00023HJHT「女体化女装・変装計画(三)」
「どうかしたか?」
と、聞くジョーカーに、
「下もするのか?」
と、俺は聞き返した。
「下半身は男のまま、というわけにもいかないだろ。
上半身とのバランスが悪くなる。
特に、お尻というのは、女性にとって最も重要なパーツの一つだからな。
健康な子どもを産めるかに関わるから、
男は本能的にそこを見るようになっているんだよ。
そこが男のままだったら、きっと大月も変に思うはずだ」
まぁ、それはそうなんだろうが、
ここで俺も乗り気になって、「やってやって」と、せっついたりはしたくない。
上はともかくとしても、下は仕方がなくしてもらう、って感じにしておきたかった。
というのも、
津秋の顔にしてもらってたときから、
実は既に股間の方が窮屈になってきていたからだ。
それでなくても下も脱ぐのは恥ずかしいのに、
興奮しているだなんて、
まるで俺が女体化して遊びたがってる、変態みたいだ。
だが、それは違う。
俺は、大月を殺す一番良い方法を考えついただけなんだから。
「そうだな。まぁ、……しょうがないよな」
と、やれやれと首を振りながら、俺はズボンとパンツも下ろした。
俺はチラチラと、ジョーカーの様子をうかがう。
笑ったりしやしないだろうかと思ったが、
俺が丸裸になっても、ジョーカーは何も言わずに作業を続けていた。
俺の反応なんて、どうでも良いみたいだった。
ペタペタと足や太股を手のひらで押されて、やがて下半身も塗られ終わった。
けど、一箇所だけは避けられている。
一度も触れられることはなくて、
やはり気になるし、気になって仕方がない。
むしろ、そこが一番気になっていた場所だった。
思い切って、
「なあ、ここは……しないのか?」
と、自分の股間の辺りを指差して聞いてみた。
ここも女の子みたいのにするのかと思っていた。
ここ。ここだよ、ここ。この大きなトロンボーンだよ。
ジョーカーは俺を見上げて、
「メスになりたかったのか?」
と、聞いてくる。
冗談じゃない、と、俺は慌てて訂正した。
「いや、そうじゃない。
お尻も大事だけどさ。
こっちの方も、いや、むしろここが一番大事じゃないかって、俺は思っていたんだ。
だってここは、触られでもしたらすぐに、男だって気がつかれてしまうだろ?」
「たしかにな。純一の言うとおりだよ。
だが、さっきも言ったが、削る方はしないんだ。
純一にそれを切り落とす勇気があるのなら、話は別なんだが、
まぁ、それはやめておいた方が良い」
ジョーカーは椅子を引っ張って、座る。
前のめりになって俺の方を見つめてきた。
俺は、チラリと姿見鏡の方に目をやった。
もう完全に、丸裸の女の子になっている。
鏡の中の津秋がこちらを見返している。
夢にまで見た光景だと思って、ドキドキしてくる。
「上出来だな」
と、ジョーカーは言い、
そして続けて、
「やっぱり可愛いな」
と言った。
それを聞くと、
何故だか俺は無性に、照れてしまった。
「か、可愛い?」
そ、それって俺のことなのか……?
あ、いや違う、津秋のことか。
一体何を考えているんだ、俺は馬鹿か。
わかっているはずなのに、褒められると嬉しい。
顔が少し、紅潮してしまっていた。
まずいな……。
もしかしてこれ、体だけじゃなく、思考もメス化するのか?
メスの気持ちってこんな感じなのかと思って、
凄く居た堪れない。
津秋の姿をしている自分にも興奮して、
それを見られているのも、変な感じだ。
ジョーカーには悪いが、体がむらむらして仕方がなかった。
後で風呂場に行こうかなと思っていると、
ジョーカーが近づいてきて、唐突に胸を、丹念に揉んできた。
何をしてるんだよ、お前……。
「でも少し固くしすぎたかな」
と、胸の固さ加減を調べているようだった。
「いや、……このままでいいよ」
感覚が伝わってきている。
やはり皮膚を乗せてるだけとは思えなかった。
「ちょっと自分でやってみろよ。見ててやるからさ」
と、言われて、
「何を?」
と、すぐに聞き返す。
「皮膚を作ったり、固さを変える練習だよ。
今回のは俺がやるけど、次もするつもりはない。
少しでも練習をしておくんだ」
「いや、今日は遠慮しておくよ」
ジョーカーの手を掴むと、俺は軽く手を払って言う。
「なあ、服を着ても良いか?」
「純一なら、服は自分で作れるよ」
いや、そういう意味じゃないんだ。
俺は「悪い」と言って、
逃げるように小屋の外に出て、風呂場へと向かった。
「作れる」と言うか、
俺はさっきまで妹の服と下着を再現していたし、
時間があれば作れるのは、もちろん知っている。
風呂場の脱衣場で、
ジョーカーが来ないことを確認して色々なことを試してみた。
妹の下着を改めて具現化し、再現してみる。
履いてみたり、服も着てみたりしたんだけど、
思ったよりも小さくて、ぴちぴちのパツパツになってしまった。
これじゃあ、ヤラしすぎてダメだ。
結局、後で何度も作り直すことになる。
鏡も欲しくなってジョーカーのもとに戻ってみたら、
ジョーカーはトランプを切って遊んでいた。
「戻ってきたか」
「どうかしたのか?」
「話があるから、とりあえず座ってくれ」
促されるままに座ってみると、
「実を言うと、純一にはまだ話してないことがあってな」
と言ってくる。
「何?」
「イメージを具現化、再現する能力は、使うと必ず疲労感を伴っていたはずだ。
それは、自分の精神力を使っていたからなんだ。
もちろんその精神力は休めば回復するし、
使えば使うほどにその最大値も伸びていく。
ただ、その最大値をもっと簡単に伸ばす方法があるから、今日はそれを教えておこうと思う」
ジョーカーは自分の黒衣をゴソゴソと探って小鍵を取り出すと、
それを机の上に置きながら
「リリース」
と、言った。
すると、小鍵は白い布のような何かに変わる。
これは、何だろう?
と思ってまじまじと見る。
どこかで見たことがあるような気がする。
ジョーカーはその布を俺の目の前で広げて言った。
「これのことを、俺はキーメイルと呼んでいる。
見た目は、女性用の下着であり、いわゆる、おパンツと呼ばれるものなのだが、
これが精神力を伸ばすのに役立つんだ」
キーメイル……?
俺は口をあんぐりさせながら、ジョーカーと、キーメイルを三度見くらいした。




