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オペレーション:ネメシス  作者: 葉都菜・創作クラブ
第3章 †動乱† ――政府首都グリードシティ――
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第10話 再生したかつての敵

 【国際政府首都グリードシティ 中央エリア 最下層】


 私たちは数万人ものクローン兵を率い、国際政府首都グリードシティの最下層エリアへと降りてきた。


「また軍用兵器です!」

[攻撃セヨ!]

「怯むな!」


 グリードシティは上層、中層、下層、最下層と別れている。1800年にも渡って発展し続けたこの大都市。建物の上にまた建物が作られ、上層、中層、下層エリアの建物は、最下層エリアの建物に支えられていた。最下層エリアは上層エリアからかなり遠い。平常時であっても、日の光が届かないほどだ。


[破壊セヨ!]

「助けて!」

「撃てぇ!」

[攻撃セヨ!]


 最下層には上層や中層、下層よりも遥かに多くの軍容兵器が配備されていた。おびただしい数の連合軍の軍容兵器が私たちの行く手を阻んでいた。


「ソフィア将軍、間もなく装置付近だとは思いますが……」

「…………」


 私は進む方向に目をやる。そこには無数のバトル=アルファやバトル=ベータ、バトル=ガンマといった軍用兵器が海のように広がっていた。そこへと突っ込んでいくクリスター政府のクローン兵たち。最下層エリアでは、激しい戦いが繰り広げられていた。


「グリードシティ各地に散っているクリスター政府軍も次第に集まって来てはいますが、下層、最下層エリアの連合軍が多すぎて中々進めないそうです」

「でも、装置はこの先よね。行くしかないわ……」


 それにしても、なぜ国際政府は連合軍を動かせるのか? それが疑問だった。あのクェリアが連合政府と手を結ぶなんて考えられない。

 そのとき、遠くの方でより大きな爆音が鳴り響き、クローン兵たちが何かを叫び始める。そっちの方に視線を向けると、そこには一際大きな軍用兵器が暴れていた。


「連合政府のバトル=オーディン将軍です!」


 黒い大型軍用兵器――バトル=オーディンは、6本の腕全てに剣を持ち、次々と飛びかかるクローン兵たちを斬り倒していた。バトル=オーディンは連合政府の将軍だ。その強さはランディやファルガを超える。軍用兵器たちの親玉でもある。


「あぐっ!」

「いやぁッ!」

「バトル=オーディンだけじゃない! キャプテン・アレイシアやコマンダー・ライカまで!」


 二刀流のクローン――キャプテン・アレイシアが数人のクローン兵をまとめて相手にしている。彼女もバトル=オーディン並に強い。

 また、火炎ソードと電撃ソードの2つを両手に持ったクローン――コマンダー・ライカも素早い動きでクローン兵たちを斬り殺している。


「そんな、あの2人は死んだハズじゃ!」


 側にいたカルセドニー中将が驚いたような声を上げる。私は落ち着いた動きで通信機を手にし、全兵に連絡を入れる。


「キャプテン・アレイシア、コマンダー・ライカはもう死んでいるわ。あの2人は後から作られた偽物。別のクローンよ!」

「…………! そ、そういうことですか!」


 カルセドニーの横にいるギョクズイ中将もそれが分かっているらしく、落ち着いた表情で部隊に指示を出している。


「で、ではあのクローン将官たちも……!」


 カルセドニーが別方向を指をさす。そこには、コマンダー・モル、コマンダー・レイ、コマンダー・ウォールの3人が戦っていた。私は無言で頷く。3人とも連合政府のクローン少将だけど、もうすでに死んでいる。偽物だ。


「コ、コマンダー・クナだ!」

「あそこにいるのはコマンダー・フィルスト!」


 別方向から声が上がる。まだ若い少女――コマンダー・クナと、クローンとよく似た容姿の少年――コマンダー・フィルストがいた。あの2人もかつて死んだハズだ。


「クローン再生した連合政府将官たちですね……」


 カルセドニーが言う。もし、私がこれまでの戦いで死んでいたら、ああやって別のクローンが私に成り代わって戦っていたんだろうか……?


「…………!」


 不意にギョクズイが通信機を落とす。


「ギョクズイ?」


 ギョクズイは震えながら、どこかを見ていた。私とカルセドニーも彼女の視線の先に目を向ける。そのとき、心臓が凍りついた。


「……キャプテン・エデン!?」


 青色の服を身にまとったクローン――キャプテン・エデンが、素早い動きで数人のクローン兵を斬り殺す。その手には何も持っていなかった。……より上位のクローンが使える超能力の斬撃だ。


「エ、エデンっ、死んだハズじゃ!」

「うっ、あぁっ!」

「助けてっ!」


 次々とクローン兵たちが殺されていく。決してエデンが強いからじゃない。彼女の姿を見た途端、みんな逃げ出している。その隙を突かれているだけだ。


「ひぃ!」

「いやぁ!」

「エデンだぁ!」


 エデンは最強のクローンだった。その強さには、如何なるクローンも及ばない。それと同時に、彼女は殺戮狂でもあった。戦いになれば、敵味方問わず虐殺する。

 でも、エデンはもう死んだ。彼女が死ぬ戦いに、私は参加していた。――あの戦いは尋常なものじゃなかった。あの戦いで数千人のクローン兵が、エデン1人によって殺されている。

 今いるエデンは偽物。強さも本物には遠く及ばない。でも、その姿だけで、相当の脅威になっていた。クローン兵たちに植え付けられたエデンの記憶。それがこの混乱を招いている。


「なんで生きて――」

「ひ、ひぃ!」

「いやぁあぁッ!」


 また数人のクローン兵が殺される。返り血を浴びたエデンは、勢いよく空中に飛び上がり、そのまま私の前に降り立つ。私は素早く剣を抜き取る。


「エ、エデン……!」


 偽物だと分かっているのに、手が震え、剣が揺れる。私の側にいるカルセドニーとギョクズイも動けないでいた。

 エデンは何も言わず、無表情のままで私に向かって来る。本物は残虐非道。笑いながら戦っていただろう。


「……やっぱり、偽物は偽物ね」


 私はぐっと剣を持ち直し、“エデンをやらされているクローン兵”に向かって走る。彼女が斬撃を繰り出す。私はそれを軽く弾き、彼女を大きく斬り付ける。

 一筋の深い斬り傷が彼女の身体に入り込み、血が飛散する。エデン役のクローン兵が倒れる。彼女はそのまま息絶えた。


「……大丈夫、偽物よ」


 呆然としたクローン兵たちに私は声をかける。しばらく彼女たちはそのままだったが、すぐに表情を明るくし、再び連合軍と戦い始める。今のエデンが偽物だということを、やっと実感した様だった。

  <<登場人物>>


◆キャプテン・エデン(クローン女性)【死亡】

 ◇フィルド・クローン。

 ◇連合政府系組織「ヒーラーズ・グループ」のクローン軍人。

 ◇すでに死んでいる。


◆キャプテン・アレイシア(クローン女性)【死亡】

 ◇フィルド・クローン。

 ◇連合政府のクローン軍人。

 ◇すでに死んでいる。


◆コマンダー・ライカ(クローン女性)【死亡】

 ◇フィルド・クローン。

 ◇連合政府のクローン軍人。

 ◇すでに死んでいる。


◆カルセドニー(クローン女性)

 ◇フィルド・クローン。

 ◇クリスター政府特殊軍中将/クリスター政府特殊軍一般部隊に所属。

 ◇元々は連合政府系組織「ヒーラーズ・グループ」のクローン軍人だった。


◆ギョクズイ(クローン女性)

 ◇フィルド・クローン。

 ◇クリスター政府特殊軍中将/クリスター政府特殊軍一般部隊に所属。

 ◇元々は連合政府系組織「ヒーラーズ・グループ」のクローン軍人だった。

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