Can't Stop You Nyaa! 2
全ての感覚が研ぎ澄まされ、脳内が静寂に包まれた。
今の私なら何でもできそうだった。
そんな感情とは裏腹に、体は燃えるように熱く、内側から止めどなくエネルギーが湧き上がって来る。
もの凄い全能感。
これがあの、モードに入ると言う感覚だろうか?
「ああぁ……どんだけボクらに信用が無いんだにゃぁ……」
なんかテルみんが落胆しているが、そんな事はもうどうでもいいだろう。
今なら、百メートル先のバスケットゴールに、スキル無しで石を打ち入れそうな気分だ。
「こうなったら仕方ないにゃ。猫猫。今の君は完全に魔力のリミッターが外れている。つまり、今まで適当に使っても何とかなってた出力のコントロールを全部自分でやらなきゃならないにゃ」
「それに何か問題が?」
「もうそう言ってる事が問題なんだにゃ」
『ホウ ナカナカノ パワーダナ コレハ イイショウブガ デキソウダ』
相手が何か言っているが、それはどうでもいい。
今は、この力を試してみたくて仕方がない。
「『”エンチャント・マ――
ボッ!!
!?
私がパチンコ玉にエンチャントをしようと思った瞬間、唱え終わるよりも早くエンチャントのスキルが発動する。
え、詠唱破棄?
すごっ……。
ゾクゾクゾクッ!!
「ふぅうううううう!!」
私は左手に持ったパチンコ玉を放り投げると、素早くその左手に鞭を持つ。
『ソンナ パチンコダマデ ワレヲ――』
「相手のゴールに……シュゥゥゥーッ!!」
ズパァアアアアンッッ!!!!!!!!
空気を切り裂くような轟音。
ゴォオオオオオオオオ……。
そして地響きのような残響。
地下室全体が揺れ、天井からパラパラと何かが落ちて来る。
『…………エ??』
「超!! エキサイティン!!!!」
『ギ……ギィイャァアアアアアアアアアア!!!!』
男の右腕が吹っ飛び、背後の壁には大きなクレーターが出来ていた。
「あれぇ?? 頭を狙ったんだけどなぁ?? てか何で全裸なん?? キッッショwwww」
いつの間にか全裸になっていて、なんか紫っぽくもなっている男。
今までの私なら嫌悪感を抱いていただろうが、今はそれが可笑しくて仕方ない。
『クソ……オレノ ミギウデガァア……アレ? ナンカ ハエテキタ?』
「あっはっはっは!! 何かさっきより全体的にゴツくなってね?? なのに〇〇〇ちっさ!!」
「!?!? ダ……ダマレッ!! コンドハ オレノ ターンダッ!!」
「はぁ?? それで?? 何やるの?? またポ〇モンバトルでもするぅ????」
『ソウダナ ジャアコレハ ドウダッ!!』
男が左手前に突き出すと、そこに大人しかった周囲の幽霊がどんどん集まって行く。
そして、それが人型に凝縮して姿が形成されて行く。
『イケ ミュウスリー!! ”ハカイノバースト”ダ!!』
チリチリチリ……。
その幽霊の正面に、何か暗黒っぽいエネルギーが集中する。
キュィイイイイイイイイインッ!!
仰々しいエフェクトをまき散らし、どす黒い球体が増大する。
ゴバアアアアアアアアアアアッッ!!!!
そして、そのエネルギーの塊が全て、こちらに向けて照射された。
ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!
『グハハハ!! シマッタ!! コレデハ チリモ ノコランカモ シレンナ!! ガキハ アマリ コノミジャ ナイガ カナリノ レアコタイ ダッタノニ!!』
「へぇ?? 私がガキに見えるってことは、もしかしてあんた、熟女好きぃ??」
『ナ!? ナニィイイ!?!?』
塵の中から現れた私を見た男が、目を見開いて驚く。
「猫猫っ!! 冷静になるにゃ!! 今のでサンが死んだらどうするんだにゃ!!」
「関係ないねそんなクソガキ!! 死んだ方が世の中にプラスなんじゃね??」
「オイっ!! テルミドール三世!! 何で”オーバードライブ”を止めなかったんだガウ!! この調子じゃ全員生き埋めだガウッ!!」
「まずいにゃぁ……これは普通の職員じゃ止められないにゃ……」
もう誰も私を止められないっ!!
このまま……優勝だぁーーーーーーー!!!!
「どうせ反動で動けねぇんだろをぉおおおお!!!!」
『ヒィイイイイイ!! ナ ナゼ ワカッタンダァアア!!!!』
「もっとアゲアゲで行くぜぇえええええ!!!!」
『ヤメテェエエエエエ!!!!』
「うぉらぁああああ!!!!」
ドゴオォオオオン!!!!
『ピィッ!?!?』
「まだまだぁああ!!!!」
ズゴォオオオオン!!!!
『ピャァッ!!??』
バキャァアアアン!!!!
『…………ホォォ』
じょろじょろじょろじょろじょろ……。
「あっはぁああ!!!! 小便たれてやんのぉお!!!! きったねぇええええ!!!! はぁああああ!!!!」
きもちいぃいいいいいいい!!!!
絶頂よりも何十倍もきもちぃいいいいいいいい!!!!
「完全にキマってるにゃぁ……」
「く……崩れるガウっ!!!!」
あぁあああ……はぁああああ……ふぅうううう…………っっっっっっっっつつ!?!?!?!?!?!!!!
「あっあっあっ……うぅううううっっ!!!!!!!!」
「ひぃやぁああ!! き……キ○ガ○……おもらし女ぁあああ!!!!」
んんんんん????
小便垂れはぁああ????
おまえだろぉおお????
…………。
あ、私もだぁ……。
あったかくてきもちぃい……。
「そろそろアウトですね」
…………ん??
「にゃにゃっ!? ローレルっ!! 今までなにやってたにゃ!?」
「いやー、なかなか面白い物を見せてもらいましたよー!」
「ぴやぁああ!? ……は? 誰??」
「ガウッ!? ……まさかっ!!??」
「ローレルぅうううう!! こんばんわぁあああああ!!!!」
今更出て来て何のつもりだぁ????
「まさか手柄を横取りする気かぁ?? ローレルぅ????」
「手柄? いえいえ。これ以上やると、本当に殺してしまいかねないので」
はぁあああ????
「ったりめーだろぉおおお!? ぶっ殺す以外何があるってんだよぉおお?? ローレルぅう????」
「あとはあなたの精神がそろそろ限界なので、強制的にシャットダウンさせてもらいますねー?」
「……見てたなら何ですぐに出てこなかったにゃ?」
「封印だぁ???? 上等だぁ……やってみろやぁあああああ!!!!」
「はい」
…………????
「……あ?」
ローレルが急に目の前に移動したと思ったら、私の頭にポンと右手を乗せた。
すると、なんか頭の先からつま先まで、さーーっと何かが降りていく感覚があった。
「初めてオーバードライブした感想はどうですか?」
「……え?」
……あ。
「今……私…………。何して……た?」
「マジ○○して小便垂れてたぞクソババア」
「…………え……あ……」
「いやー! 思ったよりも不健全でしたねー? サンさんにはちょっと刺激が強かったんじゃないですかー? すみませんねー」
…………。
私は自分の足元を見る。
そこには水分の溜まったローファーと、ささやかな水たまりがあった。
「……嘘」
「ウソじゃねーよこの変態クソババア!! おめーの〇〇〇でサニーを殺す気かこの○女!!」
「……いや……い……や」
いやぁああああああああああああ!!!!
「あぁあああああああああああああ!!!!」
「あー、ぶり返しがきましたねー。でも、少しだけ我慢してくださいねー」
「うぁああああ!!!! あぁあああ……!! あぁああああ……うぅううう……うぅう……」
嘘だ嘘だ嘘だ!!
あんなの私じゃない!!
「キャハハッ!! 何コイツおもしれー! 情緒バグってんだろっ!」
「難しい言葉知ってますね? あとその口調、さっきの猫猫さんみていです」
嫌だ嫌だ……。
私、男の人を痛めつけて何してた?
こんな人前で何を言ってた??
おしっこまで漏らして……私……最後……あ……ああああっ!!
「うあぁああああああああああああああああああ!!!!」
「はいよく頑張りました。お休みなさい、猫猫さん? 良い夢を」
うわああああああああああああ……あっ




