第90話 人の生きる世界
第二次侵攻作戦から数日。
ルブルム・テルースの復興が始まった最中、ルナクスこと星野影郎は自身の会社で記者会見を開いていた。
「我々は世界を救うためにCAプレイヤーを戦わせてきた。そしてその目的を果たされ、CAと言うゲームも……それを維持管理する会社も役目を失った。後は私が責任を持って裁かれるだけだ」
とても謝罪をするような態度では無いが、彼の実績はそれを許す。
記者の一人は質問をしようと手を上げた。
「失礼ですが、CA世界……ルブルムと呼ばれている星が現実の物である証拠はあるのでしょうか?」
「我が社の発売したVR装置、ESGは元々ルブルムでシュミレーション訓練に使われていたものだ。それを我々の世界に合わせて作ってはいるが、現代では再現不可能なパーツがある……という話が証明になるだろう」
ルブルムの技術は地球だけでは再現出来ない。
非合法にリバースエンジニアリングをしたとしても他社がES社に追従出来なかった事にも納得出来るだろう。
「だが逆に我々の技術でなければ解明出来ない物もルブルムには存在する。今後はそれらの解明や技術的交流を行うのが我が社の目標になるだろう」
集まった記者の反応は様々である。
納得したような表情の者も居れば、驚愕を隠せない者も多い。
「だがそもそもだ。我々は無垢なプレイヤーを戦場へ送り込むことで目的を達成した。例え人を助ける為だとしても、その事に対する贖罪を行うべきだと思う」
人助けをしたのに何故断罪されなくてはならないのか。
人を騙したのだから断罪されるべきだ。
そのどちらを思うかは立場によって異なるだろう。
だが少なくとも、影郎と彼に続く社員は後者の道を選んだ。
「故に我々は……ESGの製造技術を全世界に公開し、数年以内にES社を事実上の解散とさせて頂く」
記者達は困惑を隠せない。
ネット中継も大いに盛り上がり、コメントは爆発的に増加した。
「ここまでで何か質問は? 」
誰もが情報の咀嚼で苦しむ中、一人の記者は手を挙げる。
「どうぞ」
「ありがとうございます。私はマスコミとしてではなく、一人のリンカーとしてルナクスさんにお願いしたい。どうかES社を存続させてくれませんか?」
「ほう……」
ワンテンポ遅れて記者から記者への怒号が飛び交う。
自分へ向けられる物が他人に向けられると思っていなかった影郎は頭を抱えた。
そんな彼に秘書は近づき耳打ちをする。
「何……? CAとES社を存続させてくれという電話が止まない? 何がどうなっているんだ……」
状況を把握し切れない男の声をマイクは拾っていた。
会場は一気に静まり返り、影郎は珍しく緊張した面持ちでカメラへと向き直る。
「失礼した。今後の方針は再び社内で検討し、追ってお知らせする」
――――――――――――――――――――
ES社の記者会見から更に数日。
本来再起不能になるはずだったアルゴンの姿はルブルムにあった。
「どうしてあの時の私はあんな小っ恥ずかしいセリフを言ってしまったのでしょう……」
「場の空気ってやつだろ? まぁ後は最悪だったけど」
アルは消えなかった。
遅れてきたメビウスホライズンがジンとアルゴンを回収し、マーグヌム・カストラで修理されたのである。
当初の計画では完全に機能を停止するはずだったが、機体のポテンシャルを想定以上の引き出す事が出来たからだ。
更にはブレイズ・Rのジェネレーターも動いた事、そして数回に渡る内装パーツの強化強化も良い方向に働いた。
その結果、機体はエネルギー関係のオーバーホールだけ全てが終わり再稼働も問題無く果たしている。
「ジンさんはこの後どうするんですか?」
「そうだなぁ……ES社からルブルム開拓の宣伝してくれって案件貰ってるから、それをやるかねぇ」
今まではアルゴンを育てる事が仕事だった。
だがデリート・エフェクターの発射という目的を果たした今後はそうも行かない。
「配信者にでもなるんですか?」
「そうなる……かもな。まぁボチボチやってみるよ」
ルフス・エフェクターの消滅によって平穏が訪れた世界。
残されたグルムは未だに暴れまわりCA乗りを飽きさせなかった。
「不完全な存在の作り出した完全な獣、か……」
ホロスコープシリーズはメビウスとルフス・エフェクターの想定よりも多く増殖していた。
第二次侵攻でかなりの巻き添えを食っていたが、それでも驚異である事は変わりない。
故にリンカーという狩人の存在は引き続き必要となっている。
「ジンさん! そっちに一体逃げましたよ!!」
「了解!!」
星野影郎は後に会社を存続させること発表した。
ただし賠償請求を行う者には応じる姿勢を見せ、ルブルムやCAが心の底から好きな人間以外は簡単に去っていける環境を作ったのである。
「……ジン、私達が辿り着く結果は本当にこれで良かったのでしょうか」
「ハッ、結果に良いも悪いもありゃしねぇよ」
「「俺が生きてて、お前が生きている!!」」
ただそれだけの事だった。
赤い星のリンカーネーション、これにて完結です。
ここまでお付き合い頂きありがとうございました。
感想や評価は確かに力になりますが、私は更新すれば1でも動くPV数にかなり助けられました。
特になろう版、1日に100PVは動くだろうという保証がもう本当に心強かったです。
これが無ければ多分完結は半年くらい遅れていたでしょう。
とは言いつつ、ベースの更新速度が遅くて完結まで2年以上かかりましたけどね((
なお次の連載作品に関してですが、こちらは特に準備出来ていません。
ただしノベプラで投稿している掌編は引き続き投稿、なろうにもロボット考察部を置こうかな~と考えています。
本作の反省会的な動画を作ろうかなぁとかも考えているので、まぁ当分は活動停止にはならないでしょう。
と言う事で!
また機会があれば、私の作品を読んで頂けると!!
嬉しいです!!!
それと!!!!
なろうでは7月26日から「ロボット考察部( https://ncode.syosetu.com/n5625ie/ )」というエッセイのシリーズも投稿するので、是非一度は見て頂けると!!!!!
あと「ミュージック·フロンティア」という作品の原作小説制作と動画編集をやったので、合わせて見て頂けると嬉しいです!!!!!!
https://twitter.com/396PRO_small/status/1668204560320712704
……以上。
最後まで閲覧して頂きありがとうございました。




