00017CHBPHT「妹の下着と、宝の山(三)」
凍りついて、
トイレから出る馬場の後を追った。
何も言わずに淡々と歩き、ついていく。
津秋の写真はバレていた。
ということは、女子更衣室の方も、バレてるはずだ。
俺は隠れてしたつもりなのに、
何てやつだ。
どこに目がついてるかわからない。
気をつけないと。
もう殆ど手遅れなんだが。
連れて行かれた先は、部活の更衣室だった。
運動場のすみの、男子サッカーの更衣室。
入ったことはない。
チャイムが鳴っている。
歴史の授業は終わったらしい。
馬場は小鍵を取り出すと、
それで更衣室の扉を開けた。
ムッとした臭いがして、
汗臭い。
消臭スプレーの臭いも、却ってヤな臭いだ。
湿度も高くじめじめしている。
馬場は中に入るが、
俺は気が進まなかった。
「馬場、サッカー部だったの?」
「拾っただけ」
と、鍵を振りながら言う馬場。
「早く入って、閉めて」
馬場は奥に進んだ。
言われた通り、俺は扉を閉める。
暗くて、嫌な感じがする。
二人でいるのは、なんだか怖いし、
俺は入り口で立ってることにした。
馬場は奥でごそごそ段ボール箱を漁っている。
白のカッターシャツが、黒のズボンから少し飛び出てた。
ロッカーが片方の壁に並んでる。
開け放しなのもあって、
全体的に汚い。
ボールが転がっていたり、
靴下やユニフォームが投げ捨てられてたり。
真ん中にはベンチがある。
そこに腰を掛けられそうだ。
馬場はベンチの上に雑誌を乗せていった。
段ボール箱からひょいひょいと取り出す。
「それ何?」
「エロ本」
と、馬場。
顔を上げないで言う。
エロ本だって?
と思い俺は、
じりじり少しだけ近づいて見てみた。
水着姿の女性が、雑誌の表紙でポーズを決めている。
扇情的でキャッチーな見出し。
すごい。
他のもそうだ。
写真集や、本当にエロ本。
光沢のある肌色が、そこここに踊っていた。
サッカー部。
こんなものを所蔵していたのか。
……けしからん。
俺は馬場に気づかれないように、
ささっと一冊持ち上げて中を確認した。
うあぁ、すげえ。
パソコンでもたまに見るけど、
こうして紙で見るのも、悪くない。
口を開けたまま、
興奮してページをめくる。
ペラペラめくるたびに心臓が高鳴った。
折り目のあるページを開いて、
やっと手が止まる。
この子は、……やばい。
とびきり可愛い。
スタイルも良いし、
褐色で健康そうだし。
生唾を飲み込んで、
体の隅々まで舐めるように視線をはわせてゆく。
名前は何て言うんだろう……。
あとで調べてやろう。
あぁ、クソやばい。
俺、サッカー部に入れば良かった。
何で帰宅部なんだよ。
人生最大の選択ミスをしてしまったかもしれない。
「おい」
と、馬場に大声で言われて、俺は我に帰った。
無我夢中で気がつかなかった。
「何?」
馬場はベンチに写真集とエロ本を広げていた。
このページを見ろとばかりに開かれてる。
しゃがんでる馬場に手招きされて、
俺もあわせてかがむ。
手に持つ写真集を閉じて、
並べられた雑誌に目をやった。
順々に、馬場がそれぞれのページ、
女の子を指し示す。
どのページにも折り目がある。
系統が似ていた。
同じようなタイプの子たち。
褐色で、かわいい。
スタイルもいい。
それはそう、全部、俺のタイプだったんだ。
「似てるだろ」
と、馬場に言われて、
「何に?」と聞こうとしたが、
わざわざ聞かなくてもわかった。
全部、津秋に似ていたんだ。
同じじゃないけど、似てる。
いつも制服でしか見てない津秋が、
下着一枚に、そしてビキニ姿になってるように見えた。
信じられない。
こんな風になるのか。
ビーチにいるやつは、特にいい。
小麦肌がつややかだし、
水がしたたっていて、
豊潤な肉体が日の光をいっぱいに照り返してる。
胸元には、よく熟れ、たわわに実った桃が二つ。
大人の色香にあふれていて、
見てるだけで、よだれがでてくる。
むちむちと張りのある太ももの付け根には、小さな飾りのような紐つき水着。
それがあることで締まりが出て、より全体が引き立っている。
洋服の下も、こんなにセクシーだったなんてな。
ああ、それはまさに俺の宝の山だったんだ。




