要旨
ふはは。
ついに、ついに手に入れたぞ!
みたいなね。
はい、どーも!チーム・ミスリルの瑠璃ちゃんだよ!
今回はね、なんて言うか、得意分野の匂いがぷんぷんするんだよね。
まずはこれを見て欲しい!
◆
ミッチェル領西部荒野再開発における導排水制御と音響区画整理
死の花資源畑とプテラケファルス求愛阻害を両立する公共事業
フランチェスカ・ウァレリア・フォン・ミッチェル
要旨
本稿は、公国北部に位置するミッチェル領西部荒野の再開発事業について、導排水制御、区画整理、維持部材供給、および翼竜害対策を統合した公共事業として報告するものである。天空の台地との境界へと連なる当該荒野は、長く人の居住と持続的耕作に適さぬ土地として扱われてきた。他方、当地に自生する死の花は、水分条件の制御下において、毒性植物としての相から、油脂、硬質素材、球状種子を供給する資源植物としての相へと転じ得る。死の花が乾いた土地では毒をため込み、水が豊富な土地ではその毒をほとんどため込まず、果実に油を満たし、葉と茎を硬質素材化し、種を石のような球とすることは、筆者がすでに公の場で説明した通りである。
しかし、資源相へ転じた死の花は、それで安全になり切るわけではない。筆者の先行観察では、死の花群落とプテラケファルスの求愛行動には関連が見られた。一定条件の畑が長く固定されれば、当該翼竜にとって好適な求愛場、ひいては営巣地へと変わり得る。ゆえに荒野再開発は、単なる導水では足りず、死の花畑の音質を固定させず、かつ維持部材畑として成立させる区画整理を必要とした。
本事業では、区画ごとに給排水条件を周期的に変動させ、さらに水車駆動の人工打音装置を併設することにより、求愛の成立条件そのものを崩す二段階の音響防除を実装した。その結果、資源相の死の花を安定利用しつつ、大規模営巣を抑制し得る新区画造成が可能であった。これは、荒野を耕地へ変える事業に留まらず、維持部材畑、防除音響、補給食供給、工芸資材生産、ならびに街区の拡張を一体として進める再開発である。
◆
はい。
ちょっと待って。
いや、待って待って待って。
これ、ガチです。
え、何これ。
マヂでガチのやつじゃん。
タイトル見ただけで、もう匂う。
匂うっていうか、土が見える。
水が流れる。
予算の顔がする。
ミッチェル領西部荒野再開発における導排水制御と音響区画整理。
はい、強い。
好き。
もう好き。
導排水制御。
区画整理。
この二語が並んだ時点で、私の中の何かが立ち上がりました。
おはようございます、得意分野です、みたいな顔をして。
しかも、その後ろ。
死の花資源畑とプテラケファルス求愛阻害を両立する公共事業。
知らん単語を並べているようで、やってることはめちゃくちゃ知ってるやつだ。
用途がぶつかってるんだよね。
資源化したい。
でも固定すると翼竜が寄ってくる。
だから育てる条件を作りつつ、定着条件は崩したい。
うわあ、好き。
この時点で、もう好き。
要するにこれ、
畑を作る話じゃないんですよ。
土地利用。
排水設計。
維持部材の安定供給。
害対策。
しかも音響防除まで一体で考えてる。
はい来ました。
単機能施設じゃなくて、複数目的の公共事業です。
でたでたでた。
こういうの、好きな人は要旨だけで白米三杯いけるやつ。
いや、しかもさ。
文章がもう、わかってる。
荒野は長く、人の居住と持続的耕作に適さぬ土地として扱われてきた。
他方、当地に自生する死の花は、条件制御下で資源植物としての相へ転じ得る。
はい。
うまい。
最初に、厄介な土地です。
でも見方を変えると資源です。
って置いてる。
これ、大事なんだよね。
再開発って、何もない土地に何かを足す話じゃなくて、
厄介さを条件付きの価値へ読み替える話だから。
うわ、チェスカ。
お前、晩年にこんなん書いてたのか。
しかも、さらにえらいのがここ。
資源相へ転じた死の花は、それで安全になり切るわけではない。
そう。
そこだよ。
開発系の文章って、
使えるようになりました、めでたしめでたし、
で走りがちなんだけど、
この論文、ちゃんと二次被害っていうか、
条件を整えた結果、別の生態系上の attractor になるって見てる。
はい、英語出ました。
ごめんね。
吸い寄せる条件ってことです。
つまり、
死の花を資源畑として安定化させる
そのこと自体が、
プテラケファルスにとっては
お、ここ求愛しやすくね?
の場になってしまう。
うわ、好き。
嫌な賢さだ。
でも、こういう嫌な賢さがないと、公共事業ってだいたい失敗するんだよね。
で、その解決がまたいい。
給排水条件を周期的に変動させる。
さらに水車駆動の人工打音装置を併設する。
求愛の成立条件そのものを崩す二段階の音響防除。
……。
はい。
拍手。
いや、まだ本文読んでないんだけど、拍手。
これ、かなり良いです。
まず、水を引きます、で終わってない。
区画を固定しない。
条件を揺らす。
さらに、環境音まで人為的に混ぜる。
つまり、
育つには育つ。
でも、棲み着きはしにくい。
その中間を狙ってる。
こういうの、まさに設計なんだよね。
ゼロか百かじゃない。
荒野のままでも困る。
営巣地になっても困る。
じゃあ、使えるけど定着しない不安定な快適さを作ろう、
っていう。
うわあ。
性格わる。
褒めてるよ。
めちゃくちゃ褒めてる。
しかも最後。
これは、荒野を耕地へ変える事業に留まらず、
維持部材畑、防除音響、補給食供給、工芸資材生産、ならびに街区の拡張を一体として進める再開発である。
はい、出ました。
再開発である。
言い切った。
好き。
ここ、すごく好き。
だってもう、畑の話じゃないもん。
資材供給網であり、
防除インフラであり、
食料基盤であり、
工芸生産であり、
都市拡張の前段でもある。
つまりこれ、
一枚の土地利用計画書の顔をした文明の伸ばし方なんだよね。
うわ、だめだ。
テンション上がる。
はい、というわけで、第一印象の総評です。
チェスカ晩年、ガチです。
しかも、ただ賢いんじゃない。
用途の衝突を見てる。
生態系の逆襲を見てる。
そのうえで、水と音で条件をずらして、使えるけど定着しない場を作ろうとしてる。
マヂでエグい。
でも、めちゃくちゃいい。
そして何より。
これ、ついに来ました。
瑠璃ちゃん、こういうの、好きです。
論文の書き方を指導してるだけじゃない。
要旨読んだ時点で、
あ、これ設計思想が通ってるな
ってわかるやつです。
いやあ。
楽しくなってきたねえ。
本文、読みましょう。
これは、かなり本気で味わいたい。




