第166話:試してみよう・前編
※ 8/20 誤字を修正しました。
「よし、フェイ自分なりの方法でいい、来てみろ! 全力で来いよ」
「はいです!」
ダンッと地面を蹴りあげるフェイ。子供といえどもそのスタートダッシュはまるで地面に銃弾が当たったような激しさがあった。
「でやぁぁ!」
俺の目の前に剣を振り上げた状態のフェイが現れる。初めて剣を持ったとは思えない素早さだ。
目にも止まらぬ早さで降り下ろされる剣。その早さは一般の兵士の比ではなかった。
俺はそれを避けることなく持っていた剣で正面から受け止めてみせる。キィンと金属がぶつかり合う音が聞こえ周囲に風が吹く。
なかなかのパワーだ。普通の兵士が受けたら弾き飛ばされそうだな。
年齢に似合わないパワーは明らかなオーバースペックだ。毎日遊びという名のトレーニング(自主的に)をしていたお陰だな。なんか俺の知らないところで俺が教えた筋トレをひたすらやりまくったらしい。一回見てみたらノーストップで200回を軽々としやがった。しかも等の本人らはまだまだ全然行けますよ的な顔をしていやがったんだぜ? 人間なの? いや、人間じゃないけどさ。
それで試しにこの前作った武器を見せて使いたいものを使わせてみたらこの結果ということだ。
ちなみにフェイが使っている武器は両手剣だ。大きさは約1メートルでフェイよりか一緒ぐらいかやや大きいぐらいだ。
いや、それを軽々と振るなよ。女の子でしょ? 心の中でそんな突っ込みが行われる。
そんな俺の心境のことなど全く関係なく、フェイは次々と攻撃を打ち込んでくる。例えるならなんだろモン○ンで大剣を持っていながら動きが片手剣並の動きをしているんだが、どうなっているんだよ。
動きはぎこちないがそれをとって余るほどの攻撃力と素早さだ。
それなら近い将来アレを設立出来るかもなまあ、それまでのハードルが高すぎるのだが………まあ、頑張って行きますか。
「よし、そこまで!」
何度か打ち合ったのち攻撃をやめさせる。
「どうですか?」
「ああ、いい攻撃だ。ただ、フェイの身長で両手剣はまだ厳しいから最初は片手剣からした方がいいかもしれない」
「なるほど。そうするのです!」
「よし、じゃあ次」
「は、はい!」
そういって次々と相手をあいていく。フェイがやたらと強かったのか、後の子供たちはそこまで強いという印象を受けなかった。ただ、そう思っただけで実際はかなりの強さだ。Dランクの魔物と一対一でもいい戦いをするのではと思った。ちなみにフェイの次に強かったのはレーグだ。それも基礎的なものに加え短剣の剣術まで出来ていた。聞くと教えられたとのこと。前の主はこんな幼い子供に何をさせようとしたのか、全くけしからんな(遠い目)
さて、最後までしてみて分かったが全員技能はまだ無いが身体的な基礎はしっかりと出来上がっているということだ。
これなら剣術などそれぞれにあった技術を身につけて、魔法も覚えれば充分に戦えるはずだ。
自衛を出来るぐらいにはしたいな。もちろん戦わせない方がいいのだがそういうわけにも行かないからな。技術がつけば近くの森で魔物と戦ってみる必要もあるかもな。
「ところでクロウおにいちゃん。お姉さんは何をしているのですか?」
「あれか? お姉ちゃんたちもおんなじ事をしているのさ」
「でも、さっきから何かを持って立っているだけに見えるのです」
「そうだね。でもあれも立派な武器だよ」
「??」
フェイは首を捻っている。彼女にはまだ早すぎる代物だからな。仕方無いな。
「じゃあ俺はお姉ちゃんの方を見に行くから皆は休憩していいよ」
「はいなのです!」
俺はフェイに休憩の指示を出して大人たちの方を見に行くのだった。