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第二十四話 王妃様とのお話

 決行日の前日。私は普段通り騎士団の仕事をこなしていた。エレナに何かすることは誰にバレないように仕事は頑張っていた。そろそろノアが恋しくなったな、なんて思うだろうが私はエレナに何をするかで頭がいっぱいいっぱいだ。それに仕掛けるのは一つだけでは面白くない。どうせなら二つ三つ考えるのが得策だろう。

 あと忘れていたが仕掛けるのは私だけではない。エレナもだ。もしエレナが私に何か仕掛けるとするなら私と同じ、国王陛下とレオナルドがいない二日後にするのが懸命な判断だ。二日後でないなら三日後だろう。その期間は警戒態勢に入るとするか。


 私は騎士としての仕事が終わって城に戻った。そしたら城のメイドから「王妃様がお呼びです」と言われ王妃の部屋に案内された。久しぶりに会うから楽しみな気持ちがあった。


 王妃様の部屋に着いて私は部屋に入った。


「久しぶりだな。アメリア」


 王妃様を見ると凛とした佇まいをしており男性に劣らないカッコ良さがあった。口調も男寄りで王妃様のファンクラブがあると言う話も聞いたことがある。


「王妃様、お久しぶりです」


 私は一礼した。


「随分、騎士に馴染んだみたいだな。安心した。……それよりもあの事は申し訳なかった」


「あの事…と申しますと?」


「レオナルドとの婚約破棄のことだ。あの時は他国に出張中でな。あの馬鹿男二人のせいで迷惑をかけた。本当に申し訳ない」


 なるほど…あんな一方的な婚約破棄が出来たのは王妃様がいなかったからなのか。それに書類には王妃様の名前はなかった。もし王妃様がいれば状況は変わっていただろうか。……いや過ぎたことを思うのは駄目だ。あの事があって今の私がいる。


「あの、王妃様。エレナと仲が悪いと噂で聞いたのですが」


「ああ。私はアイツが気に食わない。アメリアも知っていると思うがアイツは馬鹿だ。将来、王妃にさせたらこの国がもたない。それにレオナルドも馬鹿だ。あの時は王妃がアメリアだから安心して任せれたがこうなってはアイツに王位を継ぐのは不安でな」


 そうだろうな…。あの二人に任せると何をするか不安だ。どちらかと言うとエレナの方が不安で仕方ない。あの性格だ。欲しいものがあれば権力を使って何か企むだろう。

 だがレオナルドには弟がいる。そちらの方はどうなのだろうか。


「王妃様、ローガン様に王位継承権を譲るのは無理なのでしょうか?」


 ローガンとはレオナルドの弟でこの国の第二王子だ。性格に少し難があるけどレオナルドと比べればとても優秀で王妃様がローガンに王位継承権を譲ることを考えていないはずがない。


「確かにローガンも考えた。だがまだ歳が若い。ローガンに譲るとなると、あと四年も待たないとならない。そう考えると今度は時間が無い」


「確か五年前は9歳でしたので今は14歳でしょうか?」


「ああ」


 この国では成人の18歳まで王位継承権は譲れない。ローガンに譲ろうと思えばあと四年は待たないといけなくなる。

 そうなると時間が遅くなる。なら妹の方を尋ねたら他国の王子に嫁いだみたいで悩んでいたらしい。


「アメリアがレオナルドに嫁いでくれたら解決なんだが…そうはいかない。本当にあの馬鹿息子は今後も考えずに行動しやがって…!!」


 ヤバいヤバい。王妃様が怒り出した。怒らすと手がつけれないことで有名だ。ここは他の話題を振ろう。


「お、王妃様…!ローガン様は今どこにいらっしゃるのですか?こちらに来てから一度も顔を合わせていないのですが……」


「……ローガンは他国に勉強に行った。言わば留学だ」


 留学…。流石、秀才。している事が私達とは違う。


「アメリア、婚約破棄は仕方が無いとする。だがあの馬鹿息子は国外追放までしやがった。本当に申し訳ない」


 そう言うと王妃様は私に頭を下げた。


「お、王妃様!あ、頭を下げないでくださいませ…!」


 王妃様!!頭を下げないでください…。こんな事を知られたらヤバい!王妃様が私に頭を下げられるなんて……。


「こう言っては何だが…ローガンの方と婚約を結んでくれないだろうか。それならローガンに安心して王位を渡すことが出来る。アメリアがあの馬鹿息子のせいで国外追放されているから、すぐには出来ないが……」


 えっと…何を言った?婚姻……?無理無理無理無理……!!!


「お、王妃様…!!わ、私には婚約者がいますので……!!」


「ん?そうか。それは惜しいな。アイツもアメリアとの婚約は嬉しい話なのにな…それは無理か」


 アイツ?誰が嬉しいって?

 私は疑問に思っていたが不思議に思っていたことを王妃様に尋ねた。


「……そう言えば王妃様はエレナとの事を聞かないのですね」


「当たり前だ。あんなずさんな資料で誰が信じるか。あの資料の中に日付までくっきり書いていた日もあったがその中で幾つか私とアメリアが一緒にいた日もあった。本当に馬鹿が作る資料には吐き気がする」


 そんな日まで覚えていたなんて…。少し嬉しくて私はちょっぴり口角を上げてしまった。


「それはそうと今のアメリアは騎士団長だったな。明日も仕事があるし、今日は早く家に帰って寝ろ。寝不足で魔物討伐は危ない」


「お気遣いありがとうございます。ではお先に失礼させて頂きますね」


 私は王妃様の部屋から出てすぐに家に帰った。だって明日はーー実行日ですもの。早く寝ないとね。

 私は悪役令嬢らしく悪魔みたいな笑顔を浮かべた。エレナやお父様の笑顔には敵わないけれど。

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