表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/47

第二十九話 救い

私は死ぬのかなと思った時、辺りを見回すと部下にあたる騎士が必死にこちらに来る。私を心配してくれる人々がこんなにもいて凄く安心してしまった。


龍が近付いてくる。龍は攻撃態勢に入っていて今すぐにでも殺される勢いだ。このまま死んだらノアはどんな事を言うだろうか。ノアのことだ。凄く怒るだろう。

死ぬ間際になっても私の頭の中はノアしか思い浮かばない。こんなにも私はノアを愛しているのだと知って何か安心した。死ぬ間際でこんな事を思うなんて不吉だろうか。




『ノアに会いたい』



私はノアに貰った魔石を握りしめようとしたがやめた。何故ならここにノアが来たら迷惑をかけることになるだろう。死んでも迷惑はどうしてもかけたくはなかった。

こんな事ならネルソン王国に来なければ良かったな…なんて思ったけど騎士団長としては、そんな事を思ってはいけない。死ぬ最後まで私は騎士団長としての意地を貫き通したいと思うのは職業病だろうか。いや、ただ単純に私は騎士と言う仕事が好きだったのかもしれない。騎士団はとても居心地が良かった。ネルソン王国では自分の居場所が無くて毎日探していた。それがこんなにもあっさり出来てずっとこのままいたいと思ったのだろうか。だが騎士団は弱いものはいらない。その弱いものに私が入っただけだ。それがとてつもなく悔しい。もっと稽古をしていれば違ったのかもしれない。でも今更悔やんでも仕方が無い。


そう思っているうちに龍は私に向かって炎を吐いてきた。もう目の前にある。私は焼け殺されるのか。前世では沢山死んだ中の一人。だから特に注目もされなかっただろう。今世では少しばかり皆の役に立てただろうか。それが少し気になるな。龍の炎か。どんな感じなのかな。熱いだろうけど少しずつ感覚を失うのかな。それとも痛すぎて痛みを感じずに私は死ぬのかな。


龍の炎が私の体を包み込もうとした時だった。最愛の人が現れるのは。


私を包み込もうとした炎は急に吹いた強風によって何処かにいった。そしてその強風が止まったらコツコツと足音が聞こえてきた。黒い髪の毛に赤い瞳。そして尖った耳と歯があった。それはまさに吸血鬼の特徴そのものだった。


「…ノア……?」


いつもと少し違う見た目だがそれはノアだ。見間違えるわけが無い。赤い瞳の奥には何処かに温かさがある。いつも私が見ている最愛の人の瞳だ。

ノアはいつも私には人間の姿しか見せなかった。だが今日は吸血鬼の姿をして現れた。何かあったのだろうか。


「龍よ。貴様、何をしたか分かっているのか」


ノアはとても怒っていた口調で龍に言った。すると龍はビクッとなりノアから一歩引いた。


「今すぐ立ち去れ。さもないと…お前を殺すぞ?」


その後、龍は大きな翼を広げて逃げるように飛んでいった。吸血鬼は上級モンスターよりも上なのだろうか。龍がノアに見せていた姿は上司に怒られた部下にしか見せなかった。

ノアはアメリアを持ち上げてお姫様抱っこをしてアメリアの耳元で呟いた。


「アメリア、すまない。こんなにも傷つけて…俺は君を守れなかった」


そんな事ない、と言いたかったが炎の煙でむせて私は返答が出来なかった。


ノアは翼を何処からか出してきて私を抱えたまま、飛び立った。この方角はフィリップ王国だろうか。もっと風景を楽しみたかったが私は疲れて眠りに落ちてしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ