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ライバルは前世~生まれ変わりだから愛するのではなく今の私を貴方には愛して欲しいんです~  作者: リラックス夢土


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24 七色の砂時計




 烈牙様は朝食を食べると出かけて行った。

 そして私は第七公子の吹雪の部屋に向かう。


 吹雪から部屋に来るように呼び出しがあったのだ。

 私は吹雪の部屋まで来ると扉をノックした。



「誰だ?」


「吹雪様。真雪です」


「入っていいよ~」



 私が扉を開けるとソファに吹雪が座っている。

 向かい側のソファには響の姿も見える。

 その目の前のテーブルにはいろんな宝飾品が置いてあった。



 テーブルの上の品物は吹雪の商売道具かしら。

 仕事中なら私は邪魔になるんじゃ。



 そんなことを思いながら吹雪たちに近付く。



「お仕事の最中でございましたか?」


「もう、終わるからちょっと待ってて」



 吹雪は宝飾品を片付けながらその中から小さな小箱をひとつテーブルに残した。



「ここに座って。真雪」


「はい」



 逆らう理由もない私は素直に吹雪の横に座る。



「侍女の仕事は慣れましたか?」



 響が優しい声で私を気遣うように声をかけてくる。



「はい。侍従の方が丁寧に教えてくれるので慣れてきました。まだまだ手際よくとはいきませんが」


「そう。それは良かったね。仕事なんてどんな職業も慣れだから心配ないよ。それに父上は真雪が少しくらい失敗したところで怒らないって。竜葉辺りが失敗したら猛烈に怒るかもだけど」



 吹雪は私に笑顔を見せながらそんなことを言う。



 いえ、吹雪。烈牙様が私の失敗を怒らないという保証はないのよ。

 烈牙様は優しい方だけど仕事に関しては厳しい方だと聞いたことがあるし。



 もちろん私の心の言葉など吹雪には伝わらない。

 機嫌が良さそうな吹雪は私にテーブルにひとつ残っていた小さな箱を手に取り私に渡してくる。



「ところでさ。これ真雪にあげる」



 何かしら。



「開けてよろしいですか?」


「うん」



 私は小箱の蓋を開けた。

 中には砂時計が入っていたがただの砂時計ではない。中の砂は七色に輝いていた。



「まあ。綺麗」



 砂時計の砂の美しい輝きに私は目を奪われる。



「本当はネックレスとか贈ろうかなと思ったんだけどそれじゃあ真雪は受け取らないだろうって響が言うから砂時計にしたんだ。受け取ってくれるかな?」



 そうね。ネックレスや指輪だったら受け取らなかったでしょうね。

 烈牙様に勘違いされても困るもの。


 でも砂時計なら自分の部屋に飾って置ける。

 せっかく吹雪が私のために選んでくれた物ならいただいておきましょう。



「もちろんです。このように素敵な物をありがとうございます。吹雪様」


「この砂は幸運を呼ぶと言われてるんだ。だから部屋に置いておいてね」


「はい。飾らせていただきます」


「ほらね。吹雪兄さん。真雪はこういう小物類が好きなんですよ」



 当たり前のように響がそう断言するので私は首を捻る。


 確かに私は小物類は好きだ。

 でもそのことを響に話したことはない。どうして響はそう思ったのだろう。



「響様。よく私が小物類が好きだと分かりましたね」


「ああ。前に私の母上の形見のオルゴールを触ろうとしていたろ? だから小物類に興味があるのかと思って」



 そう言えばそんなこともあったわね。

 私にとってもあのオルゴールは大切な想い出の品だ。



「それとさ。今日は真雪と外出しようと思ってるんだけど。いいかな?」


「外出ですか? いったいどこへ?」


「青龍の薬草研究所。青龍に頼んでおいた薬ができたから取りに行くついでに街のお店で真雪とお茶しようかなって考えているんだけど」


「でもあまり遅くまでは外出できませんよ。仕事がありますから。それに竜葉様から許可をいただかないと」



 侍女としての仕事をサボってまで吹雪の外出に付き合う気は私にはない。

 だがそんな私の考えを吹雪は先回りして読んでいたようだ。



「大丈夫。竜葉にはもう許可はもらっているよ。真雪だって父上が外出している時は仕事はないんでしょ? 侍女の仕事に影響でないようにするからさ」



 まあ。用意周到ね。

 でもそれならいいわ。青龍の研究所は一度見たかった場所だし。



「分かりました。ではお供します」


「わ~い、やったね!」



 吹雪は子供のように喜ぶ。

 そこでふと私はあることに気付く。



 もし吹雪と二人きりで外出したら烈牙様に吹雪との仲を誤解されないかしら。

 烈牙様が私は吹雪のことが好きだとか思われたらそれは困るわ。

 響も一緒ならいいけど。



「響様もご一緒ですか?」


「うん。私も行くよ」



 響の返事に私は安堵する。

 二人と外出ならとりあえず烈牙様に誤解されることはないだろう。



「では外出の準備をしてきます」


「うん。じゃあ、中央棟の玄関で待っているよ」



 一度西棟に戻り外套を着て中央棟に行くと玄関で吹雪たちが待っていた。

 私は用意された馬車に乗り込む。



 久しぶりの街だわ。



 私の心も浮き立つ。



「研究所までは遠いのですか?」


「そんなに遠くないよ。馬車なら10分で着くから」



 吹雪たちが乗ると馬車が動き出した。

 吹雪と響は外出用の服装に着替えている。貴族が着る外出着を着ていると普段は軽いノリの吹雪も貴公子以外に見えない。



 元々吹雪は整った顔立ちをしているからきっと女性にはモテるでしょうね。

 何もわざわざ私などにちょっかいを出さなくても女性に困ることはないだろうに。

 私のどこがそんなに気に入ったのかしらね。



 でもどんなに吹雪たちに気に入られようが私が息子たちに恋愛感情を持つ日は来ない。

 そのことを息子たちに伝えられたら私の気苦労も少しは減るかしら。







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