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考察

 うわ、いい言葉。

 いや、良くないんだけど、良い。


 ◆


 考察


 死の花は、水を与えれば必ず安全になるのではない。土壌条件の変化による劇毒化は別稿第二十四篇に譲る。一定条件が長く固定されれば、その鳴音がプテラケファルスにとって好適な求愛場を形成しうる。ゆえに再開発区画は、安定供給と不安定音響を同時に成立させねばならない。


 ここで重要なのが、二段階の防除である。

 第一段階として、区画ごとの水分量を周期的に変えることで、花音の音域と残響をずらし、生育した環境と結び付いた好みの音を固定させない。

 第二段階として、硬質化素材による人工音を重ね、オス、メス、花の音の重なりそのものを阻害する。

 この二段階により、当該翼竜を単に追い払うのではなく、求愛成立条件を崩すことができた。よって本事業における区画整理は、農地整理であると同時に、繁殖阻害のための音響設計でもある。


 また、本事業は死の花畑を公共設備として位置付け直した。

 死の花は毒草でも霊異の徴でもなく、

 軸受けを生む畑であり、

 油を生む畑であり、

 補給食を支える畑であり、

 工芸素材を生む畑であり、

 同時に、防除音響を構成する畑である。

 この多機能性こそが、西部荒野再開発において他の作物に代えがたい理由である。


 ◆


 はいどうも、チーム・ミスリルの瑠璃ちゃんだよ!

 ちょっと意図して途中までなんだけど、いってみまっしょう!


 いやあ。

 D。

 Discussion。

 考察です。


 ここ、いいねえ。

 かなりいい。


 だってさ。

 結果のところで、ちゃんと効きました、回りました、閉じました、景観にもなりました、って出したじゃん。

 そこで終わらずに、

 じゃあそれって何だったの、

 を言いに来てる。


 しかも、いきなりこれ。


 死の花は、水を与えれば必ず安全になるのではない。


 はい、強い。

 めちゃくちゃ強い。


 好きなんだよね、こういうの。

 成功しました、で気持ちよくなった直後に、

 いや、そう単純化するなよ、

 って釘を刺してくるやつ。


 しかもその刺し方が、ちゃんと前の議論と噛み合ってる。


 一定条件が長く固定されれば、その鳴音がプテラケファルスにとって好適な求愛場を形成しうる。

 ゆえに再開発区画は、安定供給と不安定音響を同時に成立させねばならない。


 はい。

 来ました。

 ここです。


 安定供給と不安定音響。


 うわ、いい言葉。

 いや、良くないんだけど、良い。


 だってこれ、

 ふつうなら両立しにくいものじゃん。

 安定したい。

 でも固定したくない。

 回したい。

 でも鳴らしすぎたくない。

 育てたい。

 でも寄せたくない。


 その、相反しそうなものを、同時に成立させねばならない、

 ってはっきり書く。


 うわあ、好き。

 この論文、ずっとそうなんだよね。

 雑に一個の目的へ収束しない。

 複数の要請が噛み合わないまま並んでることを、ちゃんと認めてる。


 で、その次。


 ここで重要なのが、二段階の防除である。


 はい、来ました。

 好き。


 第一段階。

 区画ごとの水分量を周期的に変えることで、花音の音域と残響をずらし、生育した環境と結び付いた好みの音を固定させない。


 第二段階。

 硬質化素材による人工音を重ね、オス、メス、花の音の重なりそのものを阻害する。


 いやあ。

 ほんとに性格わるい。

 でも好き。


 しかもここ、前よりさらに整理されてるんだよね。


 水を変える。

 音を揺らす。

 それでも残る重なりには、人工音を差し込む。


 つまり、

 まず地面側から崩す。

 次に空気側から崩す。


 そういう二段なんだよね。


 うわあ。

 いい。


 しかもこの論文、最後の言い換えがうまい。


 当該翼竜を単に追い払うのではなく、求愛成立条件を崩すことができた。


 そう。

 ここなんだよ。


 追い払う、じゃない。

 成立しない、に持っていく。


 これ、Methods からずっと一貫してるんだけど、

 ただ敵対してるわけじゃないんだよね。

 相手が何に依ってそうなるのかを読んで、

 その依存条件をずらす。


 だから、防除っていうより、環境の先回りなんだよね。


 で、ここもいい。


 よって本事業における区画整理は、農地整理であると同時に、繁殖阻害のための音響設計でもある。


 はい。

 好き。


 農地整理であると同時に、音響設計。


 普通、同時に並ばないじゃん、そんな二語。

 でも、この論文の中では並ぶ。

 並ぶし、並ばないと足りない。


 いやあ、いいねえ。


 で、私はここで、さらに好きになりました。


 また、本事業は死の花畑を公共設備として位置付け直した。


 はい。

 来ました。

 位置付け直した。


 これ、かなり大事。


 だって、死の花って、ただの植物じゃなかったわけじゃん。

 毒草でもあり。

 不吉でもあり。

 荒野の死骸のそばに群れるものでもあり。

 つまり、意味づけが先に貼られてる存在だった。


 そこへ来て、位置付け直した、だよ。


 うわ。

 やるねえ。


 しかも、その直後が強い。


 死の花は毒草でも霊異の徴でもなく、

 軸受けを生む畑であり、

 油を生む畑であり、

 補給食を支える畑であり、

 工芸素材を生む畑であり、

 同時に、防除音響を構成する畑である。


 はい。

 拍手。


 ここ、めちゃくちゃいい。


 だってこれ、

 植物の説明じゃないんだよね。

 役割の列挙なんだよ。


 何であるか、じゃない。

 何を支えるか。


 軸受け。

 油。

 補給食。

 工芸素材。

 防除音響。


 つまり、死の花を

 象徴

 から

 インフラ

 へ変えてる。


 うわあ。

 でかい。


 しかも、

 毒草でも霊異の徴でもなく、

 って最初に切るのがいいんだよね。


 いや、わかるよ。

 そんなふうに見られてきたんだよね。

 でも、そう読むな。

 これからは、支えるものとして読め。

 って言ってる。


 かなり強い。


 私はここで、ちょっとだけ姿勢を直しました。


 だってさ。

 前までは、

 死の花をどう育てるか、

 どう鳴らすか、

 どう防除に使うか、

 って読んでたじゃん。


 でも、考察に入ると、

 それだけじゃない。

 死の花畑を公共設備として位置付け直した、

 って言うんだよね。


 つまり、もう畑ですらないんだ。

 畑なんだけど。

 でも、畑だけではない。


 設備であり。

 供給基盤であり。

 音響設計の一部であり。

 補給の後方であり。

 工芸の素材庫でもある。


 うわ、好き。

 だいぶ好き。


 で、最後のこの一文もいい。


 この多機能性こそが、西部荒野再開発において他の作物に代えがたい理由である。


 はい。

 きれい。


 ただ珍しいから使うんじゃない。

 ただ効率がいいからでもない。

 多機能だから代えがたい。


 これ、再開発の作物選定としてすごくいいよね。

 収穫量だけ見てない。

 単価だけでもない。

 その作物が、どれだけ多層の役目を持てるかで選んでる。


 いやあ。

 考察、かなり良いです。


 というわけで、今回ここまでの感想。


 この論文、

 結果を自慢してるんじゃない。

 何を同時に成立させなきゃいけなかったのかを、考察でちゃんと書いてる。


 安定供給と不安定音響。

 二段階の防除。

 農地整理であると同時に音響設計。

 そして、死の花畑を公共設備として位置付け直すこと。


 うん。

 強い。


 しかも、

 死の花をただの毒草とか、不吉な徴とかで終わらせず、

 軸受けも、

 油も、

 補給食も、

 工芸も、

 防除音響も、

 ぜんぶ抱えたものとして言い換えてる。


 ここ、かなり好きです。


 いやあ。

 まだ途中なのに、もうだいぶうまい。

 続き、読みたいねえ。


 異世界ネットは来てないけど。

 死の花は毒草でも霊異の徴でもなく、なんて言い切って、畑そのものを公共設備へ言い換える考察は、だいぶ本気の再定義みたいです。

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