第三十三話 釣竿の使い道
私達は一旦外に出て、木がない丘にいった。そしてイザベラは魔法陣みたいなのを書き出していった。魔法陣を書き終わるとイザベラは屋敷から持ってきた植物を色んなところに置いた。置いたと言うより投げたと言った方が正しいような気がするが……。
そしてイザベラは魔法書を取り出して呪文を唱えた。この姿を見るとやっぱり魔女なんだな、と思う。
呪文を唱え終わると魔法陣に妙な空間が出来た。その妙な空間は何処かで見た事があった。それはあの乙女ゲームのイベントの一つだった気がする。確か…魔界に通じている入り口?だったっけ…。
それにゲームに見た挿絵にとても似ている。絵師さん凄いな。いろんな所をしっかり再現出来ている。例えば…ってその事は置いて早く話を切り出さないと。
「イザベラさん、これは?」
「イザベラで良いぞ。確かアメリアと言ったか。これは魔界に通じている出入り口だ。」
なぜ私の名前を知っているのだろうか。まだ名乗っていない筈だが…イザベラの情報源は一体誰なのかな。まあ、でもノアだろうな。ノア以外に魔女の知り合いで私の事を知っているのはまずいないだろうと思っての事だ。
それにしても魔界の出入り口をここに出すほどの魔力…腐っても目の前にいるのはノアの育ての親であり師匠である魔女だ。
「魔界の出入り口を出すのは魔女しか出来ないのですか?」
「基本そうだが、魔力値が高い者なら誰でも出来る。だがこれを出す方法は魔女しか知らない」
おお…流石魔女だ。何か凄そう。
「イザベラはなぜ魔界の出入り口をここに出したのですか?もしかして魔界から使い魔を?」
「ああ。今からこれで使い魔を連れてきてもらう」
イザベラはどこからか出してきた釣竿を私に渡してきた。ん?釣竿…?魚でも釣るのだろうか……。
「釣竿にこの動物の死骸を付けて魔界に入れろ。あとは人間で言う魚を釣る行為と一緒だ」
えぇぇ…。使い魔って釣るんですか。アニメオタクにすっごくダメージを与えたとしか言えないわ…。だって使い魔の召喚って魔法陣を書いてそこからバッて何かが現れるイメージだったのだけど…使い魔って釣るの?
「よし。これで待っておけ。いつか釣れるだろう」
釣れるわけがないわよ…。もし釣れたらその魔物のプライドを疑うわ。って言っているそばから釣竿が動いている…イザベラは「早く釣れ!」と言っているけど魔物さん…それで良いのですか。
そう思っていたら私はイザベラに手を掴まれて釣竿を持たされていた。そのまま釣れと言われたが何故か気が引ける……。
そして私はイザベラの言うことに従って釣ることにした。釣ろうとすると重くて中々釣れずイザベラに手伝って貰った。そのイザベラの手つきはプロ並で何故こんなにも上手いのだろうか…聞きたかったがノアに聞いてはいけない、と言われている気がした。
その後、イザベラと私は頑張って釣るのに成功した。そこには金髪の美少女がいた。耳は尖っており、釣竿につけた動物の死骸をむしゃむしゃと食べながら私を見てきた。
「エレフだな。中々良いではないか」
「良いものが釣れたな」
二人して魚を釣った見たいな感想をするのはやめてほしい…それにエルフと言ったけどエレフって釣れるのだろうか…エレフが釣れるこの世界が怖い。
「むしゃむしゃ…はじめばして。エレブの…(初めまして。エレフの…)」
「口に入っている物を食べ終わってから話してくれませんか?」
「ばい。(はい。)」
エレフはゴクンッと飲み込んで私に話しかけて来た。
「ボクはエレフのヴィヴィと言います。美味しい獲物ありがとうございます」
ヴィヴィは私に一礼をした。この子は今の状況を分かっているのだろうか。
「おい、エルフ。今から俺が主だ。覚えておけ」
「もしかして……ボク…釣竿に引っかかってしまったのですか……?」
「ああ」
みるみるヴィヴィの顔色が悪くなっていく。それもそうだろうな…自分が獲物につられて引っかかったもの…プライドが傷つくわ。普通。
「ご飯は沢山貰えますか?」
「毎日三食与えよう」
ノアがヴィヴィの質問に答えると嬉しそうな顔になった。とてもご機嫌に見える。えっ、プライドは傷ついてないの…?その顔は逆に釣れて嬉しそうなんだけど。エルフにはプライドが無いのか!それとも…この子が可笑しいのだろうか。そもそも獲物につれられている時点でこの子が馬鹿なのは分かる。
だけど嬉しそうな顔をすると、もっと馬鹿に見えてしまう……。
そしてこのヴィヴィを使い魔にする契約が始まった。果たしてこの子を使い魔にしても大丈夫なのだろうか。




