37話
〇アクシア・ゼネデイロ 視点
迎賓館のリビングでお茶をしていると、
「よかったですね。王女」
「ん?何が?」
護衛冒険者Aランクパーティ『蒼穹の翼』のリーダーシスディナが言う事を最初理解できなかった。
「ほら、例の少年ですよ、元Sランクの」
「あ、あああ、あの人ね? そうね学園でお会いしましたがご無事なようでした。
あの時も助けてくださいましたし、大変感謝ですね」
「そうですね。我々も助かりました。あの時は生きた心地がしませんでしたがね」
ここにはシスディナしか今は居ない。
残りの3人は迎賓館の警護に回っている。
話し相手になってもらっているがこのシスディナも警護中なのである。
「それにしてもあの化物相手にも生き残れるのがSランクって事なんでしょうね。
AランクとSランクの差はかなり大きいと聞いていましたが・・・
どこか納得してしまいましたよ」
「そうなんでしょうかね。私にはわかりませんね。
でも上には上がいるのが普通でしょう?」
「そうですね。私達も頑張らないといけませんね」
そう言うとシスディナはニコリを笑顔をみせる。
その時外が何やら騒がしくなる。
「何やら騒がしいですね。ちょっと見てきますので動かないで待っていてください」
私は頷く。
シスディナさんが両開きのドアを開けようとするとドアが大きな音を立てて吹き飛んだ。
「きゃぁぁぁ!」
私は思わず悲鳴を上げる。
「王女、下がって!」
ドアの向こうから凶悪犯みたいな顔の人物が二人やってくる。
「ははぁぁ、おはつにお目にかかりますぅ殺人鬼です!カカカカッ」
「おい!笑ってないでさっさとやるぞ!」
「うるせぇな。指図すんじゃねぇぞ?
ぶっ殺されたくなけりゃそこの冒険者の相手でもしとけ?」
そう言うとシスディナさんに向かっていく一人の男がいう。
「こいつやればいいのか?悪く思うなよ?仕事だ」
言うや否や、鋭い剣閃が彼女を襲う。
剣を打ち合う甲高い音が数合こだまする。
「さて、おひめさま? 今から俺様が直々にぶっころしてやっからよ~」
近づいてくる狂った剣士を避けるように下がる。
「近づかないでください!」
「なんだぁ魔法で焼き尽くされんのがお好みかぁ?
残念、お前の死体が必要な奴がいるんだとよ。
だから最低限の傷だけで死にな?」
「王女!逃げてください。くっ!お前ぇどけぇ!!」
「そんなに粋がった所でどうにもならんぞ」
シスディナさんと戦う剣士は冷静に剣を振るう。
そしてどんどん私から引き離されていくのがわかる。
あの剣士が強いのだ。
そしておそらく、目の前の殺人鬼と言ったこの男はさらにその上・・・・。
「おい、そこのうるせー女をさっさと黙らせとけ!」
「簡単にいうな!こっちも結構きついんだよ!」
「ちっ、手練れを用意しとけっつたのにこの程度かよ」
そんな事を呟き、さらにこっちに迫る殺人鬼。
「おっと、ちょうどおいでなさったみてーだなぁ?」
そう言うと振り返る殺人鬼は壊れた扉を見る。
そこには脇腹を抑え片手に剣を握る少年が居た。
「まずは挨拶変わりだ!」
そう言うと炎の玉を目の前に作り出し少年に向けて放つ。
「逃げて!」
私が叫ぶと少年は満身創痍で転がって魔法を躱す。
すぐには立ち上がってこないところを見るともうまともに動けないのかもしれない。
「ざんねんだがこれで時間だぜ」
そう言うと目の前から殺人鬼が消えたように見え次の瞬間には後ろから声が聞こえた。
一瞬遅れて胸から剣が突き出ていた。
刺された事にすら気が付かせない程のスピードと剣技。
私は息を引き取る事になるのだろう。
最後に彼が叫んでいるのが聞こえる。
もうよく見えないし、聞こえない。
ただ、寒いとだけは感じていた。
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