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第三十七話 剣は剣でも…

第二十九話


こんな状況だから思った。こういう時こそ、冷静になるべきだと。ノアは暴走していて私の声は届かない、エレナはそんなノアを殺そうとしている。

だがここで私は一つ疑問が残った。エレナに関してだ。こういう状況(ノアが暴走している状況)でエレナは聖剣を持って倒す。しかしそのエレナはまだ聖剣を持っていない。なぜだ?それに聖剣を持つために必要な精霊の姿も見えない。

そうなれば今のエレナは光魔法が使える只の人間だ。ちょっとした光魔法ではノアは倒すことは不可能。だから私はエレナが魔法を使って隙が出来た時に背後から近づき身動きが取れないよう、エレナの両腕を掴んだ。


「アメリア!話してちょうだい!早く吸血鬼を殺して貴方の目を覚まさないといけないのだから!!」


エレナは所詮、女性だ。私も女性だが騎士団で鍛えている。エレナより力は付いている。


「ノア!早くここから逃げて!!」


「うっ………あ、アメリア…?」


駄目だ。ノアが頭をおさえて、とても苦しそうにしている。今のノアはどこからどう見ても吸血鬼そのものだ。その姿は城下町で魔物に襲われて死にそうな時に助けてくれた姿だった。


「私はこいつを討伐しないといけないのに!!」


「……エレナ、どうしてそんなにこだわるの?」


私はずっと抱いていた疑問をエレナにぶつけてみた。


「だって久しぶりにあったアメリアは面白そうな玩具だとは思ったわよ?でもね、五年前よりも幸せそうな顔をしていたのよ?私はそれが許せなかった。だけどもしも、その元凶がいなくなればアメリアは二度と幸せそうな顔をする事が出来ないでしょう?二回も私に愛している人を奪われたら貴方は私にどんな顔をするのかしら?ああ!考えただけでも面白そうだわ!」


エレナはとても嬉しそうな顔をした。一体、この五年間何があったのだろうか。


「だからアメリア、離してくれない?」


「お断りさせて頂きますわ」


「そう…なら力づくでも離してもらおうかしら」


そしたらエレナの近くに精霊が現れた。


ゲームで見た精霊?だけど雰囲気が全く違うわ。


「精霊!私に力を寄越しなさい!!」


そう言うとゲームで見た聖剣では無く〝魔剣〟がエレナの体から現れた。その魔剣は聖剣と違ってとてもドス黒いオーラを放っており恐ろしかった。




“魔剣”とはゲームをしていたら現れるもう一つの剣の事だ。精霊からの好感度がある意味、高い場合に出てくる。精霊は取り憑いている人間により正義に染まれば悪にも染まる大変、めんどくさい生き物だ。エレナの性格がひねくれているからエレナから出て来た剣は“魔剣”だったのだろう。




エレナは“魔剣”を持つと黒い何かが私を弾き飛ばした。


「やっと、直接手が下せるわ!魔物を殺したところで私は誰にも責められない。逆に吸血鬼を倒したとなれば私はこの国の英雄……。遠慮なく殺させて頂くわ」


エレナはノアを斬ろうとした。だがその剣は止まった。


「アメリア…邪魔しないで下さるかしら?」


私はエレナが振り下ろした剣を持っていた剣を使って動きを止めさせた。


「嫌と言ったらどうするつもりなの?それに私は騎士団長だわ。エレナには勝ち目がないのでは?」


「アメリア。貴方は勘違いをしているのではなくて?剣の技術だけなら確かに貴方が上だわ。だけど私は魔法も使えるのよ」


そう言うと先程私を弾き飛ばした魔法を使った。だが一度使われたら耐性が少し付いたみたいであまり弾き飛ばされずに耐えることが出来た。


それから私は考えた。ノアを助けるために今すべきことを。

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