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【完結まで執筆済み】1500万円で異世界を買い叩く 〜ブラック企業出身の俺、最底辺から経済を支配し、月面着陸を目指す〜  作者: 高山 虎
第二章 新大陸航路編

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新大陸船員日記

「……今日も、海しか見えねえな」


水平線を眺め、最年少の船員ジャックはポツリと独り言をこぼした。


彼の父は、かつてバルモアが成し遂げた伝説の新大陸航海における数少ない生き残りだった。幼い頃から枕元で聞かされた、黄金の鳥が舞い、見たこともない果実が実るという「地の果ての大冒険」。


その物語に憧れ、ジャックは父の縁を頼ってバルモアの船に乗り込んだのだ。 しかし、手元の古ぼけた日記帳に記された現実は、想像とは少し違っていた。



航海日誌:〇月×日(出航日) この二ヶ月、地獄のような訓練だった。操船や戦闘の稽古かと思いきや、毎日毎日、酒精で床を磨き、ネズミを追って船底を這いずり回るばかり。掃除屋になったつもりはねえ。だが、今日ついに錨が上がった。期待に胸が膨らんで、昨日は眠れなかったぜ。


航海日誌:〇月▲日(出航一週間後) 海が最高に綺麗だ! 毎日太陽が眩しくて、飯も美味い。だが、サトシの旦那が持ち込んだあの「タブレット」だけは勘弁してほしい。口に含んだ瞬間広がる妙に酸っぱくて少し粉っぽい味、飲むたびに顔が歪む。バルモアさんは「命の薬だ」ってうるさいけどよ。飲まないとぶっ飛ばされるんだ。


航海日誌:▲月×日(出航一ヶ月一週間目) 海。海。海だ。右を見ても左を見ても青い水しかねえ。飽き飽きだ。大冒険っていうのはもっとこう、海竜と戦ったりするもんじゃないのか? なんにもねえ。船室に来る猫のキャシーだけが俺の癒しだ。


航海日誌:▲月〇日(出航1ヶ月半目) 死ぬかと思った。信じられないほどの大嵐だ。山のような波が船を飲み込もうとして、必死で帆を畳んだが、指の感覚がねえ。海に投げ出されそうになるのを、必死で綱に掴まって耐えた。冒険なんて二度とごめんだ。


航海日誌:□月×日(出航3ヶ月目) ……陸だ! 水平線の向こうに、見たこともない色の緑が見える。あれが「新大陸」か。バルモアさんと親父が見た景色を、今俺も見てるんだ。


航海日誌:□月〇日(出航三ヶ月半目) はしゃいでいた俺は馬鹿だ。ここは楽園かと思ったら、仕事はただの農作業だった。そこら中に生えてる香辛料やらよくわからねえ実をひたすら摘んで、袋に詰める毎日。俺は新大陸を征服しに来たんだ、農夫になりに来たんじゃねえぞ。


航海日誌:◎月×日(出航4ヶ月目) 先住民の奴らと出くわした。言葉が通じねえし、槍を向けられて一触即発だった。殺し合いになるかと思って震えたが、バルモアさんが妙な手土産(サトシの旦那が用意した酒精らしい)を渡して、あっという間に話をまとめちまった。あのおっさん、やっぱりすげえよ。


航海日誌:◇月〇日(出航5ヶ月目) ついに収穫が終わった。明日、この大陸を離れる。最初はあんなに怖かった先住民とも、今じゃ肩を組んで笑い合ってる。実は、族長の娘のアイラと少し良い仲になったんだ。言葉は半分も分からねえが、あの子の笑顔を忘れたくねえ。……また、絶対に戻ってくる。


航海日誌:×月△日(出航7ヶ月目) もうすぐ故郷に帰れるはずだった。だが、嵐でメインの帆が破れちまった。予備も底を突きかけて、継ぎ接ぎだらけの帆で船はノロノロとしか進まねえ。食料も減ってきた。あの酸っぱい薬だけはまだたっぷりあるのが救いか。いや、むしろあれだけはいらねえっつうの。


航海日誌:●月△日(出航9ヶ月目) やっと陸地が見えてきた。シーリンの街の灯火だ。 思い返せば、この航海は掃除と妙な実を拾うばっかりで、つまらなかったような気もする。だが、こうして終わりだと思うと、なんだか無性に名残惜しい。


今度は、誰かの船に乗るんじゃねえ。 自分で船を操って、新大陸のあの娘に会いに行く。そのために、この航海でもらう報酬は全部、自分を磨くために使ってやるんだ。



港の喧騒が近づく中、ジャックは日記を閉じた。 彼が持ち帰ったのは、新大陸の香辛料だけではない。かつて父が抱き、そして自分が手に入れた「海を切り拓く意志」そのものだった。


その翌日、港に降り立ったジャックたちを、サトシは巨大な倉庫の前で平然と出迎えていた。まるで、彼らが帰ってくることが、ただの計算通りの結果であるかのように。


【閑話:収支内訳】


備考: バルモアの船団、第一回遠征より無事帰還。乗組員の死亡・重病者、驚異の「ゼロ」。サトシの公衆衛生理論の正しさが証明された。

最後までお読みいただきありがとうございます。


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