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帝国からの足音

「リーナ、聞いた?」

教室に着くなり、アイリスが少し興奮気味に聞いてきた。


「ごめんアイリス、何の事か分からないわ」

昨日アイリスと別れた後は教会で女神様と会った位で、

アイリスと関係する様な事は覚えが無い。


「そうかリーナは聖女だからてっきり、もう聞いているのかと思って、

私も昨日、レナード殿下と王城でデート…じゃ無くて、

王城の薔薇園でお茶をしている時に聞いたばかりなんだけど、

この学園に帝国の第二皇子が留学して来るらしいわ」

「はい?何で?」


お家デートが王城なのもビックリだけど、

帝国の第二皇子がこの国に留学するなんて普通ありえない。

私の国もジーク様の国も帝国とは、国単位では同盟を結んでいない。

大陸連合加盟国で大陸条約等を結んでいるだけだ。


「どうも各国の主要な教会にご神託が降りたらしく、

今後世界的な危機が訪れるらしくて、それに対抗する力がこの学園の地下迷宮にあるらしいの。

それで適正職業が『勇者』の帝国の第二皇子が迷宮を探索に来るらしいわ」


「そうなんだ、でも私には関係ないわね」

「何を言ってるのリーナは聖女じゃない、

勇者パーティに聖女は必須でしょ?」

「でもこの国の聖女はピンクちゃんでしょ?

ならピンクちゃんが行くんじゃないのかな」

「確かにこの国が管理している迷宮に関係する事だから、

普通であればこの国の聖女が対応すべきなのだけど、

彼女はアレだからほら」


アイリスがそう言って見ている先をみるとピンクちゃんが、

頭に召喚獣をのせて、テヘぺろしていた。


確かに傍から見て変ではあるかも知れないけど、

古き良き時代の王道らしいの、一日ワンぺろよ。


そう言えば学園側の許可を貰わないと、学園内でキュウちゃんを召喚出来ないのだった。

帰りに忘れずに職員室で申請を出さないといけない。


その後、朝のホームルームで、簡単に帝国の第二皇子の説明があった。

特例なので、Sクラスを作るらしい。

この国に同年で第二皇子が知っている人間がいない為に、

帝国から年齢を問わずにパーティメンバーとしてᏚクラスにいれるらしい。

だけど、聖女に関しては適正年齢の人がいない為に、

一度この国の聖女を見て無理な様なら、高位の回復職を別途帝国から連れてくるみたいだった。

昨日の女神様の話を聞く限り、本来であればこの国の中で解決するシナリオだったらしいので、

帝国で適齢期の聖女がいないのも頷ける。


頑張れピンクちゃん、回復職に負けるなピンクちゃん、

最悪負けても私を巻き込まないでピンクちゃん。

大丈夫、ピンクちゃんは、無限ヒールポットよ、歩く薬草園なの。

......なんか選ばれる未来が想像出来ない。

第二皇子が来る日、学園をズル休みするのが良いかも知れない。


私は授業が全て終わったら直ぐに職員室に駆け込み、

園内の召喚獣申請を出した。

正式に申請が降りるのは数日かかるらしいけど、

特に問題ないので明日から連れ込みの許可がおりた。


申請を出している最中に、チラッと窓際から外を見ていた園長の髪は、

かなり薄くなっていた。

帝国から第二皇子が来るのですものね、心中お察しします。

桜の花が舞い散る様にハラハラと頭髪が抜けていく園長が少しだけ気の毒に思えた。


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