第十一話 優しいところ
いつもブクマ、評価ありがとうございます!!
その後、私はノアに着いていって歩き始めた。そしたらノアは止まって指をパチンと鳴らす。……目の前に大きな屋敷が現れた。山にこんな屋敷があったら目立つのによく今まで何も無かったな。
そう思っていた私に察してノアは「魔法だ」と解説をしてくれた。魔法かー。やっぱり魔物は使えるみたいだな。だが人間は使えない。人間も使えたらいいのに。
ゲームでは確か人間で唯一使える主人公エレナ。魔法でノアを倒すーー。
人間って魔法が使えないのではなかったのか。エレナって人間ではないのかよ。と軽く突っ込みを入れてみた。
その後、私とノアは屋敷に入っていった。屋敷の中は公爵令嬢だった時の家を思い出す。シャンデリアがたくさん並んでいて、眩しかった。だが私は疑問を持ってしまった。この山にも電気は通っているのかとーー。
「ノア、この山って電気は通っているのですか」
「これは魔法だ」
ですよね……。魔法って便利だな。魔法についてノアに質問してみたけどこんなに魔法が使えるのは少ししかいないらしい。……遠回りに自慢したよね。コイツ。
自分のことが優秀だとか思っているのだろうか…。それだったら引くわ。
そしてまた歩くと横長い机に何個か並んでいる椅子が見えた。私達はそこに座って話し合うことにした。
わざわざ椅子に座らせてくれるってどんなお人好し。仮にも昨日、私は貴方に惚れるように迫った人間なのに。私以外だったら惚れてしまうかもね。危ない危ない。
私達は向かい側に椅子に座って話し始めた。
「それで今回の要件は何だ」
「要件って程の要件はないですわ。それよりこのお菓子食べてみて」
私は荷物からお菓子を取り出してノアの目の前に置いた。
「何だこれは…」
「カップケーキよ。要らないのなら食べなくていいけれど…」
「作ってもらったのに食べないわけにはいかない。有難く貰おう」
食べるんだ。やっぱりこの吸血鬼は優しい。実際には半吸血鬼だけど。こんなに優しい吸血鬼が愛する人、エレナに殺される運命がある。それは酷だ。運営も他にいい案は無かったのか。でも一応、二度目だけど結ばれる運命もあるのよね。だけれどそれはそれでレオナルドが酷になる。
全員が仲良くなるハッピーエンドを作ればいいものを…よくも運営はそのエンドを作らなかったな。作ったらファンも喜びそうなのに。
ノアはカップケーキを一口食って目を輝かせた。そして二口、三口、と口に頬張っていった。その姿は吸血鬼の面影はなくてどちらかと言えば人間の男の子がする言動に似ていた。私はついその姿にフフっと微笑んでしまう。
「美味しかったですか?」
「ああ。」
「それ隠し味に私の血を混ぜているのですよ。少しですが」
「なぜそんな事を…?」
「吸血鬼は人間の血が好きなのですよね。ノアに喜んでほしくて」
実際、このカップケーキを作るのには少し苦労した。慣れない家のキッチンは上手く使いこなせなかったからだ。だから思った以上に自分の血を使ってしまい、貧血になって倒れた時もあった。
だが私はそんな事でめげなかった。こんな事で生きれるならば私は最後までやる、と意気込んでやっていった。
「ありがとな。何回も作り直してくれたのだろう?それに血はあまり出さない方が良い」
ノアはそんな事まで見抜いてしまうのか。ノアが私に惚れる前に私が惚れてしまいそうだわ。
「何故分かったのか聞いても?」
「アメリアの血が悪そうに見えたからだ。それに昨日と比べて顔色が少し悪い。貧血になった証拠だろ」
アメリアはこの時、ノアには一生勝てない気がした。こんな優しい吸血鬼がこの世界に他にいるだろうか。私は断言出来る。ノア以外にいない、と。
そしてアメリアは前よりノアを死なせたくない気持ちが溢れてきた。この人を命に変えても守ってみせる。そう心に誓った。




