いのちの終わり。夏のおわり。
掲載日:2026/11/07
放課後の教室
窓の外で
蝉の声が少しずつ
遠くなっていく
命の鼓動が
僕の胸から
君へ移るのは
後わずかしか生きられないことを
言い表そうとしているためなのか
当たり前に隣にいた
笑い声も
くだらない約束も
ずっと続くと思ってた
振り返ると
夕焼けの中に
君の影がまだ伸びている途中
じっと僕を見つめる瞳に
心奪われていた
さようならの言い方を知らない
教わらないから
言わなくてもいいと思った
胸の奥
とくんとくんと鳴るたびに
君の笑った顔が
ひとつずつ増えていく
残された時間が
砂時計みたいに落ちていくなら
こぼれる粒を
宝物にしてしまえばいい
蝉の声が止んだ教室で
泣かないでと
言おうとして
先に僕のほうが
上手く笑えなくなった
だから
さよならの代わりに
「またね」を置いていくことにする
命の鼓動が
僕の胸から
君へ移るのは
後わずかしか生きられないことを
言い表そうとしているため
そして繋いで接ぐ
寿命という確かな思い出を
二人のやり取りの証しとして
温まりたいため




