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魔物畑で快適ライフ!~生贄にされた少年は掟破りの魔物栽培で快適生活を手に入れる!~  作者: 十一屋 翠
第二章 辺境の生贄

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第21話 孤軍の騎士

いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!

皆さんの声援が作者の励みとなっております!

「無事に買い出しが出来て良かったですね」


 買い取りでゴロツキと衛兵達に追われるトラブルこそあったものの、俺達は無事別の町まで逃げ切って買い出しを終える事が出来た。


「次の町ではオロチちゃんが居てくれたお陰で安心して買い物が出来ましたね」


「だな」


「シャー!」


 オロチは普通の蛇サイズなお陰で、俺の服に隠して町の中に連れ込む事が出来た。

魔法を使えるオロチが護衛になってくれる事で安全面はかなり向上したと言える。


「ミミミミ」


 けど代わりにダンテが妙に不機嫌なんだよな。

 もしかしてオロチ相手に嫉妬してるのか?


「あとはこれらの品を埋めて新たな魔物として生み出せば、また市場をかき回す事が出来ますよー!」


「もしかして町で買い込んでたよくわからん物ってそういう用途で買った訳?」


 事実、ククミスは必要と判断した物資以外の品も色々と買い込んでいた。

 

「いえいえ、勿論本命は役に立つ品ですよ。ですが、良い品が大量に出回れば市場価値が下がるのも必然。他意なんてありませんよぉ~!」


 これほど信用の出来ないニチャッとした美少女の笑み見た事ねぇ。

 王家はとんでもない化け物を産み出してしまったのではないだろうか?


「……まぁ俺達の生活が楽になるなら構わないけどさ」


「ワウッ!」


 とはいえちょっと買い込み過ぎたな。

 流石のゲイルもちょっと重そうだ。


「速く移動や運搬に役立つ魔物を誕生させないとな」


「ワウ!」


 期待していると言いたげに返事をするゲイル。


「ミミッ?」


 とその時だった。ダンテが何かに反応する。


「どうしたダンテ?」


「ミッミッ!」


 ダンテはしきりにある方向に枝を指す。


「あっちに何かあるのか?」


「ミッ!」


「ゲイル、行ってくれ」


「ワウ!」


 ダンテがここまで反応するのも珍しいので確認しに行った方が良いだろう。

 そう思ってゲイルを走らせると、ギィンギィンと金属がぶつかるような音が聞こえて来た。


「誰かが戦っているのか!?」


 音の聞こえてくる方向へ急ぐとそこには魔物と戦う騎士の姿があった。


「あれはゴーレムか!」


 騎士が戦っている相手は体が石で出来た人型の魔物ゴーレムだった。


「苦戦してるな」


 騎士は小柄な体躯をしていたがその代わりに見事な体捌きで魔物の攻撃を避け反撃を喰らわせていくが、石の体に剣での攻撃は相性が悪いようでダメージが薄い。

 更に体力が尽きて来たのか、騎士の動きが鈍くなっていく。


「ゴォォォッ!」


「アアッ!」


 そして遂にゴーレムの攻撃が騎士を捉え、鎧を破壊する。

 そのまま倒れて動かなくなる騎士。


「ヤバイ! ダンテ! ゲイル! オロチ! あの騎士を守れ!」


「ミッ!」


「ガウ!」


「シャー!」


 魔物達がゴーレムに飛び掛かる。


「ゴッ!?」


 突然魔物に攻撃された事で困惑するゴーレム。

 その隙にゲイルが騎士の体を咥えてこちらに引きずってくる。


「ミッ!」


「シャー!」


 ダンテの体当たり攻撃がゴーレムの体を吹き飛ばし、オロチの水弾がゴーレムの関節部分に叩き込まれる。

 だがゴーレムの関節はビクともしない。


「複数の部品が組み合わさったロボットやプラモデルと違ってゴーレムの体は生き物と同じって事なのか?」


 その光景は硬い石が動く時だけゴムの様に柔らかくなっている感じで、前世の常識がまるで通用しないものだった。


「ミッ!!」


 その分前回の戦いでパワーアップしたダンテの体当たりは凄まじく、ゴーレムの体を軽々と吹き飛ばす。


「綿毛みたいに軽いし実際綿毛なのになんであんなにパワーがあるんだ?」


「魔物の生態は解明されていませんから」


「ミッ!!」


 そしてダンテの一撃がゴーレムを完全に破壊すると、その体がガラガラと崩れ落ちる。


「おお、倒した!」


 正直強そうだったから騎士を助け出すまでの時間稼ぎが出来ればと思っていたんだが、ダンテのパワーアップが予想以上だった事で難なく倒す事が出来た。


「でかしたぞダンテ!」


「ミッ!」


 ダンテは誇らしげに胸を張る。

 どうやら敵を倒した事で機嫌が戻ったようだ。ありがとうゴーレム。


「シャッ!」


 と、そこにオロチが口に丸い石を咥えて戻ってくる。


「なんだそれ?」


 それは少しだけ透明感があり、海岸とかでたまに見かける半透明の石シーグラスのようだった。


「これはゴーレムコアではないでしょうか」


「ゴーレムコア?」


「稀にゴーレムの体内から発見される石で、ゴーレムの核となっているのではないかと考えられている石です。魔法の触媒などに使えるのでそれなりに高く取引されているそうですよ。まぁ私達には何の意味もありませんけど」


 おっと、闇が出そう。


「でも今の俺達には意味があるだろ」


「そうですね。フォルス様が埋めればゴーレムを戦力に出来るかもしれません」


 そうそう。それにこれを埋めるだけでいいならあの巨体を運ばずに済んで助かるしな。


「問題はこっちの騎士か」


 一応騎士は生きているが、傷が酷いな。放っておいたら死ぬかもしれない。


「高級ポーションで治療してあげましょう」


「良いのか?」


 正直騎士とかククミスは嫌がりそうだと思ったんだけど。何しろ生贄にされたし町では腐敗した衛兵に捕まる所だったしな。


「真っ当な騎士なら命を助けられたとあれば礼儀を尽くすでしょう。もし恩人の命を狙うような相手ならその時は改めて魔物の餌になって貰うだけです」


 それはそれとしてかなりドライだけど、そこまでして助ける理由は何なんだろう?


「騎士が単独でこんな場所で戦っていたことが気になったからです。お忘れですか? ここは聖域ですよ」


 俺の顔を見て考えている事を察したのかククミスが何も聞かずとも答えてくれる。

 そうだった。基本的に聖域は人の立ち入りが禁止なんだっけ。


「街道の巡回としてもやはり単独はおかしいです、その場合は馬に乗っていないと不自然です」


 そう言われると確かにおかしな話だ。


「分かった。ポーションを使おう」


 幸い、イスタ達のウンチで俺達は儲けているので、店で買える上級ポーションをゲイルの負担にならない範囲で買い込んである。

 うん、荷物が減ると分かってゲイルがホッとしてるのは見なかった事にしておこう。


 その為にポーションを飲ませる為兜を脱がした俺だったが、中から出てきた顔に驚かされる。


「え!? 女の子!?」


 なんと騎士の中身は年若い女の子だった。


「女性騎士とは益々面妖な。通常彼女達は高位の貴族令嬢の護衛に就く者なのですが……」


 ますます深まる謎に困惑しつつも俺達は騎士にポーションを飲ませる。


「うっ……」


 ポーションで傷が癒え少しすると、騎士が意識を取り戻す。


「はっ! ゴーレムは!?」


 騎士は慌てて起き上がると剣を構える。が、その手に剣はない。

 万が一悪党だった時の為に没収しておいたからだ。


「武器は!?」


 慌てて騎士は周囲を見回して自分の剣を探す。


「落ち着きなさい。ゴーレムは退治しました」


「っ!? 誰だ!」


 騎士は半歩下がると手刀を構えてこちらを睨んでくる。


「無礼者!」


「っ!」


 間髪入れず叱責するククミスに騎士が身を固くする。


「状況を把握もせず命の恩人に手とは言え刃を向けるとは何者ですか! 恥を知りなさい!」


「も、申し訳ありません!」


 ククミスの剣幕に慌てて頭を下げる騎士。うん、完全にペースを握られているね。


「まず名を名乗りなさい」


「は、はい! 私はジカ村の娘ストレと言います」


『ジカ村?』


 あれ? この人騎士じゃないの?

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