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永遠対立関係  作者: P-Rin.
8章 神界
48/131

8-1 4年目

投稿時間が23時過ぎになってしまい、申し訳ございません。

 

  清々しい朝、ベティは家を出発してお金を地球の紙幣に両替した。両替が済むと、ベティはワープの扉を作る支度を始めた。


 「向こうも良い天気かな?」


  扉を呼び出す基本魔術を発動させると、少しずつ紫色の扉が空中に完成していく。

  ふとベティはアルルの言っていたことを思い出した。本当に婚約でもさせられたのか?チームメンバー全員を呼んで話したいこと。しかもとても真剣そうな顔だった。ベティはローブのポケットに入ってある一通の手紙にも目をやった。

  封筒には"親愛なる我が子孫へ"とあって、匿名ではあるものの雷神ニア・アケロイドからの手紙であるとすぐに分かった。手紙の内容は、"神々の国である神界へ来て欲しい"というものだった。だから素直に神界行きのワープの扉を作っているかというと、そういう訳でもない。


 「あれ、ベティじゃん。1人で日帰り旅行でも行くの?」


  偶然通りかかったツバサが声をかけた。ベティは首を振り、一言答えた。


 「今日、パパの命日なの。アースに皆のお墓があるから、これから行くところ」

 「なるほど」


  ツバサは少し暇そうに見えたが、気を使っているのかそのまま去ろうとした。ベティはあることを思いつきツバサを引き止めた。


 「ツバサも一緒に行く?……って言ってもお墓参りだから楽しいこと無いけど。でも、ツバサが来てくれた方がパパも喜ぶかも」

 「良いの?行って」

 「うん。全然構わないよ。それにね、もう一つ寄らなきゃいけない用事があって。ちょっと付き合ってくれたりしない?」

 「じゃあ行こうかな。ベティの一日ボディーガードとして」

 「へえ。……ボディーガードとして、ね」


  すまして言ったベティの言葉にツバサは自然とドキッとした。ちょうど扉が完成して、ベティは扉を開いた。




  アースは相変わらずサウナのように蒸し暑く、着いてすぐに2人はローブを脱いで腰に巻いた。この間来た場所とは正反対で、大きい山がそびえ、辺りは緑色だった。


 「この間よりはマシだけどやっぱり暑いな」

 「本当それ。あ、お花買わないと」


  しばらく歩くと小さな花屋がぽつんと立っていて、一対ください、とベティは言った。花を受け取り、それから少し坂道を上った。上りきった所に墓地があった。


 「ツバサはずっと別世界に住んでるんだっけ?」

 「そうだよ」

 「私は14歳までここで暮らしていたの」


  ベティは一つの墓石の前で立ち止まり、持っていた花を供えた。2人は墓の前で手を合わせた。


 「ここにはママのお墓もあるの」


  やるべき事が終わると、ベティは近くの草っ原で少し休もう、と提案した。2人が墓地から帰ろうとした時、墓地に入る階段を小さな女の子が走ってきた。


 「ちょっと!転ぶと結構痛いんだから!お墓でそんな走っちゃ駄目でしょ!ママのこと待って」


  折り畳んでいるベビーカーを片手に、黒い帽子を被った若い母親が通り過ぎていく。母親という存在に2人ともそれぞれ思うことがあった。その若い母親は子どもを捕まえると、ベティ達の方へ振り向いた。


 「……ベティ?ベティなの?」


  ベティは驚いて振り返った。ツバサはきょとんとしながら一部始終をうかがっていた。


 「え?……お姉ちゃん?」

 「4年?いや3年ぶりじゃない?」


  ベティの姉は子どもを連れて、2人の方へ向かって引き返してきた。ベティは姉と子どもを交互に見て、驚いた顔のまま言った。


 「子ども、居たんだね。結婚してたのは知ってたけど」

 「ええ。今、1歳なの。……そちらの方は?友達?」

 「あ、ああ……私の彼氏」

 「こんにちは」


  ツバサが軽く挨拶をすると、姉も会釈をした。ベティにあまり似ていないようにツバサは感じた。雰囲気や声も、あまり似た感じがない。


 「おばあちゃんは元気?」

 「うん。まだお店もやってるし」

 「そう。……そっちは特にあれから変わりないのね。こっちはもう色々あって大変だったんだから。でも今日は本当良い天気で良かったよ、暑苦しいぐらい」

 「ね、そうだよね」

 「もう帰り?」

 「うん、もう私は済んだから」

 「そう。じゃ、おばあちゃんにもよろしくね」


  姉は手を振ると、子どもと一緒に墓地へと入っていった。ツバサとベティは黙ったまま墓地を後にして、近くの草っ原に向かった。そこは草っ原というより、大きな公園の一部と行った感じだった。日陰の場所を探し、結局公園のベンチに座った。真昼の公園にはあまり人がいなかった。

  ベンチに腰かけると、ベティはローブのポケットからランチボックスと水筒を取り出した。ランチボックスの中にはサンドイッチが2つ入っていた。


 「おばあちゃんが作ってくれたの。本当は私だけの分だけど、仕方ないから1個あげる。飲み物は?」

 「飲み物は自分で持ってるから大丈夫。ありがとう。うわっ美味そー!ありがたくいただきます」


  ツバサはベティからサンドイッチを受け取った。2人は正面を向いたまま昼食を取った。不意にツバサが尋ねる。


 「お姉さんと何歳差?」

 「んーと……私が14の時19だから、5歳差かな」

 「じゃあ今は22か……子どもいるし何か年齢読めなかったわ」

 「それはあるかもね。まさかお姉ちゃんに子どもができてたなんて……」

 「初耳だったの?」

 「まあ。初耳でも全然おかしくないから。私、アースに住んでいる親戚達とも、お姉ちゃんとも本当は縁切ってるから……連絡なんて何も来ないから」

 「そ、そう、ワケありなんだな。俺どこまで突っ込んでいいか分からないから、変な反応しかできないけど」

 「まだ、誰にも話したことない。私がアースで暮らしていた頃の話。ツバサになら話しても良いよ」

 「話してくれるんなら俺は聞くけど」

 「……私に対する見方、変わったりしない?私のこと嫌いになったりしない?」

 「だって昔の話だろ。今は今、昔は昔って言葉があるじゃん。嫌いになったりなんかしないよ」


  そうだね、とベティはうなずくと膝の上に置いていたランチボックスや水筒をポケットにしまった。少し涼しい風が吹いた。


 「……私がパパとママを殺したの」


  ベティは落ち着いた声でそう言った。ツバサは少し表情が変わったが、前を向いたままで特に何も言ってこない。ベティはゆっくりと話し始めた。


 「パパが亡くなったのは、私が13歳の頃」


次回は明日22時過ぎ投稿予定です。

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