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化け物と呼ばれ続けた貞美、呪いで殺した貴方と愛を知る旅に出ます!  作者: ポルチーニアツオ
1章 起動

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零日

今作を読んでいただきありがとうございます!

これからどんどん面白い作品にできるよう努力して行きますので是非楽しみに読んで頂けると嬉しいです!


 「たすけて」


 確かにそう聞こえた瞬間、優実は大きく目を開いた。


 荒い呼吸で、全身は汗だくになり、カーテンの隙間から朝日が差し込んでいる。


 「はぁっはぁっ」


 震える手でスマホを見ると画面には。


 《あと二日》


 そう表示されていた。


 昨日から全く寝れてなく、そんな優実の日常は、少しずつ壊れていった。


 授業中もスマホを離さず、通知音が鳴る度、心臓が止まりそうになる。


 目を閉じると夢を見るから、寝ないようにしていても、限界を迎えて眠ってしまい、悪夢を見てまた起きる。


 そして写真は増えていく。


 知らない廊下、古びた井戸、壁の絵、暗い部屋。


 そしてどの写真にも共通して、少しずつ“何か”が近づいてきていた。


 最初は遠かった黒髪が、次の写真では近い、その次は、もっと近い。


 気づいてしまったあの瞬間から、優実は追い詰められていた。


 「やだよ……」


 誰にも相談できるわけなかった。


 みんなこんな話、変なアプリのおふざけぐらいにしか思わず、信じてもらえるわけがない。


 智香も連絡はつかないままで、学校にも来ないし、SNSも止まっている。


 まるで本当に消えてしまったみたいに。


 優実は怖かった。


 怖くて、寂しくて、だけどどうしようもなかった。


 そして迎えた。


 《あと一日》


 その頃には優実はもう、まともに眠れていなかった。


 目の下には濃い隈ができ、食欲もない。


 部屋の中には、飲みかけのペットボトルと、散らかったゴミだけが増えていく。


 何度もアプリを消そうとしたし、スマホショップへ行こうとも思った。


 でも何度やっても消したはずなのに、消えないし、初期化しても、電源を落としても、気づけば画面に存在している。


 《貞美様》


 その黒い画面を見るだけで、呼吸が荒くなっていく。


 ネットで調べても、呪いのアプリ、貞美様、七日後に死ぬ、以前大量にあったはずの投稿が、跡形もなく消えていた。


 まるでそれは、最初から存在していなかったみたいに。

 

 そして迎えた最後の通知。


 《あと零日》


 はぁっ、はぁっ。


 優実の荒く震える息だけが、狭い部屋の中でやけに大きく響く。


 吐き出すたびに空気が濁っていくようで、耳の奥では自分の呼吸音と鼓動だけが異様に反響していた。


 本棚や物入れはひっくり返り、中身は床に散乱し、踏みつけられた物が鈍い音を立てる。


 その荒れ果てた光景だけで、優実がどれだけ取り乱していたかは一目で分かった。


 「何で!!何で消えてくれないの!!」


 何度繰り返しても変わらないのに、それしかできることがなく、無力な優実は部屋の隅で、携帯を握りしめたまま画面を睨みつける事しかできなかった。


 手のひらは汗で濡れ、指は震え、視線は逃げ場を失ったようにそこへ縫い付けられていた。


 「こんなの、おかしいよ」


 言葉を吐くたび胸が締め付けられる。


 ドクン、ドクン、と心臓の音がやけに大きく響く。


 それがまるで、“終わり”を刻む音みたいに聞こえてしまい、優実は携帯をさらに強く握りしめた。


 すると突然


 プツン――


 と、前触れもなく画面が落ちる。


 「…え?」


 一瞬思考が止まるが、すぐに分かった。


 その時が来た。


 「嫌ぁ!!」


 携帯を胸へ押し当てるように抱きしめながら、震える声で言葉を吐き出す。


 「お願い…...どうか...どうか許してください...」


 言葉がうまく繋がらない。


 それでも止まれず、縋るように謝り続ける。


 ピコン。


 携帯へ電源が入り、画面が明るく光る。


 動揺した優実は携帯を床へ叩きつけていた。


 ガンッ!! ガンッ!!


 何度も、何度も叩きつける。


 腕が壊れそうになるほど振り下ろし、爪が割れ、皮が裂け、血が滲んでも止められない。


 ただ、“消えて“という思いだけで叩き続ける。


 「消えてよ!! 消えてよ!! 」


 どんなに画面が割れようとも、光は消えない。


 ドクドクドクドク……と耳の奥で鳴る鼓動がどんどん速くなり、思考が押し潰されていく。


 「やばい……やばいやばい」


 その時だった。


 プルルル、プルルル。


 突然、部屋へ響いた着信音に、優実の動きがぴたりと止まる。


 震える手で、ゆっくり画面を見る。


 《智香》


 その前を見た瞬間、動揺を隠せないまま通話を取る。


 「まさみん!!」


 ノイズ混じりの声が耳へ飛び込む。


 「ともちゃん!?なんで」


 「ねぇ、聞いて!! 時間がないの!!」


 ザーッ、と音が歪む。


 その奥で何かを引きずるような音が混ざる。


 「そこにいるの!?」


 「え?」


 「ともちゃん、何言って...」


 「違うの、これ...アプリじゃない!」


 息が荒く、声が揺れている智香。


 「“中”にいるのずっと!出られなくて!」


 突然ブツッ、と音が鳴り通話が切れ、部屋には不気味な静寂が戻る。


 “中にいる”


 その言葉だけが、異様に頭へ残る優実だったが、意味を理解するより先に、背後へ気配を感じた。


 ゆっくり振り返ると、そこにはいた。


 崩れた肌、折れ曲がった指、無数の傷、やけに綺麗な白い装束、床へ届き広がる長い黒髪。


 唯一見える左目が、どこか迷いのあるように優実を見つめる。


 「……貞美」


 逃げられないと分かった優実が取った行動は暴れる事だった。


 「来ないでぇぇ!!」


 必死に飛びかかろうとした時、指先が長い貞美の髪に触れる。


 何故かわからないがソレを、咄嗟に掴んだ。


 抵抗する優実に少し驚いた貞美は、髪を握る手を振り払おうとするが、なかなか髪を離さない優実。


 髪を引っ張った事で、貞美の顔を覆っていた髪が一瞬ずれた時、貞美と目があった優実。


 その貞美の顔はどこか寂しげな顔で優実を見ていた。


 「ねぇあんた!!なんでこんなことすんのよ!!」 


 「こんなことして楽しいの?そんな悲しそうな目してんのに!なんでよ!」


 必死にしがみつきながらも貞美に問いかける優実。


 抵抗を強く続ける優実に対して、突然優実を抱きしめた貞美。


 「え、何?」


 突然の行動に驚きを隠せない優実。

 

 抱きついた体を覆うように、貞美の長い髪が、優実の体に巻きついていた。


 ボキィッ――。


 遅れて響く音は何度か繰り返した。


 それが何の音なのか分からないまま、体のどこかが壊れていく感覚だけがじわじわ広がっていく。


 体が壊れていく中、抱きついて髪を使っていることにより、隣り合わせの貞美の顔が最後に見える優実。


 貞美の顔は泣いていた。


 「なん...で...あんたが...泣いて..」


 「ごめん...なさい」


 最後に聞こえた貞美の淀んだ声を優実には確かに聞いていた。


 それを最後に、優実の心臓は鼓動を止めた。


 ――優実は死んだ。


 優実に巻きついていた髪が解け、静まり返った部屋に崩れ落ちる、原型を留めていない優実の体。


 貞美はその死体を少し見つめた後、次の瞬間、優実の携帯へ溶けるように消えていく。


 取っ組み合いで絡まったままの腕が、貞美の消えていく携帯に、優実の死体ごと吸い込まれていく。


 気づけば、部屋には何もなかった。


 荒れた室内と広がる血溜まり、そしてただ一つ、優実の携帯だけを残して。


 画面が、ゆっくり点灯する。


 《インストール完了》

読んでくださりありがとうございます!

第一話如何でしたでしょうか?

どこかで聞いたことあるような設定の貞美w

実に恐ろしい!!

ですが殺されてしまった優実はこのままで終わってしまうわけがありません!!

続きの話も是非読んでいただけたら嬉しいです!


少しでも気に入って頂けたらブックマークや評価、感想等々お待ちしております!!


ご愛読ありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
最後の一文、「インストール完了」がとても興味をそそる引きですね〜。 「ハイファンタジーなのにインストールとは?」という二重のフックが仕込まれていて、否応なしに期待してしまいます! (・∀・)
鮮明な描写によって情景が浮かんできます。続きが気になります!
冒頭から息が詰まるような恐怖描写に一気に引き込まれました。アプリ拡散系の怪異という現代的な入口が怖いのに、ただの都市伝説ホラーで終わらず、優実が死んだ先で“自分を殺した怪異”と再会する展開が強いです。…
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