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〇13-3.お兄ちゃんのお手伝い・後編

(そのためには・・・・・・・・・・。)

現代社会の授業が終わり、次の授業との間の10分休み。俺は実の席まで行った。気付いたら慧までいたが、いつものことと言えばそうなので、「まぁ、良いか」、と放置。

「実。」

ボーっと、まだ窓の外を眺めて続けている実に声をかけた。しかし、応答なし。

「実!」

「うわぁぁ!!び、びっくりした~!如何したの?睦。いきなり大きな声出して。」

窓の外にいる真夜を眺め、そのときに感じていた幸せな気持ちの良いに浸ってボーっとしていた実は、俺や慧が近くいにいたことに全く気付いていなかったようだ。決して、俺の声が大きすぎたわけではない。まぁ、それは良い。とりあえず本題だ、本題。

「実。」

「ん?何?睦。」

「今日の放課後、真夜に明日は弁当を持ってこないと言え。」

「え?何で??」

「良いことが有るぞ。」

「良いこと・・・・・・・・?」

実がコテンと首をかしげた。真夜が見たら喜びそうだ。

「良いことって何?睦。」

「真夜の手作り弁当が食えるぞ!」

「本当!!」

こっちまで嬉しくなるくらい、実がうれしそうにする。それと対照的に、

「そこはネタバラシしては駄目でしょ・・・・・・・・・。」

と、俺の言ったことで何が如何なのかを理解した慧が頭を抱えながら、俺に冷たくツッコミを入れた。

「別に良いだろ。俺がわざわざ言わなくても、分かることだろうし。」

普通は(・・・)そうですよ。でも、実の場合はその考えに至りませんよ。ド天然なんですから。睦、実の天然っぷりをなめすぎですよ。ここは黙っておいて、驚かすのが正解です。」

「うっ!!」

た、確かに!!

「実も、にやけて無いで。ここは怒って良いところですよ。実がそんなんだから、睦が懲りないんです。」

(うっ・・・・・・!怒られる。)

実に怒られると、怖いわけではないのだが、誰に怒られるより心に刺さる。俺にとってダメージがでか過ぎる。だから、止めてほしい。真夜に泣かれるのと同じくらい止めてほしい。

「え?怒らないよ?」

実はキョトンとして言う。怒られると思い、怒られる前から動揺してる俺は拍子抜けした。

「だって、俺、凄く楽しみだもん。」

まぁ、ここで怒ったり、呆れたりしたら普通すぎる。実るらしい。

「それに、いきなり持ってこられたらこられたで、やり残しが出ちゃうし。今から計画立てておかないと!」

(や、やり残し・・・・・・・?な、何のことだ?)

「真夜を膝にのっけって、あーんしてもらいたいんだぁ。」

実がフニャリと笑いながら言った。そうと楽しみなようだ。

「とことん目指しますね。バッカプルを。」

慧が呆れながら言う。

「うん!真夜のこと大好きだから!それに、恋人の手料理をあーんしてもらうんだよ?ちょっとした新婚さん気分が」

し・ん・こ・ん、だとーー!!

「実!!」

「うわぁ!!」

俺は実の肩をガシッと掴み、

「安心しろ!お前の願いはこの俺が叶えてやる!!」

と宣言した。新婚気分を味わう。これは2人の結婚のための第一歩なのでは!?

「え!?え!?」

実が何のことだか分からず慧に助けを求めるような目をしていることに気付かず俺は燃えていた。

「・・・・・・・・どうやら、睦の変なスイッチが入ってしまったみたいですねぇ。」

と慧がやれやれと言った顔をしながら言った。

(おい。変とは何だ!?変とは!?)


 俺は家に帰った後、真夜にメールをした。よし!これで完璧だ!



 真夜は自室でテレビを見ながらゴロゴロしていた。

ゴロゴロー ゴロゴロー

「真夜ちゃん、ダラダラしすぎ。」

テーブルで勉強していた水原が、言っても意味がないことは分かっているが一応注意してみた。

「だってぇー、録画してたアニメが溜まってるんだもん。」

と、真夜が答える。

「だったら、溜まるほど録画しなければ良いでしょ!・・・・・・・・・・て、今更かぁ。」

「そうだよー。今更だよー。」

「もう。自分で言わないの。悪いのは真夜ちゃんでしょ。」

「テヘ☆(棒)(ほしかっこぼう)。」

「ホシカッコボウまで言わなくて良いの!」

「テヘ(棒)(かっこぼう)。」

「こら!言ってるそばから・・・・・・・。ホシ消せば良いって問題じゃないよ。」

♪~

携帯が鳴った。

「真夜ちゃん、携帯鳴ってるよ。」

着信音から自分の携帯ではないと判断した水原が言った。

「取って~。」

真夜がゴロ~ンとしながら言った。

「はいはい。」

水原が真夜の机の上にあった真夜の携帯を手に取り、真夜の渡した。

「聞き慣れない着メロだね。誰から?」

真夜は電話帳に登録している一人一人全ての電話・メールの着信音に別のアニソン・アニソンアーティスト曲を登録している。人物、メールか電話か。それによっていシギなのかどうかが変わってくる。真夜はそれを一発で分かるようにするため、余り連絡の来ない人であっても着信音を変えているのだ。だが、1つ1つチマチマと登録するのはめんどくさい。そんな作業をめんどくさがりの真夜がやるのかと思うが、それがやるのだ。如何やら、前世の病院引き篭もり生活で暇を持て余して真夜は、前世から機械をよく弄っていた。機械といっても主はPC。そのせいで、金島すら驚くぐらいのPCスキルを持ってる真夜。それくらいのスキルを得るためには、かなり機械を弄っていたのだろ。そんな生活を送っていた真夜にとって機械弄り苦ではないようだ。携帯と言う名の機械を弄る動力よりも、急用か急用じゃないかどうか分からない方が真夜的にはめんどくさいらしい。

「ん?お兄ちゃん。」

真夜はメールの内容を確認するため、携帯を弄った。

「え!?火室先輩!?」

「うん。」

「あのアポ無し人間が?連絡を!?」

「うん。そうそう。何か内容確認する前から碌なこと書いてない気しかしないよね~。」

「いや、それ以前に脳内補正が必要な文章なような気がする。」

「あぁ、確かに。それ、絶対必要~。」

と真夜が笑いながら、弄り終えた携帯の画面の見る。それに続くようにように、水原も真夜の携帯の画面を除きこむ。半同居人の2人の間に、プライバシーの存在は(ぜろ)に近い。真夜の携帯のロックの解除方法を本人公認で水原も知っているが、建前上基本的にはやらない。だが、真夜が(主にゲームで)手が離せずお願いされたときには普通にロックを解除する。

「「・・・・・・・・・・・・・。」」

2人が顔を引きつらせる。メールの文はたった一文のみだったため、直ぐに読めた。

「・・・・・・・、やっぱり・・・・・・・・・。」

「だ、だね・・・・・・・・・。」

やっぱり、文章は2人の予想通り脳内補正が必要な文章だった。

「何?この5W1Hが抜けまくってる文章・・・・・・・・・。」

「いつも通りと言えばそうなんだけど・・・・・・・・・。うん。火室先輩らしすぎて、呆れる。」

「これさぁ。私以外の若い女の子に送信したら、確実にoutだよね・・・・・・・・?」

「out、out。どういう思考回路したら、何の前フリもなく、いきなりこんな文章を送ろうと思うんだろうね?」

「知らん。理解したくもないし、理解できた時点で仲間入りでしょ!」

「アホで頓珍漢で、一般常識が頭の中から遠い時空の彼方まで跳んでいってる人間の仲間入り?嫌だね、それは。」

「でしょ~。まぁ、でも、それで被害に遭うのはお兄ちゃんだから、私には関係ないけどね。」

「と、思ってると痛い目に合うよ。多分。きっと嫌でも巻き込まれると思うよ。」

「止めて!思っててもあえて言わなかったのに!口に出すと実現しそうだから止めて!」

「ご、ゴメン!って、もう言っちゃったけど・・・・・・・・。」

「うわぁ~ん!瞬く~ん!」

メールに書いてあったのは『明日、あーんしろ』たったこれだけであった。この文章を火室のことをよ~く分かってない人が読むと、『明日(お前が俺に(・・))あーんしろ』という文になる。だが、真夜や水原のように、火室睦という人物がどれだけアホで頓珍漢で、一般常識が頭の中から遠い時空の彼方まで跳んでいってる人間なのか分かっていて且つ、明日何があるのか分かっている人間が読むと、『明日(お前が実に(・・))あーんしろ』という文章と成るのだ。

「・・・・・もう。そう考えたら弄ってきた。」

泣きまねを止め、ムッとしながら真夜が言った。

「火室先輩に?」

「うん。」

真夜は携帯を操作し、携帯を耳に当てた。

プルルル・・・・・・・ プルルル・・・・・・ ピッ

『・・・・・・何だよ真』

「お兄ちゃん」

『ん?』

「お兄ちゃんのドォアホーーーーーーー!!」

『な、何だよ!?いきな』

ピッ ツー ツー

真夜はこれだけ叫んで、火室の文句も聞かずに通話を終了させた。

「スッキリした?」

と水原が訊くと、

「うん、まぁ・・・・・、ボチボチ?」

と真夜が返した。ボチボチとはいってもさっきのようにムッとしてはいない。

 携帯を机に置いた真夜は何事も無かったように、火室のせいでまともに見れなかった再生しっぱなしだったアニメを巻き戻し、アニメ鑑賞を再開した。



(クソッ・・・・・・・!)

何故真夜は怒ったんだ?電話を切られ、数分たった今でも耳が痛いくらいの音量で怒鳴られた。真夜が電話をかけてきたタイミングから考えて、さっき送信したメールが原因だろう。でも、あのメールの何処に怒鳴られる要素があったんだ・・・・・・・・?さっぱり分からん。

 時々、いきなり真夜から電話がかかってくるときがある。そのときはいつも、こっちの言い返しも聞かずに真夜が一言怒鳴って通話が切られる。だが、何で真夜が怒ってるのか理由が理解できたことは一回も無い。次、真夜に会った時に何故怒っていたのかと問うと、決まって「どうせお兄ちゃんには理解できないので言っても無駄です。」とだけ返ってくる。真夜が答えないなら、真夜の半同居人である水原なら知ってるだろうと思って訊いてみても、初めの方は答えてくれたが、その答えに俺が理解できないと言うことが何回も続いたため今では「先輩には理解できないと思います。」としか返ってこなくなってしまった。真夜だけではなく、水原まで言うのだから俺の方が悪いのは分かってはいるんだが、・・・・・・・・何がいけないのか?


 次の日。なんだかんだで、作戦は大成功したらしい。それを引きずってだと思うが、放課後いつも以上に2人がくっついてた。

(よし!成功した!)

これで良い。2人結婚に一歩でも近づいたのなら俺は真夜の兄として、実の親友として大満足だ。

 だが、さらに次の日の放課後。

「睦~~~。」

「お兄ちゃ~ん。」

今日の分の風紀委員の仕事が終わり、生徒会の方も仕事が終わったようなので帰ろうとしたところ、天然バカップル2人に呼び止められた。

「睦!」

「お兄ちゃん!」

2人は仲良く隣に並んで俺の前に立ちふさがった。そして、

「「ありがとうございました~!」」

と言って何故か俺に頭を下げてきた。

「・・・・・・・・・、はぁ?」

(な、何のことだ??)

さっぱり分からん。

「だって、お兄ちゃんが実先輩にお弁当を持ってこないように言ってくれたから」

「睦が真夜にメールしてくれたから」

「イチャイチャtimeを満喫できたんですよ、私達!」

「だから、これ」

と言って、実が鞄から何か包みを取り出した。

「2人で作ったんです、これ。」

「食べられないこととは無いと思うんだけど・・・・・・・・、真夜みたいに上手く作れなくって・・・・・・。」

如何やら食べ物なようだ。

「そんなのこと無いですよ!美味しかったですよ!」

しかも、ちゃんと味見済み。

「う~ん・・・・・・・・。でも、真夜の意見だしなぁ。なんかフィルターかかってそう・・・・・・。」

それの関しては否定できない。実に関して真夜は元々ある変な思考にさらに磨きがかってるからな。

「フッフッフー。そう言うと思ってましたよ!」

自分でも自覚あるなら直せよ。それがなくなったら真夜っぽくないからまぁ良いか。

「先輩が帰った後、とーっても勿体無いと思ったのですが、実先輩のために心を鬼にして、作った残りのうちの1枚を瞬君に試食してもらいました!感想は『うん。普通。』。つまり、瞬君の検査をちゃんと通過してるものなんです!」

な、何なんだ!?その食品衛生みたいな話は!?

「そっか!なら、大丈夫だね!水原なら異物に敏感だから、異物があったら直ぐ分かるもんね。異物には1番慣れてるもんね。」

「はい!」

水原と異物。つまり、その異物と言うのは、もしかしなくても月影先輩の手料理(凶器)のことなのか!?それと比べるとはどんなものなのかと、俺は包みを開けた。見た目は・・・・・・・・・、普通だ。くっきーが4列×4列、計16枚箱に収まっていた。白、茶、白、茶。次の列は茶、白、茶、白というように、白いクッキーと茶色のクッキーが同じ色で隣り合わないように並んでいた。

「ココア味は私が作って、プレーン味は実先輩が作ったんです。」

箱を見て固まって俺に真夜がそう言った。

「さぁ、お兄ちゃん。せっかく開けたんですから、白いプレーン味の方を食べてみてください。実先輩が凄く不安そうなので、美味しいって言って不安を解消してあげてください。」

「ま、真夜!駄目!」

実、何でそんなに自信が無いんだ?まぁ、確かに実が料理することは無いが、真夜も水原もOKを出したものだぞ?

 俺は白い方のクッキーを口の中に放り込んだ。

「・・・・・・美味い。」

普通だ。普通の味。普通のクッキー。なんというか実らしい。

「ほ、本当!?睦!」

「あぁ。」

「良かった~。やったよ、真夜。」

と言って、実は真夜を抱きしめた。

(おい・・・・。)

抱きしめられた真夜は嬉しそうにしながら、

「実先輩が頑張ったからですよ。」

と言い、実の胸にスリスリとする。

(おい・・・・・・・・・・。)

「イチャツクのは後で好きなだけやっれば良い。後にしろ。」

そして俺の話しを聞け。

(というか、俺を放置するな!!)

帰って良いなら帰るけどな。だが、訊かなければならない。

「あ・・・・・・。ゴメン。」

おい、実。本当に悪いと思ってるのか?真夜を抱きしめたまま言っても何の説得力も無いぞ・・・・・・・。

「で、お兄ちゃん。何ですか?」

真夜、お前に関しては悪いと思うどころか反省する気すら無いだろ!まぁ、話を聞く気はあるようだから怒らないで置く。もはや、諦めだ。

「何でばらしちまうんだよ・・・・・・・・。」

と俺が言うと、

「?」

「何をです?」

2人は「さっぱり分からない」という顔をし、顔を見合わせてコテンと首をかしげた。

「俺が手回してたことを、だよ。」

これで何のこと何なのか分かっただろ。

「いやぁ、何か悪いかなって。ね。」

と実が言うと、真夜はコクコクと頷いた。

「良い思いしたからなおさらですよね。」

と真夜が言うと実がコクコクと頷いた。

「お兄ちゃん、私達のために色々してくれたじゃないですか。私達が付き合う前から。」

「だから、ありがとう。」

「ありがとうございました!」

2人は笑顔でそう言った。

(良いやつ過ぎるんだよ、お前らは。)

 だから、常に小馬鹿にされても、「本当にボケじゃないのか!?」と訊きたくなるくらい天然でも、嫌いになれないし、ほっとけないんだよ。

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