キャロリン達のサマーキャンプ・イン・亜空間 奈落編
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↑に登場人物の設定などがあります。
「キャアァァァ……あ?」
「お、落ちるのじゃあぁぁ……おろ?」
「落ちる事は落ちましたね……」
「なんだ、この落とし穴はよ!」
「バカにしてるのかあぁぁ!」
シリカ達とユノガンド達ですら気づかなかった落とし穴に全員がはまり、落ちた事は落ちたのだが、なんとこの落とし穴は深さが5cm程しかなかったのだ!
カーネリアとマリルルナはバカにされたとカンカンになって怒っている。
するとそこでセイネが何かを見つけたようで、アンジュラを呼び始めた。
「あ、あのアンジェ様、こ、これ……」
「……なに……ブフ!」
「アンジェ、どうしたのよ!?」
「おぬしが吹き出すとは珍しいの?」
シリカとユノガンドは驚きつつセイネとアンジェの元に行き、セイネが指差していた物を見る。
[奈落の底]
「「「ぬがあぁぁぁ!」」」
「「「ブフウゥゥゥ!」」」
落とし穴の底に書かれていた文字を見て、半分が怒り狂い、残りの半分が吹き出したのだった。
「こんな奈落の底があってたまるか!」
「……深さ5cmの奈落……プフ!」
「アンジェさん笑い事じゃないです!」
「ヒーヒー、笑った笑った!」
「やはりドライトはアホじゃのぅ!笑わしてくれるわ!」
「メルクルナもユノガンド様も笑ってないで、早く行きましょう」
「なんかドライトさんの手の平の上で、遊ばれてる気がするわ」
「旦那様も何を考えてこんな物を造ったのかしら?」
「ドライトさんの事ばかり考えていると禿げますよ?」
怒っていた者と笑っていた者が落ち着くと、オズオズとナタリーが発言する。
「あ、あの?これってトラップなんでわ?
足止めして時間を稼ぐ……」
「「「……あ!」」」
ナタリーの言葉を聞いて、シリカ達とユノガンド達は慌てて階段を駆け上がり、元の場所に戻るのだった。
「……ドア……開いてる」
「両方開いてるな……」
「と言うか、中で繋がってるのですわね?」
「どっち開けても良いのね……」
「それもトラップのひとつなんじゃろ……む!?奥から誰か来るぞ?
向こうに隠れるのじゃ!」
ユノガンドがいち早く気がつくと、横に有る扉の方に行く。
扉は完全に開いており、扉の内側には[勝手口]っと書かれていた。
「勝手口って、じゃあ向こうはなんなのよ……」
「玄関なんじゃない?」
「エルナルナ姉、メリルルナ姉、静かに!」
「中から何か……来る……!」
「な、何あれ!?」
龍達に神々とキャロリン達が勝手口のすみに隠れていると、玄関から現れたのは白い装甲服の某嵐なトルーパーのコスプレをしたドライト軍団だった!
「間違いないんですかね?」
「奈落トラップの起動が確認されているそうです」
「侵入者ですか?」
「何にしろ調べれば分かりますよ!」
数人のトルーパーなドライト軍団が階段の方に向かって歩いて行く。
シリカ達は息を殺してそれを見守るのだった……
「……あの?シリカ様?」
「シィ!キャロちゃん静かにしてて!」
「いえ、でも……」
「あれは偵察隊よ、ここでやり過ごさなきゃなの?
お願いだから静かにしててね?」
「で、でも、今なら中に入れるんじゃないですか?」
「……へ?」
言われてシリカは扉の方を見る。
扉は開きっぱなしで、警備なども居ないようだ。
シリカはユノガンドやエルナルナ達にサルファ達と顔をみあわせ、お互いにうなずくと素早く扉を潜るのだった!
「潜入成功ね!」
「ここにドライトさんの秘密がつまってるのね?」
「あの駄龍の弱点見つけちゃる!」
「ふん!大した事ないセキュリティーだったわね!」
「フハハハハ!禿だ!新たな禿の元を探すのだ!」
「何にしろ色々調べるのじゃ!
シリカよ、何処から手をつけるかの?……シリカよ、返事をせぬか?あれ!?」
ユノガンドがシリカに語りかけるが返事がない、変に思い後ろに着いてきてるはずのシリカ達とキャロリン達の姿を見ようと振り替えると……誰も居なかった!
「上手く撒いたわね!」
「流石はシリカ姉様ですわ!
こんなにもあっさりとユノガンド様達を撒くなんて!」
「入ったら即、逆方向に走れって言われた時はどうなる事かと思ったけど、こんなに上手くいくなんてな!」
「……流石は……第一夫人!」
ご機嫌なシリカ達の後ろにはキャロリン達が良いのかな?っと言う顔をしながら、シリカ達を追って走っていた。
「い、良いのかな?」
「キャロ様、ユノガンド様達について行っても破滅する未来しかありませんよ?」
「まぁ、そうですよね。
中に入るなりあんなに騒ぎだしましたから、今頃ドライト様に見つかってるんじゃないですかね?」
「ナタリーちゃんとレイナちゃんの言う通りですわ、私達はサルファ様達に着いていけば良いのですわ!」
「でもさ、なんで鋭いドライト様がまだ気がつかないんだろうね?」
「あれ?アレナムは聞いてないの?
バレそうな時はステラ様とルチル様がわがまま言ったりして、誤魔化してるだって!」
その言葉を聞いてキャロリンとナタリーは納得する、これだけ騒いでればドライト軍団が押し寄せるはずなのに、来ないのは変だと思っていたからだ。
「何にしろドライト様に……あれ?行き止まり?」
キャロリンがドライトにバレる前に色々調べようと、言おうとしたところで行き止まりになってしまった。
「いや、違うみたいね。
シリカ様、そこに先程もあった魔導具のような物が有りますよ?」
レイナが指差す先には先程も有ったキーボードと画面があった。
「いちいち、面倒ね……」
シリカがそう言いながらアクセスコードを打ち込むと、壁が左右に別れ開いた。
そしてシリカ達が入り、続けてキャロリン達が入る、そして中を見て驚愕するのだった!
「な、なんですか、これ……!?」
「ドックね、造船所よ」
「ぞ、造船所!?
シリカ様、私の知ってる造船所とは全然違うのですが?」
「アレナム、これは宇宙船用のだと思うわ」
「シリカ様、宇宙とは以前教えてもらった空の上に有る世界の事ですか?」
「い、いやアレナム、それよりもこの数の方が問題だよ?」
そこには数えるのが嫌になるほどの造船用ドックが並んでいた。
「セイネちゃん、向こうが霞んでますわね?
逆を向くと……こちらも霞んでますわ!アハハハ!」
「リ、リティア!しっかりなさいな!
心を強く持つのですわ!」
「と、とにかくすごい数ですね……」
「……あ!シリカ様、何か来ます!」
ナタリーが指差す方を皆が見ると、1体のロボットが3本の足を動かしてシリカ達の元にやって来た。
「初めまして皆様、見学の方々ですか?
予定に有りませんが、アクセスコードをお持ちですか?」
「……何、あなた?」
「これは失礼しました。
私の名前はドライデカ7830、警備殲滅用ドロ、ロボットです」
「へぇ……殲滅?」
「はい、警備して侵入者を見つけたら殲滅する、それが私の仕事です。
それで、アクセスコードは……?」
3本足で丸っこい体の、某デストロイヤードロイドにそっくりなロボットはそう言うと、たたんでいた腕を伸ばしてシリカ達に突きつけた。
「あ!?なんだやる気か!」
カーネリアがそう言って前に出ようとするが……
[ゴロゴロゴロゴロ!]
「……リア姉……囲まれた」
丸くなって転がって来たドロイデ、ドライデカに囲まれてしまったのだった!
「アクセスコードはヤンバル!ヤンバル!よ!」
レイナ達にも腕を突きつける姿を見て、シリカは慌ててアクセスコードを叫んだのだった。
「確認しました。
ご本人ではないようですが、最上級アクセスコードの1つですね。
案内と護衛は必要ですか?」
「いえ、いいわ。
それよりもいちいちアクセスコードを言ったりするのが面倒なんだけど?
あと地図とか有ったら欲しいわ」
シリカがそう言うと、ドライデカ7830が胸の中からカードの様な物を取り出す。
それを1枚づつ、シリカ達とキャロリン達に渡していくと説明し始めた。
「これは入場者証です、扉などでかざすと入場可能な場所なら扉が開きます。
それと地図ですが、申し訳ありませんがお渡しする事は出来ません」
「最上級なのにダメなのか?」
地図を渡せないと聞いてカーネリアは不機嫌になる、ドライデカ7830すまなそうに言った。
「申し訳ありません、防犯上と言う理由もあるんですが、広大すぎて渡してもあまり意味がないのですよ。
なので道に迷った時などは各ドアや通路の所々なあるアクセス端末で調べてください。
なにか困った事が有りましたら私、ドライデカ7830、覚え方は[悩み無し]に連絡してください、それでわ!」
ドライデカ7830はそう言うと、丸くなって鼻歌を歌いながらゴロゴロと転がって行ってしまった。
「ロボットのクセに暢気なものね……」
「それよりもシリカ姉様、このアクセス端末で色々分かりましたわ」
「本当?どれどれ……ってなにこれ!?」
「シリカ姉、どうしたんだよ?」
「……何か……面白いこと有った?」
「これ見てみなさいな」
そう言ってシリカが指差した所に書かれていたのは、この造船所の恐ろしい秘密だった!
「まったく、セレナお義母様に知られたらまたお仕置きよ?」
「妹さん達のための宇宙戦艦建造ドックですか……」
「ダーリンはその愛情やら情熱を、俺達にも向けるべきだよな?」
「……リア姉に……大賛成!」
シリカ達はドライトに文句を言いながら呆れていたが、キャロリン達は真っ青になりながら説明文を読んでいた。
この造船所は月に2000メートル級の宇宙戦艦が、100万隻も建造できる造船所兼工廠兼要塞だったのだ!
で、その利用目的はステラとルチルの遊びのためだった。
以前にドライトさんの秘密の小部屋に行った時に、ステラとルチルが遊んでいたのはリアルタイムストラテジーのシミュレーションゲームだった。
幾つかの勢力に別れて内政をしながら惑星を開拓し、宇宙要塞を建設して強力な宇宙艦隊を編成する、そして敵対勢力の星や要塞を攻略したり、艦隊決戦を挑むと言うドライトが作ったゲームだった。
ステラとルチルはドップリとハマってしまい、かなりやり込んだのだが、やはりゲームはゲームで戦闘シーン、特に艦隊決戦のリアル感に欠けるとドライトに言ったのだ。
そこでドライトは妹達のために実物を造ってしまったのだ!
別の世界の宇宙戦争が行われている世界や、文明が進み宇宙進出が進んでいる世界などを管理している原始の神などに許可を取って複製してしまい、そこをバトルフィールドとして使ったまさしくリアルなゲームとして創ってしまったのだった!
そしてステラとルチルは大喜びの大興奮でゲームに参加しているのであった。
「ド、ドライト様は世界を数百も創ってしまわれたのですか?」
「ん?ああ、キャロちゃんちょっと違うのよ。
ドライトがしたのは複製、コピーしたのね」
「コピー……ですか?」
「そう、本当にただのコピーよ?
しかもどの世界にも生命は一切居ないわね、活動してるのは魂を持たないロボットのみ。
そのロボットが、元の世界の生命の動きをトレースして動いてるだけね」
「そ、それはそれで凄まじい気が……」
「ナタリーちゃん、ドライト様には大した事じゃないのかな?」
「セイネ……これには何か、秘密がある……」
「アンジェの言う通りですわね、これだけの世界を造って維持するのは、旦那様なら造作もない事ですわ、ただ……」
「サルファ様、ただ、なんなのですか」
「セレナ様達にバレない様に維持管理するのは無理、ですわ」
「「「あ~……」」」
どうやらドライトは何かの工作をして、セレナにディアン、さらには祖父祖母の龍神達にすら気づかれずに維持管理していたようだった。
「どっかに秘密が載ってねぇかなぁ……」
「バカね、ドライトがわざわざ載せてるわけな「……そこ!」うわ!?」
「な、なんだよいきなり、アンジェ!?」
「……リア姉、シリカ姉様……そこ……よく見せて?」
「へ?」
アンジュラはカーネリアの返事を待たずに、シリカとカーネリアを押し退けてアクセス端末の前に行き、何かを確認している。
何をしているのかカーネリアが聞いても返事もせずに端末を操作し続け、そして何かを見つける度に小さくうなずいていたが、作業が終わったようで顔を上げて皆を見回して言うのだった。
「……セレナ様達にバレない……理由が解った」
「え!?」
「うそ!先程見ていた情報で何かを掴んだんですの!?」
「マ、マジかよ!?」
シリカ達は驚愕してアンジュラを見つめると、アンジュラがユックリとした口調で説明した内容に、シリカ達とキャロリン達はさらに驚くのだった。
そしてその内容と言うと……
「グルメ同盟か……また懐かしい名前が出たわね……あれ?解散してなかったかしら?」
「シリカ姉様、解散するとは1度も言ってませんでしたから、解散はしてないのではないのですか?」
「……ああ!アレクスにユノガンド様が来た時に、スゲー下らない理由でユノガンド様達と揉めた連中か!」
「……グルメは……重大な理由!」
シリカ達とキャロリン達は納得しているが、ナタリーだけがグルメ同盟?っと訳が分からない様だったので、キャロリン達が説明する。
グルメ同盟――ドライトが発起人になりガンジス、モリオン、リヴァイアサンが最初期メンバーとして名を連ねる、美食を追求する集団――などではなく、ユノガンドや一部の原始の神と龍神達に美味しい物や珍しい物を隠されていた事に対して怒り、カチコミをかけたり嫌がらせをしようと結成された面白集団だった。
そしてそんなグルメ同盟の仲間内で良い場所を見つけて、コピーした世界を管理システムや他の原始の神に龍神達の力で隠していたために、セレナ達も気づかなかったのだ!
「なんでダーリンが絡むと皆アホになるんだろうな?」
「リア、その言い方だと私達までアホと言う事になりますわ」
「……こんなに面白そうな事を……黙ってたなんて……許さない!」
「いや、アンジェあなた[ビィー!ビィー!ビィー!]な、なに!?」
突然の警報にシリカ達は驚き戸惑う、すると先程去ったドライデカ7830が多数の同型と人形の銃を持ったロボットと走り込んで来て、シリカ達とキャロリン達を包囲したのだった!
お読みいただきありがとうございました。
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