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赤い星のリンカーネーション  作者: 鳥皿鳥助
7章 第一次侵攻戦
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第69話 リミテッドナイト






『それなら、壊してでも君のパーツを貰うよ!!』

「悪いが壊させんぜ!!!」


 シヴァがアルゴンへと向けたレーザークローはフェイントである。


 右腰に懸架されたレーザーライフルは射撃を行うも、アルの操るソードビットに弾き落とされた。

 そうして回転しながら落下するソードビットを掴んだアルゴンは二刀流の構えで斬り込む。


 だが相手もただ斬られるような存在では無い。

 一本はレーザークローを叩き割られ、もう一本は回し蹴りの防御で破壊された。


『やっぱり強度は無いんだね』

「申し訳ありません、私の力不足で……」

「大丈夫だ。どうせまた作れるんだしな!!」


 シヴァは感触を確かめるようにして手を動かす。

 破損したソードビットは装甲剤として素早くアルゴンへと取り込まれ、ジンはルナブレードを振りかぶる。


 そうして持ち変える間にもシヴァとの距離はどんどんと近付き、最終的にはレーザークローとの鍔迫り合いとなった。


『僕はこの星を愛している。だからその環境を破壊する君達人類を消し去りたいだけなのに、何故邪魔をするんだい?』


 落ち着いた口調で憎愛の籠もった言葉が投げかけられる。

 押し込む力も次第に強くなり、ジンは劣勢へと追い込まれていった。


「エル、お前のそれは愛じゃない……!」

『なら何だと言うんだ!!』

「ただの支配欲だッ!!!」


 愛があるなら星への負荷が高い攻撃はしないはずだ。

 エルにもそういう選択肢もあったはずなのに、それを選ばないのなら愛とは呼べないだろう。


 それがジンの考えだった。


『そう、か……支配欲か』

「こっちの防衛ラインが突破された! ジン、不味いわよ!!」

「マジかよ。……こっちもやべぇぞ?」


 グルムの戦力はメビウスの予想以上であり、同時に味方の戦力が不足していた。


 互いの切り札であるアルゴンとシヴァはどちらも抑えられていたが、この場は準備をしていたエルの作戦勝ちだ。

 リンカーよりも先にグルムの援軍が到着したのである。


『人類を滅ぼした後、この星を思うように支配するのも良いね。とりあえず今日はデリート・エフェクターを貰うとしよう』

「エルてめぇ……ッ!!」

「マスター、今は撤退支援が先決かと」

「分かってる! 追撃はしねぇ、しねぇけどよ……」


 その後、ジン達の協力とエルの執着によって撤退は無事に終了した。

 質を伴っていたが数を優先した編成だった事により、作業員の死傷者も少なく押さえられている。


 だが彼らは知らない。

 途中まで発掘していた巨大な砲塔を放置すると言う事が、どのような結末をもたらすかを……






 ――――――――――――――――――――






 到着の遅れたルナクスは関係各所に謝罪を入れつつ、発掘現場の最も近くに設置されたインスタント・ベースへと到着した。


「遅くなってすまない。状況はどうだ?」

「完全にしてやられましたよ」


 グルムによって掘り起こされた物体は巨大な砲身だった。

 既に形状からエネルギー砲である事そして、この星で最大の破壊兵器である事は判明している。


「状況は概ね把握した。だが……」


 メビウスは旧ルブルム共和国時代から残された数少ない伝承を情報源として作業を進めていた。

 一方でエルにそれらの情報は与えられておらず、どうやって嗅ぎ付けたのか彼らには理解出来ない。


 不確定な情報を元に動いたのであれば、周囲の戦力を不自然なほどに集中させてまで動くのはおかしい。

 ルナクスはそう感じた。


「エルも随分と焦っているようだな……」

「盟主。少し良いですか?」

「何だ」


 声をかけてきたのはファントム・エクスに所属するリンカー。

 彼は資料をルナクスへと渡すと、話を始めた。


「エルの奴、どうもかなり前……恐らくは暴走初期に旧ルブルム共和国のデータベースにアクセスしてたそうです」

「それは本当か?」

「はい。ヘンリー博士が言うには、そこから情報が漏れた可能性が高いと……」

「なるほどな……」


 その時代の資料は現代まで受け継がれていた。

 だがそれもある程度であり、現在のメビウスに受け継がれたモノはいくつかが失われている。


 完璧なデータを保持しているのはそれこそ侵略者(エル)のみだろう。


「それとマーグヌム・カストラの全データが解析し終わったそうです」

「ふむ、それは良い知らせだな」


 元々グルムの拠点であるマーグヌム・カストラには多くの設計データが残されており、彼らはヘンリー博士を始めとした技術者にその解析を依頼していたのだ。


 一度拠点を占拠された際の追加データも存在するそれには、彼らが掘り起こしていた巨大な物体。

 デリート・エフェクターに関するデータも存在する。


「中々面倒な代物だな。……このデータは何だ?」

「はい。ヴィクテムとシヴァでアルゴンの代わりにならないか検証した時の残骸ではないか、と聞いています」

「そうかそう言う事か……通りでエルはアルゴンを狙い、太古の遺物も奪う訳だ」

「メビウス側の結論も同様と聞いています」


 単純な出力勝負であれば二機……それどころかもっと多くのグルムを動員して動力源とすれば良い。

 だが実際には三位一体で動くエネルギー生成システムを必要としている。


 つまりデリート・エフェクターを動かすにはアルゴンの存在が必要不可欠なのだ。


「我々はどう動きますか?」

「今こそ好機、と考えるべきだろうな」

「では遂に……!」

「あぁ、役者は揃った。赤い星の再生計画を始動させるとしよう」


 赤い星の再生計画(リンカーネーション)

 その計画には多くの人員が割かれ、ルブルム・テルース史上最大の事件を引き起こす事となる。


 中でも地球とルブルムを結んだ者達……リンカーの活躍は後世にも語り継がれるだろう。

 そんな未来を夢見るルナクスは拠点の屋上へと向かい、静かに星空を見上げた。


「実に良い夜だな」

「ですね」

「こんな良い夜は、何としても守ってやりたいものだ……」


 計画の始動を決意した以上、もはや手段を選り好み出来る段階にない。

 ルナクスと彼に従う者達(エクリプス)の目には硬い決意が宿った。






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