備をする音と少し溢れる光が部屋を温める。


 三人はそれぞれの想いを胸に、静かな夜へと身を委ねた。

 今回も読んでいただきありがとうございます!


 見えてきたアーカディアの存在と、それがもたらす世界への影響、それを知った上で三人が夜を交えて色々な気持ちを抱えて生きていきます!!


 こんな三人の今後を楽しみに読んでいただけたら幸いです!!


 高評価、ブックマーク、感想等々お待ちしております!

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