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Trillion of Labyrinth 一生懸命癒やします!  作者: 魚介貌
第1話【ある滋養治士のお話】
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彼女が堕ち炒る2h①

 マヤヤがスリープから目覚め、『トリオン・オブ・ラビリンス』での冒険者生活の二日目の朝である。


 マヤヤは昨夜、トキヤの予想外の問題により、活動予定として知らされていた内容は未定になると教えられていた。もちろんイワオ等は当初の予定を守ろうと、マヤヤが寝ている間に奔走したのである。だが、運良く『呪い』の本質を知れた結果、ある程度の時間と段階を踏まなければ解決できない問題だと分かり、やむなく、マヤヤよりトキヤ優先で行動することとなったのである。


 そして早朝。


 目覚めたマヤヤは、のっけからセクハラ三昧に遭っていた。


 スリープを終了時間にはイワオがそばに待機し、連れ立って定番の待ち合わせ場所、『ロレンス酒場』へと移動する予定だったのだが、イワオと宿を出たとたん、待ち伏せしていたウスネと鉢合わせる事となる。ウスネはマヤヤの見知らぬ人物を連れており、急遽、その人物から“処置”を受けなければならないと宣告されたのである。


 その人物、ゴスロリ風カラスの獣人であるエヴァラ。彼女の錬金術職人によって、“汚染”されている身体と精神を何とかするための処置を、と。


「あーあ~。ウスネちゃんよりかなり進行してるわねえ」


 蜻蛉帰りするように宿の部屋を再び借り、男子禁制、マヤヤ、ウスネ、エヴァラで籠もること五分。強制的にマヤヤのステータス調整を第三者操作可能に変更させてエヴァラが猛スピードでチェックした結果である。


【パッシブスキル:情欲恋慕(Lv5)】


 ウスネに刻まれた『呪い』の影響によるスキルと同じであるが、既にレベルアップ段階となり、しかも高レベル化もしている。エヴァラはまだ細かい数値を割り出してはいないが、この表記ではとっくに暴走状態でもおかしくないと推測していた。


「えーと、マヤヤちゃん。貴女、好きな男性はいる?」


「お父さんとか?」


「“ライク”じゃなくて“ラブ”でね」


「それは、いません」


「不幸中の幸いねえ」


 ウスネで予めチェックしておいたスキルの概要から、明確な“相手”が居ると居ないでは汚染度が違う。例え高レベルとなっていても、過激な行動には結びつかないだろう、とのエヴァラの判断であった。


「“巌騎”と一晩過ごしたなんてシチュ、もう手遅れとかとかお姉さん心配したのに……紳士だねえ。ツマンナイねえ」


「世間って、エヴァ姉とは違うんにゃよ?」


「……?」


 やや爛れた掛け合いの話題に置いていかれたマヤヤが小首を傾げているが、その親友の様子にも気づかずウスネがエヴァラへと忠告を飛ばす。が、その忠告自体がウスネの墓穴を掘っているのに当人は気づいていない。

 エヴァラは勿論、ウスネの反応やマヤヤの様子から分かった上でボケているのだが……。


「んー、巌騎も結構な数の彼女いたし、“そういう社交辞令”は使ってあげるのも礼儀よう。綺麗な“脱がされ方”ってのは相手あってのものだしぃ」


「ちょ、エヴァ姉……」


「はうあ、そうですか。“脱がされなきゃダメだった”んですね」


 マヤヤのステータス数値を解析していたエヴァラ、そのエヴァラを睨んでいたウスネが、“ぎゅん!”と擬音がなりそうな勢いでマヤヤを凝視する。

 さすが近しい血筋の者だけあり、反応に共通する部分がソックリである。


「「詳しく!!」」


 口調も音程も、実に見事なユニゾンであった。


 昨夜の流れを、その時のマヤヤの“ハシャぎっぷり”も込みで聞き出した二人の反応は、全く違う事となる。

 ウスネは現実のマヤヤ、つまり柔波のお泊まりの日の再現を思い出し、そう“面白いネタ”とは認識せずで終わる。だが、エヴァラにとっては『呪い』に関して考え違いをしていたのを知る情報となる。


「あーっ、ヘルプ読み違いしてたわー!」


 『情欲恋慕』の概要は、『好意対象に対するハラスメントパラメータの過剰偏向化』である。この“好意対象”をエヴァラは“恋愛対象”と思い込んでいたのだ。だが実際は、対象には“ラブ”だけでなく“ライク”も含むのである。

 ゲーム内において、そしてパーティーにおいて、最年長のイワオはマヤヤにとっての保護者的扱いだった。マヤヤにとって、“ライク”で括られるパーティー内の代表である。その対象と一晩である。スキルの成長が激しいのも頷けるし、なにより──


「マヤヤちゃんの行動はもう、立派に暴走状態だわあ」


 マヤヤ自身に自覚は無かったようだが、イワオは確実に“情欲”対象になっていたのであった。


「えーと、じゃあ?」


「そう、“手遅れ”。まあ、呪われてる子が相手じゃないのは救いかしらねえ。『呪い』の影響での偽りの相思相愛にはならなかったんだから」


 最悪の状況ではあるが、最悪の結果は出ていない。であるならば、これから打つ手は無駄ではないと、エヴァラは当初の目的を果たすことにする。


「まあ、予定通り『呪い』に対抗するアイテムを作るわよ。そうしないと更に変なスキルとか植え付けられるだろうし」


 ストレージから取り出される錬金術職人特有の不気味器具が部屋を埋め、何処の魔女の隠れ家か? という有り様に模様替えを済ませたエヴァラは、マヤヤ専用、対呪いに特化したアイテムの作成を始めるのであった。



昼間書く暇無かったでゴザル……

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