一緒に恋をしてもいいですか?
わたしが恋する好きな人
クリスマスで口づけを交わし、正式に恋人になったわたしたち。わたしは、同時にその日二十歳を迎えた。彼との離れがたいキスと抱擁をしたあの日から、すでに年を越していて新しい年を迎えていた。
あの日の後、彼はわたしに教えてくれたことがあった。シフトが合わなくなったり、会話をする機会も減ってまるで避けていたかのように思っていたことの真実。
彼がファミレスに出戻りをしたのは、実は副店長として働くことを前提として言われていたらしく、卒業した後は上の立場になって、本当に教育係をするということ。その前にわたしの教育係をしたということみたいだった。そんなこともあってか、年が明けてからは忙しさからか一度も会うことがなかった。
それでも、ラインで頻繁に連絡は取りあっていて彼の忙しさを尊重しつつ、わたしの成人式の日に一緒に行くことを約束していた。
マキにはきちんと報告を済ませていて、クリスマスの日の事を伝えたらさすがに驚かれた。
「あんた、ホントにあのサーヤ? 大胆過ぎでしょ、それ……」
ずっとずっとキスはおろか、手を繋ぐことすらして来なかったこともあって、愛おしい気持ちと想いが誕生日とクリスマスの日という特別な日がわたし自身を開放させたんじゃないかな、なんて思うしかなかった。それくらい、大胆に行動してしまった。
成人式当日――
「おー、てか、着物じゃないんだな……」
「うん、わたし洋服派だし。着物が好きだった?」
「んーいや、どっちでもいい。美月が可愛いことに変わりはないし」
「ば、馬鹿じゃないの?」
「いや、マジマジ……嘘じゃないって!」
「……ありがと」
※
友達がいないこともあって、わたしはすぐに外へ出て来た。何よりも彼の傍にいたいからというのが正直な所だった。そのままゆっくりと歩きながら――
「美月ってマキさん以外に友達いないの?」
「う、うん……」
「まぁ、いいけど、でも前に比べたら話しやすくなったしそのうち出来るんじゃないかな」
「まぁ、そのうちね。それでも、わたしはあなたがいればいい」
ずっとずっと、恋に恋していたわたし。色々あったけど、成人の日に傍にいてくれる人がいるだなんて、去年は想像できなかったけど、恵と出会えて良かった。
「ふふっそういえばわたしとは最悪の出会いだったね」
「あーまぁね。自意識過剰すぎて作り笑いの女だろ?」
「わたし、あなたと出会えて好きになって良かった。これからも好きです。傍にいてください」
「俺も好きです。……紗綾、これからもよろしく!」
わたしと彼は指を絡ませ、恋人繋ぎをしながら一緒に歩き続けた―― 了
ショートショートなお話でしたが完結することが出来ました。
ありがとうございました。