00024RJ「キーメイル→おパンツ」
この24話は、試験的に、元原稿になかった話を挿入してみています。それとあわせて、一つ前の話を、終盤だけですが変更しました。
「驚くのも無理はないな」
と、ジョーカーは言う。
「いや、驚くも何もそれ、普通の女物の下着じゃないのか?」
「たしかにそれはそうなんだが、
俺は別に冗談で言っているつもりはないんだ。
このキーメイルが単に、女性用下着の形をしているだけなんだと思えばいい」
ジョーカーは、キーメイルを机の上に置いた。
「改めて順を追って説明しておこうか。
先ほども言ったように、
イメージを具現化・再現する際には、純一自身の精神力を消費していたんだ。
だから能力を使えば疲れるし、
たとえ才能があっても、精神力を越えたレベルのことはなかなかできない。
もちろん精神力は休めば回復する。使えば使うほどに、その最大値も伸びて行く。
その精神力の最大値を、より簡単に引き伸ばすアイテム、それがキーメイルだ」
「キーメイル……」
俺はごくりと唾を飲み込んで呟いた。
「純一、キーメイルはな、影世の津秋も持っているんだ」
「影世の津秋も?」
「ああ。津秋だけじゃない。
現世に生きる人間は全員。つまり影世に生きる人間は全員、キーメイルを穿いているんだ。
そしてそのキーメイルは、それを奪うことによってしか獲得できない」
「じゃあまさか、
ジョーカーが津秋を奪えって俺に言ってきてたのって?」
「そうだな。
津秋を奪えと言ったのも、一つには津秋のキーメイルが目当てでもあった。
津秋のキーメイルを自分のものにすれば、純一の精神力は伸びるんだ。
影世に慣れてきたおかげで、今の純一は、イメージ化の才能が精神力の方を追い越してしまっている。
このままだと、才能があるのにキャパシティの制約がかかることになるから、
より自由に能力を使おうと思うのなら、キーメイルの獲得は不可欠になるはずだ」
「だけど、どうして下着なんだ?」
「影世は現世の本質を表す。
そいつの最も大事なところを守っているのが、キーメイルなんだよ。
だから、まずもってキーメイルは下着になってしまうんだ。
たとえばそうだな。重厚なセキュリティか何かだと思えば良いよ。
心の壁として機能して、他人の侵入を阻んでいる。
しかしガードの堅いセキュリティほど、堕とした時に得られるものも大きくなる。
それは精神力の最大値として返ってくる。
覚えなくても良いが、俺はこれをメイルポイントと呼んでいる。
略したらMPだから、ゲームの感覚でこっちだけ覚えても良い。
すごく簡単に言ってしまうと、
純一の場合は、キーメイルを手に入れると楽にMPの上限を伸ばすことができて、強くなる。
そんな感じだな」
「なるほど……。
じゃあもしかして、そのキーメイルを沢山集めれば、
俺はもっともっと強くなれる?」
「その通りだ。
純一はキーメイルを集めれば集めるほどに強くなる。
強くなりたいなら、キーメイルを集めることが肝要だ。
だがまぁ、今回は大月を殺るのを先にしてもらう。
それに、津秋のキーメイルは、大月が監視している。
先に津秋のキーメイルを奪おうとしても、大月が邪魔をしてくるかもしれない」
その日は姿を元に戻してもらって、現世に帰った。
毎回全身化けさせるのは面倒だからと、
次にしてもらえるのは大月殺害当日の日曜ということになった。
あれだけ似せられたら十分だし、
十分殺れる。
あとはジョーカーみたいに落ち着かないとな。
思い返すとジョーカーはずっと冷静だったから。




