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5話 ポテトオムレツ 11
「あれは、…リリャー、!?」
とアニタは悲鳴の様な声をあげた。すぐさま木から降りていくと、もう崖下まで行ってしまう。
彼女の姿は、瞬く間に眼下の山林の中へと消えた。
サーラも気がついた時には、止める間もなく、必死に呼び掛けるだけだった。
「あ!?…待ってよ!…アニタさん!」
「サーラ、…そこにいろ!…ありゃ、狼に襲われているんだ!…追いかけて行ったら、危ないぞ!」
と親方は指示した。さらに「野郎共、続けぇ!」と声を張り上げて、仲間と共に崖を伝って、下に降りていく。
そのまま彼らは、森の中を突っ切って、進んでいくようだった。
しかし、それでもサーラは不安げな様子だ。そわそわと落ち着かずに、再び川の方へと顔を向ける。
すると先程よりも、ハッキリした狼の遠吠えが聞こえてきた。
サーラは慌てて鞄から、フライパンとお玉を取り出すと力一杯に叩いて音を鳴らしだした。
カンカンカンカンカン!!
カンカンカンカンカン!!
「お父ちゃぁぁーーーん!!…此方に狼がいるよおぉぉ!!」
さらに彼女の必死な呼び掛けは、空に向かって響き渡る。
だが辺りには、全く反応はなかった。
「お父ちゃぁぁーーん!」
とサーラは何度も何度も、同じ行動を繰り返し続けた。




