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EP.6 - 12

コアンは自力で密閉された蓋を押し開き、地上へと生還した。


「つぎふざけたことやったら、おいてくからな」

(すんませんでした……反省してます……)


彼女は棺桶を抜け出す際に一度俺を置き去りにした。

だが、棺桶の中の木の実を拾いに戻ってきた時に、Find me機能を使ってアピールをしまくった結果、仕方なくという感じで回収して貰えて、なんとか俺も無事に生還する事ができた。


「これ、ぜんぶおまえがほったのか? すごいな」


コアンはスマホのライトで棺桶が埋まっている穴を照らし、その大きさに驚いている。

そんな彼女が今話しかけているのは、他でもない、土を掘り返し俺たちを救ってくれた狐だ。


棺桶の蓋までの深さは30センチくらいだろうか、それを狐一匹で掘り切ったというのは、流石の野性と言わざるを得ないだろう。


「すごいけど、とりあえずおまえばっちぃから、あんまりちかよるなよ?」

(命の恩人になんて事を……)


どうもコアンは狐を毛嫌いしているように思える。

生き埋め状態から救ってくれた狐にすらこんな態度を取るということは、相当な理由が無いと説明がつかない。

過去に、狐に何かされたのだろうか。


(同じ狐なのになぁ…)


そんな事を考えながら命の恩人の姿を見て、ふと思った。

彼はどんな目的で墓を掘り起こしたのだろうか。

死肉漁りが目的なのであれば掘り起こした墓がハズレだと分かった今、さっさとこの場を去る筈だ。

だが彼は何故か傍でくつろいでいる。


(同族のピンチに駆けつけた……とか?)


相手が狐では、何が目的で墓を掘り起こしたのかを問い質す事は出来ない。

だが、助かったのだから今更理由なんてどうでもいい気もする。

野生動物の考える事なんて高が知れているだろう。

兎も角、この狐が土をどけてくれなければコアンが蓋を押し開く事は出来なかった。

これはもう、奇跡と言っても過言ではない。

いったいどんな徳を積めば、こんな幸運に恵まれるのだろうか。


(あれ、まさか……?)


嫌な考えが過る。


(もしかして、今まで俺が溜めてきた徳を、このピンチを脱する為に消費してしまったのでは……?)


”徳”というものがどんなシステムで運用されているのかが分からないので何とも言えないが、あまりにもご都合主義的に助かってしまい第三者の介入を疑ってしまう。


(神様の爺さん、そんなこと……そんなこと無いよね?)


命あっての物種と言うし、二人とも助かっただけでも有難いと思いたい。

だが、やはり最終目標である真歩ちゃんへの道が遠ざかってしまうと考えると悲しくなってしまう。


「さて……」


しょんぼりしている俺を他所に、コアンは力強く立ち上がった。

そして、こう続けた。


「ふくしゅー……しちゃいますか!」

(世界救っちゃいますかみたいに言うなよ)


コアンは生き埋めにされそうになった仕返しをする気満々のようだが、いったいどんな方法で復讐しようというのだろうか。

大抵の事はキースのフィジカルに阻まれて未遂に終わってしまうだろうが、どんな作戦を立てるのか見物ではある。


「おい、これからはおんみつこーどーだからな……さわぐんじゃないぞ?」

(わ、解ったよ……)


俺が意思表示の為に一回ブルってみせると、コアンは「よし……」と言って、墓場から村へと向かった。

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