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55話

護衛パーティのリーダーらしき人物も何とか眷属化する事になった。

妙にごねたが・・・ほかのメンバーの話をするとしぶしぶと言った所だ。


しかし、問題は聖女だった。


『私を眷属にですか?』


『む。そうじゃ、悪いが死にかけておるお主に残された時間は少ない。

 考えておる時間なぞありはせぬぞ?』


『いえ、結構です。時間は必要ありません』


ーー何とも決断の早いことじゃ。が、やりやすくて・・・


『このままにしておいてください。生きていても碌な事にならないでしょう

 すでに戦火の火種としての役割になってしまったのです。

 生きていたからと言ってこの戦争は止まらないでしょう』


『むっ、言いよるのう。じゃがこのままむざむざ殺されて構わんと?』


『そうですね。この子はちょっと不憫ですが仕方がありません。

 それに、ここにあの人は居ないのですから・・・』


『お主、誰じゃ? ひょっとしてこの娘には二人分の魂があったということじゃなかろうな?』


『そうですよ。彼女自身は気が付いていませんでしたがこの体には私とあの子が宿っています。

 魂の器が小さく、私を受け入れられはしていませんがいずれ融合はしたでしょう。

 ですが、それももう無理でしょう死んでしまった心に灯はともる事はありません』


『死んでしまった、か・・・ではお主も死を受け入れているという事か?』


『ええ、もしも次があるならばと思わなくもないですが・・・』


何か思いをはせているが知った事ではないな。


『なるほどな、このまま死なせてと?

 じゃが断る!

 聖女事体が気に食わぬのでなぁ、われがお前の望み通りになぞするわけがない。

 精々、われの眷属になり果てるのじゃな』


自らの血を聖女の体内へ少量だけ流し込み眷属化の魔法を発動させる。

が、すぐにその血液の反応が消え魔法の発動が止まり霧散した。


『なんじゃと!いったいどういう事じゃ?』


魔法が発動しない事に焦りを覚えた。

このままでは確実にこの娘は死んでしまう。


ーーなぜじゃ?

  われの魔法は完ぺきだったはず。

  今までこれで失敗した事など・・・

  もしや・・・


『聖女の肉体の影響か・・・』


『その通りです。

 魂の融合は出来ていませんでしたが・・・その器である肉体は確実に聖女として機能しています。

 なので貴女の不浄な力はこの体には通用しないのです。

 あきらめてください』


ーー何とも、あっさりと言ってくれるものじゃな。


『それに生き延びて復讐など行ってはいけません。

 このまま死を受け入れればあの国との戦火は免れませんが・・・

 恐らくすぐに収まるでしょう。

 裏ではこの国と繋がっている人物が要るのです。

 実権を手にする事を目的としているようですので互いに利益が出れば終わると思われます』


ーーむ。裏で絵を書き実行する者がおる・・・か。

  そやつらの一人は恐らくあの屋敷の主の侯爵か。


『気に入らぬのう・・・実に気に入らぬ。』


『気に入ると言う次元の問題ではありません』


ーーむ。こやつの淡々と返す言葉がさらに気にいらないのう。


『お主が復讐はするなと言うとはなぁ。お主は聖女なのであろう?』


ーーそう、聖女じゃ。


『500年前の出来事を忘れたとは言わせぬぞ?

 魔族に対して行った報復行動の先陣を切っておったであろうに?』


ーーそれを復讐というのであろうに?


むかむかとする感情がせりあがり今にも爆発しそうだった。


『よく調べもせずに魔族を悪と断じわれらの王を打ち取ったのであろうが!』


ーーわれらの王をその手で殺めておいて復讐するなとどの口がいう!!


『それは・・・』


ーー言い返せぬよなぁ。事実貴様らの行動は不当な魔族の排除以外何者でもないもじゃ。


『聖女が聞いて呆れるわ!!』


『ーーー』


さらに黙り込んだ聖女の魂に追い打ちをかける。


『しかして、お主は何をもって不浄の力とする?

 聖女を殺すような悪逆非道の輩共は不浄ではないのか?

 権力の為に人を陥れる輩は不浄ではないのか?』


ーーふん、とんだ『聖女の身体』じゃのう。

  結局、自分が気に入らないから受け付けないだけではないか?


『結局はお主が気に入らないだけじゃろうて?』


ーーなれば、答えは簡単じゃ。


『貴女は件の戦争の生き残りの魔族と言う事ですか・・・。

 ですが、気に入らないですって?だったらなんだと言うのです。

 貴女に何が分かると言うのです。

 こちらにだって事情があります。合ったんです!』


せめぎ合う精神の世界での攻防と言える魂の叫びがそこに会った。

500年の時を超えて蘇る魂の叫びは怨念と変わらないレベルだった。

刻々と聖女の命の時間の終わりが近づいていたにも拘わらず。

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