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赤い星のリンカーネーション  作者: 鳥皿鳥助
5章 巡る戦場
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第41話 整備士の叫び、施設の掌握






 マーグヌム・カストラはファントム・エクスによって無事に制圧された。


 入り口の前ではエアストから派遣されたメカニック達が集まり、損傷した機体の応急修理を行っていた。

 ESF専属のメカニック、タイトもその一人である。


「で、これはどういう状況だよ!!」

「「「ごめんなさい……」」」


 彼の前に並ぶパイロットの乗り込む機体達は、全てが当たり前のように正面装甲を土まみれにしている。

 ブースター周りやフレームにもダメージが入っているようだが、一番の問題は無茶をしたアルゴンだ。


 タイトが見られる範囲だけでも、エネルギー供給パーツの大半が焼き切れる寸前だったらしい。


「ライズリアライザーは無事だったみたいだから良いモンだが……」

『私の調整のおかげですね』

「オメェのおかげで全身のフォトンケーブルがボロボロなんだよ! 全身ッ!! 総交換!!! 面倒なんだよ? 意味が分かるか!?!?」


 フォトンケーブルを交換する為には、多くの場合でフレームもほとんど分解しなくてはならない。

 本当であれば買い替えた方が早い位……だが、ワンオフ機であるアルゴンはそうもいかず交換するしか無いのだ。


『それは、その……申し訳ありません』

「はぁ~……まぁ全壊じゃなけりゃまだ何とかなるから良いよ。でも次はもうちょっと手加減してくれよ?」

「『はーい』」


 タイトはそう言い残しその場を後にする。

 ジン達パイロットは、いつになく彼の存在に感謝した。






 ――――――――――――――――――――






 ジンはタイトと共に機体の修理、ユウトは一旦休憩をする為にログアウトした。

 クレナは一人ルナクスの元へ向かう。


「む、終わったか?」

「えぇ……たっぷり絞られて来たわ」


 ジンやユウトがマザーベースの撃破を行っている間、クレナとミドリは拠点機能を乗っ取っていた。


 現在はファントム・エクスを始めとした各ユニオンが内部を調査している。

 拠点内部のデータは取得済みだが、その情報の真偽は確かめなければならないからだ。


「ルフス・エフェクターとの接続も遮断されている。実に見事な手際だな」

『ふふーん! ま、この僕にかかればこんなモンよ!!』

「千景ならもっと上手いかつ素早く済ませそうだけどね」

『ちょっ、その比較は無しでしょ!!』

「ははは……」


 彼らがそうして話している間にも報告は上がってきている。

 やはりマザーベースは全十二種、それが二機ずつ作られていたようだ。


「最後に運び出されたマザーベースは“サジタリウス”“ピスケス”“リブラ”“ヴァルゴ”の四種一機ずつか」

「ジンとユウトが撃破したやつね」

「摘むべき強敵の芽は放たれてしまったが、四機減らせただけでも上々だろうな……」

「そうね」


 マザーベースは母機が潜伏し、子機達で護衛する形となる。

 一度散らばってしまえば発見は困難を極めるのが現状だ。


「それよりも、ここからルフス・エフェクターとの接続をやり直して制御を乗っ取れないの?」

「無理だな。その方法は過去に何度か試している」


 だがルフス・エフェクターは完全独立で稼働している。

 外部からのアクセスや指令は一切受け付けないそうだ。


「さて、我々もそろそろ向かうとしよう」

「私の機体は整備中だけど……」

「フェンサーがあるだろう?」

「あぁ、そういえばそうね」


 戦力としてはレジーナに一歩劣るが、施設を探索する程度であれば問題無い。

 クレナはエアストから機体を輸送して貰い、ルクシオンと共にマーグヌム・カストラへと侵入した。


「内部の調査は概ね終了したらしい。我々は工場見学にでも洒落込むとしよう」

「分かったわ」


 この拠点の主要機能はグルムの研究だが、CAの整備や拡張装備の生産拠点として活用出来るようだ。

 既に数人のリンカー(プレイヤー)が保管されていた資材や、機材の掌握に動いている。


「ここを利用出来れば我々は更に戦力を増強出来る、が……」


 ルナクスはコンソールを操作し、味方機との通信を開く。


「どうだ?」

『やはりここにはクァドラン粒子生成装置がありませんね。可能な限り調査はしてみたのですが……』

「分かった。調査隊は切り上げ、別働隊の施設の掌握を手伝ってやってくれ」

『了解しました』


 通信を終了させたルナクスは頭を回す。

 新型機の研究所を守る為に大量の戦力を投じる事は理解出来るが、クァドラン粒子が溜まりやすいこの地に生成装置が無かった事が気がかりだからだ。


「で、ここはカウス指定しないの?」


 クレナの提言には一理あり、戦闘の規模だけ見ればカウス級と呼んでも差し支えない。

 だが彼にはそれをしない理由がある。


「今回は単純に書類仕事が間に合わなかっただけだが……一旦保留にしておいても良いかもしれんな」

「どうして?」

「こことマーグヌム港のカウス5には共通点が無い」


 カウス周囲に渦巻く粒子雲を取り除く試みはこれまでに何度か行われてきたが、全て失敗している。

 なのにここはマザーベース四機の爆発だけで粒子雲が消失した。


「そういえば……今回はノーブル・ランクスも居なかったわね」


 ジェムズとESFが訪れヴァイカウントと遭遇する事はあったが、それも試験の一環であった事が記録から判明している。


 と言うよりも、ノーブル・ランクスはマーグヌム・カストラで設計と試験を終えて各地で生産され始めたと言うのが正しい。

 それもカウスがある地域でばかり。


「ノーブル・ランクスとクァドラン粒子生成装置の存在には関係性があるんじゃないか……とは思うが、どうにも確証が持てん」

「ふーん……」


 だが最も決定的な違いは拠点の役割である。


 今回攻略した拠点はあくまでもグルムの“研究・開発”がメインだったが、マーグヌム港では“クァドラン粒子生成装置を置いて粒子濃度を上げる事”が目的かのような雰囲気があった。


「ならグルムの生産拠点もあるのは、防衛力を高める為なのかもしれないわね」

「かもな。だがルフス・エフェクターは……奴はクァドラン粒子を利用して何をしようと言うのだ」


 その答えを知るのはルフス・エフェクター本人のみである。






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