53話
どうするかで悩み中・・・
生き返るのか、死んだままなのか・・・
そこが難しい。
〇シルヴィア視点
ーーこれからは少々本気を出す必要があるようじゃ。
憑依した肉体であるゴードンを操り適当に憂さ晴らしをしてみたがまだまだ足りない。
コソコソと嗅ぎまわるのがもともと好きではないためか、随分とストレスが溜まっていたようだ。
口から白い霧を漂わせながら相手を見るが強くはなさそうだ。
問題があるとすればこの操っている人間の限界だろう。
魔力を肺から全身の骨に行きわたらせて硬化する。
さすがに心臓が動いていないと筋肉等の組織はすでに崩壊しているためロクに使えない。
その点、骨だけは丈夫なのだ。
「バケモンが!」
そう言うと全身に身体強化を施した男が切りかかってくる。
一見ゴロツキに見えなくもないが、先程の兵士とはレベルが違うらしい。
右腕を伸ばして剣戟を受けようとしたが一瞬で首を切られる。
「ハッこれでくたばっただろう!死に損ないがっ!」
走り抜けて背後で勝利宣言をする男。
「ガガガッ、ノドハヤメロ!シャベレナクナル」
ーーただでさえ発声させるのが難しいのに喉をやられてはたまらないのじゃ。
空気振動を灰からの霧を使っての発生なのじゃぞ。
調整が難しいのにのう。
この際じゃ多少この体が無くなってもいいかのう。
崩れかけた両腕の肉をそぎ落とす為に腕に炎を纏い一瞬で灰になる肉片達。
出てくるのは黒い骨の腕。
そのまま骨になった腕を動かしてみている。
ーー余計なものが付いていない手はより早く動かせるものじゃな。
足は別にいいじゃろう。
どちらにしろ攻撃の際のカウンター狙いに変わりはないからのう。
男を見ると震えながらこちらを見ている。
「恐怖シタノカ?」
「どうなってやがる。そんな腕が何故動く!
それにお前はこの俺が直々に殺したんだ!」
「デ? 何ノ為ニコロシタノダ?」
心を折り情報を得たいところだがまだその眼は死んではいない。
「テメーがこっちの要求を突っぱねたからだろうが!
いう事聞いてりゃよかったのによぉ!」
「ガガッ・・ウルサイゾ、
キサマラノ・・・モクテキハナンダト・・・・キイテイル?」
振り返りながら男を赤い目でとらえているゴードン。
「クッ。これから死ぬんだ。関係ねぇーだろうが!」
さらに切り刻むべく、そして恐れを誤魔化すように叫んで攻撃を仕掛けてくる。
一瞬で間合いを詰めて剣を振るその姿は一流の剣士である。
ーーむ。魔法は使わぬのか?
そして、身体強化でこの程度ときたか、人間もたかが知れておるの。
強化された身体で剣を目にも止まらぬ速さで振り抜いていくが、
軽く腕を振って剣自体を弾いていくゴードン。
「オラオラオラァァァ!! 防戦一方だなぁ!!」
男は力押しで剣を振り、心に余裕が出てきたのかそんな声を上げた。
ーーむ。発声するのが面倒なのじゃ・・・。
軽く拷問といこうぞ。
「ガガガッカカッッ」
「喋る余裕もねぇってかぁーーーーーーあ?」
剣を振っていた両腕がスケルトンによって肘部分からちぎられていた。
「ぎぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
両腕をなくして叫び声をあげる男が後ずさる。
攻撃される剣自体を硬化したスケルトンの右腕の掴み、左腕を一瞬振り切って腕自体をちぎったのだ。
「話ス気ニナッタカ?」
「腕がぁぁ!!!あがぁぁ!!俺のぉぉ腕ぇぇがぁぁ!!あああああぁぁあ!!!」
ーーむ。やりすぎたか?
話すどころから叫び声をあげてさらにうるさくなったではないか。
ズンズンと男に歩み寄り骸骨の手を使って口を握る様に掴み上げた。
ブラブラと男の足が浮くと叫びを上げていた男が今度は命乞いをする。
「ばがっだなんでもぶうがら!だずげでぐでぇ!」
手を放し男を地面に落とすと男はしゃべりだした。
「え、衛兵を俺たちの息が掛かった人間にすべて入れ替えるためだ!」
「ソレデ?」
今更知っている事を言われても意味がないので先を促す。
「そ、そそそれで今日の午前中にすべて入れ替わってから迎賓館を襲撃して聖女の暗殺が目的だ」
ーーむ。そういう事じゃったか・・・。
迎賓館が襲撃されても衛兵が駆けつけない状況を作り確実に殺す。
特に聖女に思い入れは無いがのう。
「そしてそれはもうすでに実行されておりますよ。ゴードンさん」
背後に一人の男が割り込んでくる昨日見た執務官だった。
「ガガガッ、ドウイウ・・・コトダ?」
「はっきり言えばもう聖女は殺されてる頃でしょうね。
ここで雇われてるSランク、Aランクの元冒険者が襲撃しに行きましたからね。
今頃は護衛含めて全滅でしょう。
さらに言えば貴方が拒否したのでね少々手間取ったのですよ」
溜めるようにしてからこちらを睨みつけてくる。
ゴードンはこの男の提案を拒否した事で殺されたと見て間違いが無かった。
その首謀者は目の前の屋敷の主であるディッドマン侯爵だ。
ーーむ。しかし、こやつらはこの国をどうしたいのかさっぱりわからぬのう。
聖女を殺したとなれば戦争が起きるやもしれんのじゃがなぁ。
「・・・聖女ヲ・・・殺ス事ニ意味ガ・・・アルノカ?」
「依頼ですよ。あちらからのね。
犯人を一人でっち上げて・・・たしか小生意気な学生の確かアストとか言いましたかね。
フリードさんが邪魔されてムカついていたので今頃瀕死でしょうね?
そこからは当然この国と戦争へと発展するでしょうがそこが狙いですからね」
ーーアストじゃと?
戦争なんぞどうでもよいが、あやつは万が一の可能性があるのじゃ。
「キザマ、イマ・・誰ト言ッタ・・」
「アスト・ローグと言いましたか、ちょっと調べさせていただきましたが・・・。
もうそろそろあの家も潰れるでしょうし、その子供は大罪人として処刑されます。
今から何かしても手遅れなんですよ?
そんなバケモノみたいな姿で街を歩けばそれこそ討伐モノですよ?
悪魔に魂を売ってまで復讐を考えていたようですがもう手遅れなんですよ?
一歩遅かったですね」
ーーむ。そういうことじゃったか・・・。
あの小娘は別にどうでも良いが、小僧がどうなるか・・・。
小賢しい事をするものじゃ。
しかし、今はわれがおるでな、あ奴くらいなら救えもしようて。
じゃが、確かにこの姿のままはまずかろう。
「ソレハ・・・ドウカナ?」
ゴードンがそういうと周りから白い霧が発生し始めたのだった。
評価、ブックマークありがとうございます。
って評価ポイントが2週間まったく増えてないですね・・・orz




