ジャパニーズ・スシ
【アルメリア視点】
金星都市ビーナスで勇者パーティー女性で、お買い物中です。
案内の方にお食事を取るために、連れてきて貰いました。
ユリウスから話には聞いてました、フードコート? と呼ばれる形式の食事処。
中央にたくさんのテーブルとイスがあり、それらを囲むように様々な店舗がある。
それぞれが自分の好きなお店から、買ってきた物を中央にあるテーブルで食べられるようですね。
お昼時だからでしょうか? テーブルはたくさんありますが人がいっぱいです。
そこら中から美味しそうな香り漂います。
お店もたくさんあり目移りしてしまいますね。
あっ、あれはユリウスが前に言っていたラーメンっというものでは……
あっちのはカレーと言ってたはず、凄い見た目ですね。
こっちはステーキですね。いい匂い……何のお肉でしょうか?
そっちは……まさか……ユリウスがあんなに必死に説明してくれてた……ジャパニーズ・スシと言うものでは?
本当に生魚の切り身が上にのったライス? ユリウスが騒ぐほど美味しそうには見えませんね。
しかし、周りを見るとジャパニーズ・スシを食べている人も多くいて……みんなが笑顔でした。
「そうですか……いいでしょう。私も話に聞くジャパニーズ・スシを頂きましょう。すいません、私にも一つ下さい」
魔導ライセンスで買いすでに目当ての料理を持ち帰った、王女様とミリアン様がいたテーブルに座ります。
王女様は私が持ってきたジャパニーズ・スシを『魚!』という顔をしてコチラを見ていた。
あー、私もサウス領生まれの女です。
一度、お皿に取った物を残す事など出来ません。
ちなみに王女様の前には湯気がたち、綺麗に盛り付けられたパスタがある。私もそっちの方が……おいしそ〜。
ミリアン様は……料理が多すぎて分かりませんね。
「はぁ〜、ふぅ〜」よし、気合いが入りました。
ジャパニーズ・スシを食べてる人を見ると……
えっ、手づかみですか? あっちはユリウスも使っていたオハシという木の棒ですね。
どちらが正しいのでしょうか?
でも……女子的にはやはり手づかみは少し……
オハシで頂きましょう。ユリウスのマネをして練習していたかいも、あるというものです。
皆さんはお皿に黒い液体に浸してから、食べてますね。
黒い液体はなんなのでしょうか?
炭を溶かした水が近いでしょうか……
あの色でどのような味がするのでしょうか……
「全く食欲が湧きませんね……ゲテモノ料理みたいで勇気が入りますね」
一度気合いを入れましたのを、もう一度目をつぶり気合いを入れ直すと……
「……食べないの? 私が食べる……」
横から自分の食事をすでに終えていたミリアンが『ヒョイ』と手づかみでジャパニーズ・スシを皿に入れてあった黒い液体に付けてから『パクリ』と食べた。
「あっ」私が気後れしているところに、ミリアン様は恐れる事もしないでジャパニーズ・スシを口に運んだ。
そっとミリアン様の顔を覗くと……えっ、動きが止まってる?
やっぱり生魚は……
「美味しい〜……」始めてかも、ミリアン様が目をカッと見開き目がハートになってる。
口に付いた魚の脂でテカテカと光って少しエッチな感じです。
……って違います。美味しいのですか?
それならば、いざ参らん……ですね。
『パクリ……』
えっ? 美味しいです。食わず嫌いというものです。
ユリウスがあんなに真剣に私に話してくれたのも、理解出来ます。
生魚という事で勝手に生臭いのを想像してました。
この黒い液体も、程よく塩気がありその奥にほのかな甘み。非常に複雑な味ですね。
一つ一つの味を確認して次のジャパニーズ・スシを食べようと手を伸ばすと『スカッ』と何も掴めませんでした。
お皿にあったはずのジャパニーズ・スシは全てミリアン様が食べてしまったみたいでした。
ミリアン様の頬がハムスターみたいにプックリと膨らみモグモグしてます。カワイイ〜。
あ〜、違います。私のジャパニーズ・スシが……
仕方なく私はもう一度貰う為にジャパニーズ・スシの列に並びました。
それを見ていた王女様とミリアン様も一緒に、列に並び順番を待ちました。
「貴方達があまりにも美味しそうに食べるものですから、私も食べてみたくなりましたわ」
「……美味しい、久しぶりの衝撃……」
私も二人に同調してニッコリと笑いました。戦いの日々に少し心が乱れていた気がしますね。
やはり美味しい物を食べるのは良いものですね。
生きる糧を得る……生き甲斐というものです。
順番が進み、列が徐々に短くなり、ついに私達の番になりました。
ミリアン様はワクワクした顔になり、王女様も顔をほころばせています。もちろん私も……
私達は声を揃えて注文をしました。
「「「ジャパニーズ・スシを下さい」」」
待ちきれなかった私達は大きな声で言いました。
その声に反応したのかフードコート? の中の人達は先程の騒ぎとは違い『し〜〜〜〜ん』と静まり、その後『どっ〜〜か〜〜ん』と大爆笑が起こりました。
「ガッハハ。ネーチャン達、これはお寿司って名前なんだぞ。確か大アニキがこじらせている外国人がジャパニーズ・スシって言うと、言ってたはずだな」
親切な顔面凶器な四番隊員が教えてくれた。その後味わったお寿司は涙で塩辛い味でした……恥ずかしい。
ユリウス、なんで普通の名前を教えてくれなかったのよぉ〜……




