第十話:噬刀
水市町は、宝物の取引を専門とする場所である。
宝物は、武法、宝器、宝材の三つに分類される。
武法は、武士の体内に蓄積された宇宙エネルギーを瞬時に解放する破壊力を決定づける。宝器は、宝材を用いて製作された特殊な武器であり、特定の機能を備えている。宝材は、宇宙エネルギーを吸収した特殊な素材である。
これら三種の宝物は、いずれも下・中・上・極品の四つの品質に分類される。
問刀の武法『断欲斬』は中級の武法である。一方、問刀が持つ打刀は普通の刀であり、宝器ではない。
武士は、ある物と共鳴することで、それに対応する属性のエネルギーを吸収する。
例えば問刀は、手にした刀を通じて金属性の宇宙エネルギーを吸収する。もしその刀の品質が向上すれば、それに応じて問刀が瞑想時に吸収する宇宙エネルギーはより速く、より多くなり、その結果、レベルアップも早くなる。
そのため、問刀は刀の形をした宝器を探す必要があった。
ここ数日、彼は水市町をぶらつき、下級の宝器を売り出す露店をいくつか見つけた。
その中には打刀の宝器もあったが、問刀が値段を尋ねてみると、最も安いものでも100両の黄金が必要であり、彼の手元にはわずか10両の黄金しかなかった。
仕方なく、その法外な値段に問刀は尻込みしてしまった。
さらに、露店商たちからは軽蔑の眼差しが向けられた。「こんな小銭で宝器を手にしようなんて、お前にとって高嶺の花だぞ。」
そのため、問刀は手ぶらで引き返すしかなかった。
夜が更け、問刀は人影のない通りを歩き、帰ろうとしていた。
突然、前方から悲鳴が聞こえてきた。
まだ店を閉じていない行商人が在庫を数えていたのだ。問刀はその声を聞き、駆け寄った。
「ちくしょう!今朝店を出した時は、金属エネルギーの宝材が十数個もあったのに。合計すれば300両の金に相当するはずなのに、どうして今になって中の金属エネルギーがすべて消え失せ、ただの鉄鉱石になってしまったんだ。」
男の足元の敷物の上には、十数個の大小さまざまな黒い鉱石が並べられていた。これらは「宝材」と呼ばれる鉄鉱石で、宇宙の金属エネルギーを含み、下級の宝器に鍛造することができる。
しかし今、鉄鉱石の中のエネルギーは、すべて消え失せてしまったようだった。
そして鉱石の前には、漆黒の古びた太刀が一本置かれていた。
行商人は疑わしげな眼差しでその打刀を見つめ、手に取った。
「まさか、この宝器が製造時に問題を抱えており、それが周囲の宝材を損なわせているのだろうか?」
「このような事態は、今回が初めてではない。以前、私もこの黒い刀を他の宝器の隣に置いていたことがある。奇妙なことに、しばらくすると、金属属性の宝器はすべて廃鉄と化してしまったのだ。」
「どうやら、これは欠陥のある刀型の宝器らしい。このまま捨てなければ、さらに大きな損失を被ることになるだろう。」
すると、行商人はその黒刀を何気なく投げ捨て、ちょうど問刀の足元に落ちた。
問刀はそれを拾い上げ、刃を引き抜くと、その刃も漆黒だった。
宝器は、武士の体内のエネルギーを感知することができる。問刀のエネルギーがこの刀に注ぎ込まれるにつれ、この刀は問刀と特別な繋がりを生み出したようだった。
「これは、下級の宝器だ。」
問刀がその刀を観察していると、奇妙な光景が繰り広げられた。
もともと、問刀が持っていた刀が、この黒い刀に近づくと、なんと、その金属の表面が引き裂かれ始め、金属の粒へと変わり、黒い刀の刃の中に吸い込まれていった。まるで口で飲み込むかのように。
「この刀は、まさか金属を喰らうことができるのか?」数分の間に、元の刀は完全に分解され、黒い刀に喰い尽くされてしまった。
「金属と金属の宇宙エネルギーを喰らうことができる刀なら、お前を『喰』と呼ぼう」。
黒い打刀が微かに震え、まるで問いかける声に応えているかのようだった。
宝器は普通の武器とは異なり、一定の霊性を備えており、主人の変化を感知することができる。
「噬刀よ、お前は全身漆黒だが、どうやら私の元の刀よりも高貴で華麗なようだ。しかも、お前の特殊能力は、あらゆる金属のエネルギーを喰らうことにある。」
「もし、喰らう金属エネルギーが一定の上限に達すれば、その上限を突破し、中級、上級、さらには極上の宝器になることもできる。」
「これは通常の宝器にとっては不可能なことだ。だから、たとえ下級の宝器であっても、喰刀の価値は千両の黄金以上にあるはずだ。」
「幸い、あの行商人はこの噬刀の特異性に気づかず、私に放り投げてくれた。」
問刀は少し嬉しそうに、すぐに噬刀を腰に下げ、宿舎へと戻った。
宝器はどれも破損するが、対応する属性のエネルギーを喰らうことで、まるで樹木のように成長することができる。
例えば噬刀の場合、刃が衝突して鋸歯状の損傷が生じても、自身の金属性能量によって完全に成長し、修復に至る。これも下等宝器にとって最も基本的な能力である。
問刀は漆黒の噬刀を地面に平らに置き、座禅を組んで目を閉じ、精神を集中させ、瞑想を始めた。
彼の念が噬刀とつながりを築くにつれて。
「シュッ!」と、噬刀は突然人のように立ち上がり、同時に極めて速い振動を放った。その瞬間、刀身は鞘の中に収まっていたが、鞘の縁に淡い黒い影が現れ、まるでブラックホールのように引力を帯びていた。周囲の宇宙エネルギーはすべて奪い取られ、血のような赤いエネルギーへと変換され、問刀の体内に取り込まれていった。
赤いエネルギーは、泉のように、噬刀の共振によって生み出された。その太さは、以前の打刀の二倍であり、これは問刀の修練速度が、実に倍増したことを証明していた。
問刀は、意念を通じて、体内に流入する血のような赤い金属性のエネルギーを導き、腹部の丹田に集めた。
それは、刃のように鋭く尖った金属性のエネルギーであり、問刀の身体の経絡にも影響を与え、より強靭なものへと変えていく。
そして問刀の筋骨が強化されることで、身体の強度、速度、力にも影響が及び、質的な飛躍を遂げる。
瞑想から覚めると、問刀は掌を広げた。すると噬刀は、まるで磁石に吸い寄せられるかのように、自動的にその手へと飛んで来た。
そして体内の血のような赤いエネルギーが、丹田から洪水のように噴き出し、経絡を洗い流す。骨さえも赤い光を放ち、鋼鉄のような硬さへと変貌を遂げた。
「バキッ!」
問刀が傍らの石台に拳を打ち込むと、瞬く間に石台に拳の跡が残った。
「武道二段。宇宙のエネルギーを用いて、体内の筋骨を鍛え上げた。今や、私の骨は鋼鉄のように堅固だ。」
問刀の拳は血肉が引き裂かれ、鮮血が流れ出していた。
「ただ、私の皮肉は、武道三段に達して初めて、完全に銅壁鉄壁のように鍛え上げられるのだ。」
そのため、彼の骨は無傷だが、皮肉は傷ついていた。
「『不滅決』!」
問刀は、当岩から授かった武法『不滅決』を使い始めた。これは治療の武法である。
発動すると、体内のエネルギーが奇妙な経路を辿り始め、血液の循環が倍増した。問刀の拳の傷口は、肉眼で確認できるほどの速さで、かさぶたができ、剥がれ落ち、完全に回復した。
「『不滅決』の傷の治癒は、実に速い。」問刀は感嘆した。




