初志貫徹しやがったから大後悔時代に突入してやった
かかったな!
怪文書第三弾です。
もし間違って見た人が居たらごめんなさい。
そんな人いるわけないと思いますが。
ここはラウンジ『後悔』。
どうしようもない後悔を語り合い、酒で涙を洗い流す悲しき女の楽園。
ここに笑顔は似合わない。
そんなラウンジ『後悔』では、毎週金曜夜に、【後悔公開航海バトル】が繰り広げられる。
何をするかと言えば、ぶっちゃけ明石〇サンタ。
集まった全員が自分の経験した不幸、つまり『後悔バトル』を叩きつけあい、最も不幸と認められた優勝者は何でも願いが叶うとされる。
私は二十歳の女の子。
飲めるようになったのは昨日。
つまり、私がここに来るのは、運命だった。
そうして私は語りだした。
決して忘れられない、私の後悔を――。
私には、幼馴染の男の子がいたんです。
たぶん、それなりに良い感じだったと思うんですよ。
周りの友達は皆いつ結婚するんだなんて冷やかしてましたし。
しかも彼は、クリスマスや誕生日は、かならず私の家に来てました。
ええ、毎年です。
こいつ、本当に私のこと好きだなぁ。
なんて、メスガキっぽい気持ちで見下してたんですよ。
もし過去に戻れるなら、ぶん殴ってやりたいですね。十六連くらいは。
そうしたら……こんな悲しい想いをしなくても……。
ああ、はい。
それでなんですけど、うち、メスガキ流ゲーミング華道の家元なんですよ。
ご存じですよね? メスガキ流ゲーミング華道。
立派な父なんです。
幼い頃に母を失った私に、寂しい思いをさせないよう、精いっぱい愛情を注いでくれて……。
はい。うちは父と私の二人暮らしなんです。
ちなみに父の外見はメスガキそのものです。
当然ですよね。家元なんですから。
……ああ、想像つきました?
そうだったんです。
幼馴染は、私の父目当てだったんですよ。
幼稚園の頃から、ずっと父に会うために私に接触してました。
幼稚園で女装メスガキに脳を焼かれたと考えたら、幼馴染も被害者と言っても良いかもしれませんね。
絶対許しませんが。
ちなみにですが、父は愛妻家で、失ってからもずっと母を思って生きていたんです。
それでも、一念岩をも通すと言いますか、最後に愛が勝ったと言いますか。
幼馴染は『亡き奥さんと共に、俺は貴方を支えたいです。俺と残りの人生を歩んで下さい』なんてプロポーズをして、それで父も陥落。
今では二人のメスガキに囲まれて生きてます。
え? ええ。二人のメスガキ。
そりゃ、メスガキ流ゲーミング華道ですからね。
幼馴染もメスガキになりますよ。
え? 私? なるわけないじゃないですか。
変なこと言わないでくださいよ。
そういうわけで、『こいつ私のことを好きすぎるだろう』なんてあぐらをかいて特に何もせずにいて、気づけば父と幼馴染が結婚し、死ぬほど気まずい家庭で暮らしている、なんて状態です。
ちなみに今度、家族が増えます。
え? そりゃ妊娠おめでたですよ。
当然でしょう、結婚してるんですから。
え? どっち?
そんなの、どっちにも決まっているでしょう?
というわけで、今後は五人家族ですよ。
私はずっと独り身ですけど。はは。
というわけで、どうでしょうかね? 私、ぶっちぎりで優勝出来ません?
え? 暫定三位? ちょっと低すぎません? 忖度してませんか? 一位は誰です?
……え? 増えるわかめに父を殺され、ジャイ〇ンばりのデスボイスに兄を殺された人? しかも二人とも盗撮魔だった?
まあ……はい。
私の不幸なんて、そう大したものでもないですね。完敗です。
ちりんとグラスを鳴らし、私は敗北を受け入れる。
初めてのお酒は、海のように悲しい味だった。
『』




