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Trillion of Labyrinth 一生懸命癒やします!  作者: 魚介貌
第2話【】
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三匹娘のデコレーションタイム③

「おおうっ! 紫だ! しかも“ド透ケベイ仕様”だ!!」


「うわうわっ、隠してない! 肝心な部分だけ隠して無い!!」


 身体の何処かに人間以外の特徴を備えた少女が2人。霰もない恰好で実体化させた、大量の薄い布地に埋もれながら歓喜と驚嘆の叫びを上げている。

 片や青銀の産毛の有袋類型獣人〈ワラビット〉のモエ。片や翡翠の光沢ある鱗肌の龍系獣人〈ドラゴニュート〉のミュラ。中身はどちらも現役女子中学生。しかも美少女カテゴリーの子供達である。


 芯から極悪非道の大人による悪気の無い親心の結果、かなり精神的に大人の階段を段飛ばしに引きずり上げられる経験をした。ようやっと羞恥プレイから解放されたのだから先ずは身支度をすると思いきや、『好みの装備を選べ』とジョージの店のカタログ一覧を渡されたとたん、新たな衣装選び……、いや装備の選別に舞い上がって全裸乱舞しているのである。


「……あんだけギャーギャー剥かれた事を騒いどいて、何故今平気で彷徨き回ってんだか……」


「……おじ様ぁ、この~契~約書~。結局ど~いう内容になったの~かしら?」


「マリー……お前さっきまでビービー泣いたの、無かった事にしたろう?」


「…………ジョージおじ様ぁ、この~契~約書~。結局ど~いう内容になったの~かしらぁ?」


 モエとミュラを傍観する体で、リビングスペースのソファに並んで座るジョージとマリア。

 必要な作業が一段落したジョージはともかく、マリアは他の2人同様に装備選びをしなければならない筈なのだが、身体が自由に動くよう解放されてから、“そのまんまの恰好”でジョージの隣に陣取り、契約内容をチェックして疑問な部分を質問しているのである。

 が、実のところマリアには意味不明な部分が殆どで、ほぼジョージが“マリア向け”に解釈して口頭での説明となっていた。


「何度も言ってんだがなあ。要約すりゃ『〈テトラペッツ〉メンバーには俺の許可無く〈テトラペッツ〉以外と接触する事を禁止する』だ。ロリコン目当ての連中がお前等に触れるのを防げるし、お前等自身が不用意に自爆するのも防ぐ。そんな内容だと思えばいい」


 “よいしょっ”と中学生らしからぬオッパイを下から持ち上げるような腕組みで悩むマリア。次いでこの悩みを問いかける。


「でも~おじ様ぁ。そ~禁止してもぉ、言葉だけでは~無意味な感じぃ?」


 そんな、当然とも言える疑問である。


「言葉だけじゃねーぞ」


 マリアの疑問に納得したジョージが説明する。

 〈贖罪の首枷〉というシステムは、プレイヤーではなくサービス側で管理するシステムとなる。通常このアイテムを使われたプレイヤーは、常時、システム側から機械的な監視をされる状態となりその監視レベルの基本となる契約内容に沿い、様々な制限が行使されるのである。


 つまり〈テトラペッツ〉のメンバーに不用意に触れようとしたプレイヤーは、システムに許可される範疇でしか近寄る事ができなくなっているのである。

 この機能が実行されている今現在。この少女達に触れまくれるのは事実上ジョージ1人だ。故に、もう先程の寄生虫のようなトラブルは発生しないと言っていい。


「誰にも触られ~ないし~、誰にも触れ~ない?」


「普通に触れるくらいは問題無いな。が、アバター同士でデータ交換するような事は全部禁止している。現状それが可能なのは、親フォートである〈東日本魔王商工会〉でも俺だけだ。クエスト関係があるからNPCとは普通に接せれるようにしてある」


 ジョージが該当部分が契約書の何処にあるかを示し、マリアも見つけて納得している。だがそれでまた生まれる疑問だ。


「でも何で~、おじ様ぁのフォ~トと関連付けなのかしらぁ?」


「そりゃあ、馬鹿やる奴にゃあ、“ペナルティ”が必要だろう。ケッケッケ!」


 まず〈贖罪の首枷〉はフォート責任者が下位メンバーへ制裁として行使できる物という基本がある。〈テトラペッツ〉の場合、リーダーであるモエがサブリーダーである他の2人に使う事はできる。だがモエ本人がモエ自身に使う事はできない。

 ジョージが〈テトラペッツ〉を傘下に……というより支配したのは、手っ取り早い強権を使える立場を得るためだ。立場的にはジョージが〈テトラペッツ〉全体に制裁する形で〈贖罪の首枷〉を発行した事となるのである。


 更に支配下に置く事で〈東日本魔王商工会〉には〈テトラペッツ〉を管理保護する権限も生まれる。ジョージは自分のフォートに設定してある過剰な自衛措置を、間接的に〈テトラペッツ〉へも発動するようにしたのである。


「……ペナル~ティ……?」


「まあ、どんなもんかはその内観れるから楽しみにしてろ。つか、マリーもそろそろ服着ろや」


 いくら親類、しかも乳児の頃から知ってはいても、ここまで恥じらいを忘れられるのは男として困る状態である。

 だが当人達にしてみれば、勝手に剥かれて検査と称してスミズミまで見られ済みである。極端な話、レイプされる心配が霧散したなら、もうジョージはエロい触診をする医者程度でしかない。

 逆に、今更隠しても意味無しと遠慮の無い状態と化しているのである。


「あの2人の~、ど~っちかが決めないとねぇ。まぁず後1時間くらい~かかるしぃ」


 見た目の被りは厳禁。女子的思考根幹の1つである。〈テトラペッツ〉3人の場合、勢いのあるモエとミュラがツートップで騒いだ挙げ句、互いに個性とする形へ落ち着く。マリアはそこから更に2人と被らないイメージで自分をデコレーションしていくのがパターンなのである。


「……いやちょっと待て。あいつ等、選んでんのは装備以前の“インナー”。……ランジェリーだぞ」


「……そう~よ~。まず徹夜~かしらぁ? 付き合ってね~おじ様ぁ」


「いやオレも予定がな……。店とか仕入れとか納品とかな」


「こ~んなピチピチな女の子を~、い~っぱい好き勝手したでしょ~。ママから~、録画許可~は出てるし。もう撮ってるだろ~し?」


 マリアの爆弾発言にガクリと(こうべ)を垂れるジョージである。さすが親類。侮れないネタを仕込んでくる。


「中坊の娘に何吹き込んでんだ“アイツ”……」


「だからぁ~、つ~い本当~に犯されると思って~、泣いちゃったのよ~」


「マジで何吹き込んでんだ。あの馬鹿」


 旧知故の窮地、ここに極まれり。であった。

 マリアの言葉のとおり衣装選択は長時間が費やされた。ジョージの倉庫型店舗の広さは、正に現実の波止場にあるような大型倉庫を模した物である。三階の位置に作られた大型倉庫分の居住空間は、下手な一戸建て住宅の坪数を軽く超えており、暮らす空間は幾らでもあると言っていい。


 その一角にぶちまけられた現実では有り得ない、膨大な服選びに本気で狂喜乱舞しつつある小娘供に呆れながら、ジョージは黙々と少女達の仮の居住空間を設置していく事となった。

 先ずは人数分のベッドやベタ座りでじゃれ合って騒げるカーペットスペースを用意し、そこに大量のクッション。少女趣味のちゃぶ台と大量の菓子類等を置く。内容は全てマリアのリクエストを反映してだ。


 そして、どうしても外せない用事のために〈テトラペッツ〉を店から移動不可に設定し、外出する。出かける前に『3時間放置するから、その間に装備を選んでおけ』とマリア伝いに命じておいた。

 帰宅してからその装備をモエ達用にカスタマイズするつもりだったのだ。


 だがジョージが戻ってみれば、用意したベッドはどれも使われる事も無く、誂えたカーペットスペースでクッションと大量の布装備に埋もれて果てる小娘三匹を見る事となる。

 その姿は全裸から色とデザインが過激なランジェリー姿にレベルアップしていたが、しかし人には見せられない恰好であるのは、寧ろ全裸よりマズい。


 見られた当人達の、“だらしなさ全開”という意味であるが。


 どうやら低レベルでの行動限界を把握せず、強制睡眠をくらって果てたような惨状であった。

 『Trillion of Labyrinth』を始めとする現実と時間経過が異なるゲームでは、一定間隔毎に仮想環境での睡眠(スリープ)を取る事が決められている。仮とはいえ、現実の1時間を1日として過ごす以上、休息というステップを挟まずに行動し続けると精神的な疲弊が表面化。仮想環境だけでなく、現実においても体調不良が発現するという“公式見解”になっている。

 なので最低でも1時間の睡眠を、レベルによって変動する間隔で取るのは回避不可の基本仕様となっているのである。


「えーと……、寝落ちしたのは40分前か。睡眠設定はデフォルトだから7時間と。……ま、静かな事は好い事だ」


 行動の拘束は解除したものの、ジョージが少女達のステータス調整を弄れる権限は生きている。何時まで騒いで限界が来たのかを過去ログから確認し、スリープ時間の確認もついでに見ておく。多少の自由時間ができた事に安堵すると同時に、未だ下着が決まっただけかと十代の感性に恐怖するオヤジであった。


 因みに。

 3人が選んだランジェリーは年代的に絶対着れないだろうアダルティな代物だ。


 モエの選んだ物は派手な紫色のホルターネックブラにローライズのTバックショーツ。その上下に合わせたデザインのニーハイストッキングである。ローライズを選んだ理由は腹部のポケットを邪魔しないようなデザインでは他に選択肢が無かったからである。ストッキングもせっかくなのだからガーターベルトのタイプを試したかったのだが、ショーツと同じ理由で諦めていた。

 ブラはハーフカップタイプなのだが、もし修道女の装備と同系統を着るならば、着けていくのは無理だろう。なにせ下乳全開である。今は気づかずに着けているが、後で嘆くのは決定していた。


 ミュラの物はデザイン的には“ランジェリー”の基本仕様であろう。フルカップブラであるがスリット入りなので露出度は案外大きい。ショーツはフロントの布面積もとことん少ないタイプのTバック。モエができないガーターベルト付きでのストッキングと、サンプル画像を求めれば最初に出てくるような印象である。色も目に痛いほど鮮やかな赤。ただ1つ、違和感故に凝視しそうな股間の紐が“パール”仕様の部分だけは、本人が解って着けたのか敢えて問いたい事である。


 そして最後。マリアが選んだデザインには、さすがのジョージも少々悩んだ。

 アシンメトリー。略してアシメと称される左右非対称のデザインなショーツで、フロントの左からサイドへは布地では無くマイクロチェーンでバックの紐へと連結している。尚Tバック仕様なのは当然である。

 そして、ランジェリーという意味で着用しているのはそれだけである。

 オッパイ丸出し。マリアの上半身はその表現が正しくもあり間違ってもいる、微妙な仕様の塊と化していたのだ。

 先ず、肋骨と鳩尾の継ぎ目部分の位置にファンデーションとしてのベルトが巻かれている。これで乳房が皮膚毎下がるのをカバーしていた。カップの無いストラップレスブラの帯部分だけ。と思えばいいだろう。そして、乳房の“上乳”から鎖骨の下まで貼られた炎模様の“テープブラ”。敏感な先端には六芒星のニプレス。

 実に凶悪な選択である。


 色は全て黒で統一しており、デザインも併せて首のタトゥータイプの〈贖罪の首枷〉に似合う物を選んだと予想できる。


 これだけ個性を吟味したのだから、下着選びで精根尽きたのも肯けよう。

 尚、3人全員、生地は透明度の大きいレース。獣人という事で尻尾用のデザインか、只でさえ露出過多のTバックが“オープンタイプ”であったりする。


 ぶっちゃけ、この見せる系ランジェリーに“隠す”という要素はゼロに近いと思えばいい。

 当然、とても中坊が着る物でもない。


「……こりゃ、起きてからもまた下着選びからだな……」


 淫らな恰好の雑魚寝娘らをそれぞれベッドに放り投げ、取りあえず自由閲覧し放題の乙女の秘密(ステータス)に適した装備を厳選しておく。

 強化数値や付加スキルのデータをまとめておけば、仮に1から作る事となっても面倒が少ない。

 というか、下手に選ばせるより時間が少なくて済みそうと思えた。

 そんな大人の妥協である。


 そうして可愛らしい寝息が聞こえるだけの空間で、オッサン1人、何故か黙々とボランティアに励むのであった。




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