〇07-1.総務会+αと犬
本編半周年記念企画その1-1です!!
「おはようございます!」
真夜が生徒会室に入ってきた。他5名の生徒会メンバーは真夜に挨拶を返そうとした。が、
「「「「「・・・・・・・。」」」」
真夜が抱えていたものを見て固まる。しかし、植幸のみ
「わ、・・・・・・・ワンワンだー!!」
と喜んで真夜の側に駆け寄る。
「見て見て!この2匹、そっくりだし、同じダンボールに入ってたから、多分、双子ちゃんだよー。触る?」
と真夜が植幸に聞くと、植幸が目をキラキラさせて手を出してきた。真夜は植幸に1匹の子犬を渡す。植幸はその子犬を抱っこした。
「・・・・・・・、モフモフですね、真夜先輩♪」
「うん、モフモフだね♪」
もう1匹の子犬を抱えた真夜が答える。
「真っ白さんですね。」
「うん、真っ白だね。」
どんな生き物にも懐かれやすい真夜と、自分自身が子犬な植幸。子犬たちに懐かれて当然だ。
「えーと・・・・・・、真夜ちゃん。その2匹どうしたの・・・・・?」
土田が真夜に聞く。
「ん?捨て犬だよ。昨日、下校途中に見つけたの。登校してるときにはいなかったから、昨日の昼間に捨てられたみたいだね。で、何か懐かれちゃったから、家に連れ帰って、お風呂に入れて、エサをあげて、私の家に1泊させたの。」
こういうケースがよくある真夜は、動物用シャンプーが家にある。
「で、現在に至ると。」
「うん。かわいそうだよねぇ、こんなにかわいいのに!」
そう言って、真夜は土田に子犬を差し出し、土田は受け取った。人見知りがない犬のようだ。初対面の土田の腕の中でも、おとなしくかわいさのみを振りまいている。
「た、確かに・・・・・!かわいいね!!何か、デレデレしちゃいそう・・・・・・・・!」
もうすでに、顔が崩れている。
「でしょー?デレデレでしょー?」
「うん!」
「で、月影さん。何故、ここに連れてきたのですか?」
金島が聞いてきた。
「飼い主探しです。学校なら人がたくさんいますし、見つかるかなぁ、て。」
「あともう1つ。・・・・・・ちゃんと、洗ったんですよね?その小犬達。」
金島が真剣に聞く。
「あ、はい!汚いと先輩が嫌がると思って、ちゃんとよく洗ってきました!!」
真夜が思わず敬礼をした。
「ならいいですよ。しっかり面倒を見るように。」
「はい(魔王様)!!」
真夜はしっかり返事をし、空の段ボールを置き、ペット用のトイレシートを段ボールの底に敷いた。
「これで完璧です!!」
満足したように金島がニコニコしている。
「金島先輩も。」
と言い、土田が金島に子犬を差し出した。が、シャンプーしたとはいえ、野良(子)犬を抱くのは嫌だったらしく、金島は子犬の頭を撫でるだけにした。多分、あとで手を洗いに行くだろう。全員、心の中でそう予想した。
「風天先輩もどうです?」
土田が今度は風天に子犬を勧める。
(風天先輩が、子犬と戯れる!!見たい!見たい!!絶対萌える!!)
真夜が心の中だけでテンションをMAXにさせる。
「うーん・・・・・、じゃあ、ちょっとだけ。」
と言い、風天は土田から子犬を受け取り、子犬を抱きかかえた。真夜は土田の陰に隠れて携帯を取り出し、カメラ機能を起動させ、シャッターを切った。
が、隠れているのに風天以外にはその行動が丸見えだった。金島にはクスクスと笑われ、隠れる壁にされていた土田は「またかー」という顔をする。真夜的には、風天にさえばれなければ別にかまわないと思っているので、問題はない。なので気にせず、次のシャッターチャンスを待つ。
すぐにその時はきた。子犬が風天を好いたようで風天の頬をペロペロと舐めだしたのだ。
「こら、やめろって。ハハハ。」
子犬に舐められながら子犬にデレている風天。真夜はここぞとばかりにシャッターを切り、撮った写真がちゃんと保存されているか確認し、次は風天の今の姿を一生懸命目に焼き付る。
(子犬ちゃん、ちょーナイス!!)
拾ったかいがあったなぁ、と真夜は思っている。
ちなみに、日陽が植幸が抱えていた子犬を撫でようとしたら、噛まれた。
突然ドアが開かれた。そこに立っていたのは、火室と水原だった。
「い・・・・・、犬・・・・・・。」
火室がそうつぶやくと、植幸がうれしそうに火室に駆け寄った。
「お兄ちゃん。見て見てぇ、ワンワン!」
子犬がかわいらしくクーンと鳴いた。火室は子犬に触ろうと、躊躇いがちに手を出す。が、近くに火室の手が来たとたん、子犬は怯えた。
「・・・・・・・・・。」
そんな子犬を見てフリーズした後、火室は、
「おい!真夜!!」
と大声で言った。真夜が火室のほうを向く。
「こんなもん拾ってくるのはどうせ真夜だろ!何で連れてきた!!」
「こんなもんって・・・・・、子犬がかわいそうですよ!」
「っう・・・・・・・・。」
火室がたじろう。
「月影さん、睦を怒らないでください。」
「金島先輩・・・・・。」
「睦は、子犬に懐かれなくて不機嫌になって、八つ当たってるだけですから。」
「あー、やっぱりそうだったんですか・・・・・・・。」
親友と妹にはお見通しようだ。
「睦って、小動物が大好きなんですけど、いつもも懐かれるどころか、怯えられる始末で。」
「さ、慧!余計なこと言うな!!」
「あー、大丈夫だよ、お兄ちゃん。そんなこったろうと思ってたから。」
「!!!」
真夜は心の中だけでクスクスと兄を笑った。
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