第八話 裏ボスの正体
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私はお父様の部屋に入った。そしたらお父様が私が来る事が分かっていたように待ち構えていた。やはりお父様の耳に売り上げが良かったことが耳に入っていたみたいだ。
お父様は先に話を持ちかけて来た。勿論、国外追放された後の話だ。
「僕が援助すると言った話は覚えているかい?」
「ええ」
「援助するお金はアメリアが建てた会社からあげようと思う。その為に宿題を出したのだ。」
「だから会社を建てろなんて無茶苦茶を言ったのですね。援助するお金は自分で作れということでしょうか?」
「今なら国外追放されても生活は安定しているだろう?それにアメリアは満点の答えを出した。そこには少し…いじめがいがなくて嫌だったが」
少しと言う顔では無いだろう。凄く機嫌が悪そうだ。娘がピンチの時にそんなことを言える親はこの人以外いるのだろうか。いない気がする。だが結果的にお父様にまんまとはめられた。
しかし…国外追放されたら商売は出来ないだろう。国外なのだから。
「国外追放されたら私は事業に携わることは難しいのでは?」
「確かにそうだ。今回の宿題を達成した褒美をまだあげてなかっただろう?」
「ええ」
「今回の褒美はアメリアがこの事業に今後も携われていけるように僕が手配しよう。アメリアは国外追放された後は隣国のフィリップス国に行ってもらう。そこに住むところは用意した」
流石、お父様。隣国にも知り合いがいたのは少し驚いたけどお父様の顔の広さは本当に驚くべきだ。貴族社会にいる全員に通じる顔の広さだ。隣国に知り合いがいるのは可笑しくない出来事でもある。
それから国を出ないといけない一週間後。私は途中まで馬車に乗って旅立った。馬車の道中で私はこれから待ち受ける死亡フラグの回避する方法を考えていた。剣術や武術を鍛えて吸血鬼に立ち向かうしかない。
途中まで馬車に乗ってそこから私は歩いた。平民が住むところで馬車を乗っていたら悪目立ちする可能性があるからだ。隣国、フィリップス国に着いて私は少し休憩をした。ここから1時間ほど歩くと私が住む家が見えて来た。
だが安心するのは束の間だった。目の前にはゲームで見た吸血鬼がいた。歯や翼など吸血鬼の特徴は無かったが紛れもなく私を破滅に追いやる人物だ。吸血鬼の特徴が無いのは人間に変身しているからだろう。
私は咄嗟に吸血鬼の腕を掴んだ。
「何か用ですか」
黒い髪に赤い瞳。それは正しくゲームで見た吸血鬼そのものだった。一瞬、私は怯んだが吸血鬼に思っていることを問いかけた。
「貴方はーー吸血鬼ですか」
そう問いかけたら吸血鬼は私が掴んでいた手を振り払って攻撃姿勢になった。それもそうだ。だってこの町にいる人間は目の前にいる生き物を吸血鬼という事は知らないからだ。
なのにただの旅人みたいな人間が目の前にいる人を吸血鬼と言うことを知っているから攻撃姿勢に入ったのだろう。
「貴様は何者だ」
「ただの旅人です」
私はニコッと笑ってお辞儀をした。そして護身用に持っていた剣を吸血鬼の喉元にあてた。剣術は得意分野で上手だった。それに前世の私は剣道部に入っていて全国優勝したことも1回だけあった。
この世界と前世の世界の剣術は違う。場合によって使い分けるのが得策だ。
「吸血鬼様、私は貴方に話があります。このまま家に来てもらえないでしょうか」
私は有無を言わせない圧力をかけながら吸血鬼に言った。勿論、吸血鬼の答えはYESだ。
そして私は剣を喉元から離して歩いた。
「貴様を見る限り、貴族だと思うが何故貴族がここに着ている」
「故郷から国外追放されましたの。国の王子が愛する人と結ばれるために私が邪魔だったみたいで。故郷の国の王子は私の元婚約者ですのよ。」
「そんなにベラベラと言ってもいいのか。素性がバレるぞ。」
「国外追放される時に身分剥奪されたので気にする事はありませんわ。ーーさてと、着きましたわよ」
少し古そうな建物だったが中は綺麗で安心した。少し前にリホームしたのだろうか。所々が新しい物に変わっている。
私は床に荷物を置いて目の前にある椅子に私と吸血鬼は座った。
「私の名前はアメリア・マルティネス。元公爵令嬢ですわ。貴方の名前は?」
「俺はノアだ。身分は高そうに見えたが公爵令嬢とはな。王子も凄いことをするな。」
「ノア…ですか。」
ノアは吸血鬼に合わない言葉のような気もする。なぜならーー
「「正しい人間として、人を導き生命を救う者として育ってほしい」とノアの名前には込められていますのに。少し以外ですわね」
ゲームの中の吸血鬼は名前を名乗らなかった。色々なルートを試していくことで教えられるから私は面倒くさくてしなかった。
「親も吸血鬼の俺によくこんな名前を付けたな」
「でも名前は大事にして下さい。とても素敵ですわよ」
「……お世辞はいい。本題に入ってくれ」
「分かりましたーーノア様、私を愛してくれませんか」
それから数分は静かになった。