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転生龍の諸国漫遊記!  作者: バリ君
学園都市編
83/174

ドライトさんのドキドキ授業! 3時間目

http://ncode.syosetu.com/n9831dr/

↑に登場人物の設定などがあります。

ふははは!我、ここに復活せり!


【ドライト様が復活したと言うか、貯金残高が復活したんですよね】


何にしろ目出度い!見ろ!この財宝の輝きを!


【防犯システムの変更もしましたし、もう取られる心配はありませんね】


ふははは!何にしろこのチャンスにガッポリ稼ぐのだ!


【じゃあ宝物庫のチェックをしますか?】


ああ、今度は生体認証だからな、そう簡単には開けられないから安心だあぁぁぁ!?




「あら、ドライト、遅かったわね?

シリカちゃん達も向こうに居るわよ?」


「か、母様!?どうやって宝物庫に入ったのですか!

あの指紋認証を突破したと言うのですか!?」


ドライトが開けた亜空間の宝物庫には、すでにセレナとステラとルチルにシリカ達が居た。


ディアンと龍神達も居て、すまなそうにドライトを見ながら宝物を漁っている。


「生体認証?あの変な手を置く魔道具のこと?

手を置いたら普通に開いたわよ?」


「な!?登録してあるのは私だけのはずなのに何故!?」


【あ、私がご家族を登録しておきましたよ?

なんて気が利く龍珠なんでしょうか、私は!】


「こんちくしょおぉぉぉ!」




「等と言うことが有ったので、私のテンションは爆上げ状態です!

ヒャッホオォォォ!」


「は、はぁ……」


「ドライト様、お可哀想です……」


「とうとう発狂しちゃったんですね……」


「セイネ、失礼すぎるわよ」


「あああ、あんなに……踊ってますわね?」


「テンション上がると踊るって、おかしくないですか?

……あれ?ある意味おかしくないですね?」


キャロリン達は何とも言えない顔でドライトを眺めていたが、シリカ達がホクホク顔でやって来ると思い出したように言った。


「あらあなた、こんな所に居たのね?」


「ちょうど良いですわ、旦那様に聞きたい事があったのですよ」


「この間討伐したダンジョンに、結局ダーリンは何人入り込んだんだ?」


「……夫……キリキリ……吐け!」


「なんでアンジェ姉さんはそんなに怒ってるんですか……」


「ドライト、アンジェはあなたが何体入り込んだのか気になって仕方なかったのよ」


「今朝は嬉しそうに宝物庫を漁っていたじゃないですか!」


「……それとこれとは……別!」


「理不尽です!」


ドライトとシリカ達が揉めていると、セレナとディアンがステラとルチルを抱っこしてやって来た。


「ドライト、あなたステラとルチルにも何体入り込んだのか教えてないらしいわね?

何体入り込んだのか言いなさいな」


「い、いえ実はドライト軍団全軍、1000万を動員したんですが、ミッチリ詰まるには足りなかったんですよ……」


ドライトそう言うと悲しそうにうつむいた。


「そうなの……じゃあ、この数字は何なのかしら?」


セレナがそう言って何かの書類を取り出すと共に、ドライトは消え去った!


が、待ち構えていたディアンに捕まったのだった。


「と、父様!?

は、放してください!私はこれから分身体を増やす作業が!」


「いや、その事で怒られるのにさらに増やそうとするな!」


普段は子供達に甘いディアンもドライトを叱る、するとドライトは目をウルウルさせながらディアンに言う。


「父様!私は宝物庫を荒らされました、それだけでなく分身体もたった1億体にしただけで怒られるなんて理不尽です!」


「「増やしすぎ(よ)だ!」」


ディアンとセレナに叱られ、ドライトはジタバタ逃げ出そうとするのだった。


そしてそれを見ていたシリカ達は、


「ようするに、また勝手に増やしてバレたら不味いから誤魔化そうとしたのね」


「なら、最初から数の攻略なんかしなければ良いのですわ」


「夢中になっちゃって、忘れたんだろうな」


「……やっぱり何体か……もらいたい!」


などと言うのだった。




「「にーちゃ、それでなんたいでいっぱいになったの?」」


[パシン!パシン!]


「し、尻があぁぁぁああ、それならですね?

1500万まではドライト大将達が数えてたんですが、ドライト大将達もドライト軍団の波に飲み込まれてしまって、数え切れなかったん[バシーン!]あんぎゃあぁぁ!?」


「まったく!痛いふりして誤魔化そうなんて悪い子ね!」


セレナがかなりの勢いで尻を叩くとドライトはセレナの腕から飛び出して転げ回る。


結局お仕置きが終わったのは1時間程経ってからだった。


「えらい目に遭いましたよ……あれ?

キャロ達が居ませんよ?」


「キャロちゃん達なら、今日はもう特別授業は無理だろうって、普通の授業を受けに行ったわよ?」


「ありゃ、今日は魔法と魔術について授業しようかと思ったんですが……次のきか「今日になさい!」サルファ姉!?」


「リティアがまだかまだかと待ってたのよ!

さぁ、私が呼んできますから魔法と魔術の授業ですわ!」


サルファはそう言うと、リティア達を呼びに走り去るのだった。




そしてーーー




「ドライト様はいらっしゃりませんね?」


「サルファ様、魔法と魔術の授業を教えてくれると言う話じゃないのですか?」


「おかしいですわね?

シリカ姉様、旦那様は何処に行ったのですか?」


リティアやキャロリン達に生徒達を大講堂に呼んできたサルファだが、肝心のドライトが居なくなっていた。


シリカ達だけでなく、セレナ達も見張っていたはずなので、逃がすはずがないと思いサルファが聞くと、目を細目て一点を見つめながらシリカが言う。


「あそこに居るはずよ?」


そう言いながらシリカが指差した場所をサルファやキャロリン達も見るが誰も居ない。


サルファはいぶしがりながらシリカを見ると、シリカがリンゴを指差した場所に放り投げた。


「がぁ!」[バクン!]


シリカが指差した場所にリンゴが飛んでいくと、ドライトの鳴き声と共にリンゴが消えた!


「シャクシャク、食べ頃です!美味しいですよ!」


「へ?」


「ドライト様?」


キャロリン達は驚いているがサルファは目を細目、何かを探すように見つめるとアンジュラに話しかけた。


「アンジェ、手を貸しなさいな」


そう言ってサルファはアンジュラに手を差し出す、アンジュラはその手を握ると2人して目を細目ながら見つめる、そして何かを見つけたアンジュラはリンゴを投げつけた!


「がああ![バクン!]

シャクシャク……スッパ美味い!ってこれはアップルパイ用の紅玉じゃないですか!?」


紅玉のスッパ美味さにドライトが驚いていると、尻尾と足に何かがつかまった。




「……捕まえた……捕まえた!」


「「にーちゃ、はっけん!」」


「があ!?ちょ、自分で出ますから!離すのですよ!」


何かを言い争う声と共に、アンジュラとステラとルチルが現れる、3人は誰かの下半身にしがみつき引っ張っているようだった。


「や、止めてください!袴が、袴が脱げます!ああ!?」


そしてアンジュラ達が引っ張りだしたのは、何故か紋付き袴を着たドライトだった!


そして、アンジュラ達に袴を引っ張られて脱げてしまった!


「は、袴が~!見ないで!私のフンドシを見ないで!」


ドライトそう言いながら顔を手で覆い、走り出そうとしてサルファに捕まった。


「旦那様?面白い冗談ですわね?」


「こ、怖いですよ!?

ちゃんと授業を始めますから許してください!」


「最初から真面目にやりなさいな!」




「と、言う訳で魔法と魔術の授業です。

ちょっと見ててくださいね?

サルファ姉は一緒に来てください」


そうドライトは言うと、パタパタとアンジュラ達に引きずり出された方に飛んでいく、そしてその姿は消えてしまうのだった!


「サルファ姉も早く来るのですよ!」


呼ばれたサルファもドライトが消えた方に歩いていくとその姿がかき消える!


「サルファ様まで消えたわ!」


「魔術陣……かしら?」


「リティアちゃんの魔眼でも見抜けないの?」


「……サルファ様はうっすらと見えますわね、ドライト様は全く見えませんわ」


リティアがそう言うとキャロリン達や学園長達は、目を細めたり何かの呪文を唱えてリティアの指差す方を見る、そして「サルファ様はうっすらと見えるわ」「気配は感じるんだけど……」等と話し合っている。


「旦那様、そろそろ良いのではないですか?」


「そうですね、魔術陣と魔法を切りますか」


ドライトがそう言うと共にサルファとドライトが現れる、だが現れたドライトは何故か具足を装備していた。


「「「………………」」」


皆が呆れてドライトを見ると、サルファもその視線に気がつきドライトを見る、そしてその姿を見てプルプルと震えながら質問するのだった。


「旦那様、なんで完全武装なんですか?」


「紋付き袴だと、袴を奪われてフンドシ姿を見られました!

この具足ならそう簡単に見られませんよ!」


ドライトはそう言ってふんぞり返るが、サルファを見て慌てて逃げ出した。


「何故かサルファ姉が完全に怒ってます!

怖いのですよ!?」


だが、兜に飾られた立物の、威嚇するヤンバルクイナを掴まれてあっさり捕まる。


「真面目にやらないなら、その具足を壊しますわ!」


「あわわわ!

これは、ヤンバルもお気に入りなのです!止めてください!」


ドライトは慌てて兜を脱ぐと、大事そうに自分の亜空間に仕舞う、そしてキャロリン達に向き合うと真面目に話始めた。




「ええっと、今回は魔法と魔術の授業です、先程私が消えていたのは魔術陣と魔法を使ってですね。

サルファ姉さんは魔法を使わないで魔術陣だけで消えていました。

だからリティアの魔眼や学園長さんの魔法で見破られたのですよ」


ドライトがそう言うと、セイネが不思議そうに聞いてきた。


「ドライト様、私も見破ったんじゃないんですか?」


「ああ、セイネは見たと言うより感じたのでしょう?

今回は気配や存在を感じるのではなく、あくまで姿を見れるかどうかなのです」


ドライトにそう言われてもセイネは意味が分からずに首をかしげる、それを見たドライトがセイネとレイナを見ながら言う。


「ふむ、言うより見せた方が早いですね、セイネ、それにレイナもよく見てるのですよ?

キャロやナタリーも前衛で戦う機会が多いですから、しっかり見るのです!」


ドライトがそう言うと……全然変化がなかった、姿が消えたわけでも変化したわけでもない、だが見ていたシリカ達にキャロリン達は驚愕して目を見開いてる。


セレナにディアンなどのドライト一家も龍神達も含めて驚き唸っている。


「ふふふ……どうしたのですか?

私は魔法も魔術使わずに飛んでるだけですよ?」


ドライトはそう言って周りを見回す。


「え?え?え?ドライト様はそこに居ますよね?

え?居ない?あれ?でも姿は見えるし?」


「キャロ様もですか?

私もドライト様が見えますが居ない気がするんですよ!」


「おおお?どう言うこと?リティア、ドライト様は魔法か何か使ってるんじゃ?」


「……いえ、使ってませんわ。

でも、そこに居る気が一切しませんわね?」


「どう言うことですか?

見えるのに居ない気がする、確かに見えてますが少しでも気を緩めれば、ドライト様を見失う自信が有ります!」


「……気配、だけでなく存在感も消してる?

でも、それだけでこんな感じになるの?ってかなんか気持ち悪い」




「セイネさんが正解ね、旦那様、種明かししてくださいませ」


「魔法や魔術は姿を消します、しかし隠蔽や魔力コントロールは気配や存在感を消すのです。

だから、見えてはいるんですが居ると思えないのです、セイネは特に気配の察知が得意なので見えているのに気配を感じないと言う、相反する状態になって気持ち悪くなっちゃったんですね」


そう言うと、ドライトはセイネにリンゴを渡す。


「悪阻には酸っぱい物をどうぞ!」


「妊娠なんかしてません!」


「何にしろ今回は魔法のコントロール方法や、魔術陣の構成方法を解説していきますよ!」


ドライトがそう言うと学園長とマサミがホワイトボードを持ってくる、こうしてドライトによる魔法と魔術の授業が始まったのだった。




「うーん……」


「リティアさん、どうしたのですか?楽しみしていた授業ですよ?」


「サルファ様……凄いことは凄いですし、興味深いのですが……

もっと魔導の深淵に迫れるものかと思っていたので……」


「なるほど……旦那様、もっと凄い事を解説してください!」


サルファはリティアの願いを聞き、ドライトをにらんで脅す。


「ふぁ!?

使い方や力のコントロールじゃダメなんですか!?」


「リティアさんには物足りないのですわ!

さあ!早くなさいな!」


「い、いや、リティアのためだけに授業しているわけでは……ああ!?すぐに始めますよ!」


ドライトが断ろうとするとサルファが手にした物をドライトに見せつける、それはドライトが先程まで着けていた、威嚇するヤンバルクイナが飾り付けられた兜だった。


「そ、それではリティアさんの希望とサルファ姉の脅迫に屈して、授業内容を変更します!」


ドライトは慌てて兜を再度亜空間に仕舞う、それを見てサルファは驚きながら手を見ると、兜は消え失せてドライト大将が座りこんでいた!


「……良いものが手に入りましたわ!」


「身代わりがサルファ姉の気を引いてる間に講義を続けます。

魔導の深淵についてですが、皆さんは魔導とは何だと思いますか?」


ドライトに言われてキャロリン達や他の生徒達に教師達も顔を見合わせる。


「えっと、魔導とは……あれ?」


「キャロさん、あなたは私達のパーティーのリーダーで私の次に魔法と魔術を理解してるのですから、悩まないでくださいませ……」


リティアはそう言うが逆に言い返される。


「リティアちゃん、ならリティアちゃんの答えはなんなの?」


「魔導の深淵とは当然、魔法と魔術の融合の産物、魔導具ですわ!」


リティアがそう言うとドライトがリティアを手招きする、そして近づいて来ると1つの魔導具を取り出して言うのだった。




「リティア、ではリティアはこれが魔導の深淵だと言うのですね?」


「……え?」


ドライトが取り出したのは光るだけの魔導具だった。

スイッチの様な部分に体の一部を触れさせると、その人物の魔力を吸いとり、1時間程光るだけの単純な魔導具だ。


価格は銅貨で100枚もしない物で機能はほとんど無い。

それこそ吸いとった魔力が切れるまで光るだけで、消すことも出来ない最も単純で安い魔導具だった。


「こ、これ……は、ですね……」


「何を悩んでるんですか?これも魔導具ですよ?

なら、これも魔導の深淵の1つと言えますよね?」


「え?で、でもこれは……」


ドライトは光る魔導具を手にリティアに迫る、リティアは困り思わずサルファを見る、サルファは祈るように手を組み合わせリティアを見つめている。


何とか逃げようとジタバタ暴れているドライト大将をしっかり抱いたまま……


それを見たリティアは決意したようにドライトに向き直り、ハッキリと言ったのだった。




「ドライト様、この魔導具は……この魔導具は魔導の深淵だと、私は思いますわ!」


その言葉を聞いたドライトは1度目をつぶり、ユックリと開くとリティアに言うのだった!


「……流石はリティアです、素晴らしいですよ!

そうです、この最も単純な魔導具こそが魔導の深淵の結晶とも言えるのです!」


ドライトかそう言うと、生徒達だけでなく教師のほとんども驚きの声をあげる。


周りの反応を代弁するように学園長のクリスティーナが、何かを考えながら質問してくる。


「ドライト様、よろしければ愚かな私達にも分かる様にご説明してくれないでしょうか?」


「クリスティーナさんも分かってましたか、流石ですし良い教師ですね……

では皆さん、皆さんがここに来た時の事を思い出してみてください?」


ドライトがそう言うと、リティアが「あ!」っと小さく声を出す。


「リティアは気がつきましたか?

クリスティーナさんやマサミさんも気がついたようですね……ではリティア、答えるのです」


「ドライト様は、魔術で姿を消してました。

これは魔導具の理論と一緒です、つまり魔力を魔術陣に流して魔法と同じ現象を引き起こしてました!」


「そうですね」


ドライトが肯定したのでリティアは満面の笑みを浮かべ、キャロリン達も「流石はリティアちゃん!」等と言って誉めているがドライトが言った次の言葉に凍りついた。


「正解ですが、魔導の深淵とは程遠いです」


ドライトの言葉に周りは凍りつき驚くが、サルファが怒りながら言う。


「旦那様!あなたは先程、この魔導具は深淵だと言い、今度は違うと言うのは理不尽ですわ!」




「サルファ姉、あなたまでそう言うなら、魔導の深淵を見せてあげましょう……あ、それで納得したら大将は放してくださいね?」


ドライトがそう言うと、自分の回りに光輝く10センチ程の珠を6個、作り出した。


「どうです?リティアにも同じものが作れますか?」


それは生活魔法の【ライト】と同じように見えた、リティアはバカにされてるのかと思いながらも無詠唱で6個のライトを作り出す。


それを見てドライトはニヤニヤ笑いながら言った。


「リティア?私は同じものをと言ったはずですが?」


その言葉にリティアは眉をひそめ、サルファは怒って唸り始める。


「クルルル……旦那様とはいえ、リティアをバカにしたら許しませんわ!」


「では、これでどうですか?」


ドライトがそう言うと共にドライトの周りに浮いていた珠の輝きが増す。

珠のあまりの明るさに直視出来ないほどに珠は輝いているのを皆が驚き見ていると、さらにドライトが「これなら?」と言うと今度は輝きが失われる。


そこにあるのはうっすらと光る珠だったが、よく見ると表面には何かの紋様が書かれており、その線に沿って光が走っていた。


「どうですか?ただ光るだけのリティアのものと、私が魔導の秘技の一端足る技術を使ったものと、同じですか?」




リティアは必死に目を凝らしてじっと見つめている、その表情からもこの珠がただのライトの魔法でも、光る魔導具でもない事が周囲に伝わり、正体を確かめようと皆が見つめるのだった。


「マサミ、少しでも多く書き残すのですよ!」


「はい、学園長!ドライト様の魔術陣をこの目で見れるチャンスなんて、なかなか無いですからね!」


「それだけじゃないわ!ドライト様はこれが魔導の秘技の一端とおっしゃったのです、ほんの少しでも解析できればどれだけ人々の役に立つか!」


クリスティーナとマサミは興奮しながらも、必死に紙に紋様を書き写している。


その言葉にリティアもハッとして、自身の亜空間から紙とペンを取り出すと必死に書き始める。


「おや?書き残すのですか?

なら、こんなに小さかったら書きにくいでしょう、これでどうですか?」


ドライトがそう言うと珠は1メートルほどに大きくなり、どの様な構造でどんな魔術陣なのかがよく解るようになった。


「な、何これ!?多層構造になってて、紋様だと思ってたのも複数の魔術陣がからんでたの!?」


「マ、マサミ、落ち着くのよ!

とにかく今は丸写しして……んん!?」


「何これ……何なのですかこれは!?」


「リティアさん!落ち着いてあなたの魔眼で解析しなさい!

この珠がどの様な物質なのか、解析するのです!」


ただの珠だと思っていたものが恐ろしく複雑で難解なものだったと気がついた3人は呆然としたが、クリスティーナは何かに気がついたのかリティアにどんな物質で出来ているのか魔眼で解析しろと言い出した。


その言葉にリティアは慌てて視始めると……


「ウ、ウソでしょ……こんなのありえませんわ!?」




「リティアさん、どうしたのですか?

解析結果を教えて!」


「が、学園長、マサミ先生、これは……魔素です!

物質ではなく、純粋な魔素だけで作られたものなのです!」


「う、うそ?つまりドライト様は魔素であんなものを作ったというの!?」


「で、でも、本当なんです!」


「リティアさん、落ち着いて。

マサミも信じてない訳じゃないのよ?」


「魔素を安定させて、固定させるなんて……どうやればいいのよ!?」


「マサミも落ち着いて!

ドライト様がその方法を教えてくれるはずです!」


クリスティーナがそう言うと、マサミとリティアだけでなく、キャロリン達も期待した眼差しをドライトに向けるが……


「サルファ姉、納得したならドライト大将を放すのですよ!」


「嫌ですわ、凄いことは凄いですけども、ただの光る珠ではないですか!」


「総統閣下!早く逃げたい気持ちと、なでられるのが気持ちが良くって放れたくない気持ちとがせめぎあってます!」


「返すのです!ドライト大将を返すのですよ!」


「ちょっとドライト!?サルファにだけ分身体をあげるだなんて、差別よ!」


「そうだぜ!ってか、サルファ姉 もドライト大将を少しは貸してくれよ!」


「……私も……抱っこして、舐め回したい!」


「サルファ姉、アンジェ姉さんにだけは大将を渡さないでください!」


全然関係ない事で揉めていた!




「ど、どうしましょう?」


「ちょっと今は無理そうですね……」


「なんとかなりませんの!?」


学園長やマサミにリティアは、直ぐにでも聞きたいが言い争いの中に入れずに、困り果てていた。


するとステラとルチルがやって来た。


「「ねえちゃたち、これみる!」」


ステラとルチルが持ってきたのはドライトがキャロリン達や学園長達に渡している、ドライトの7冊の本、別名【神にな~る】であった。


「神にな~る……」


「メリルルナ様が禁書にしてなかったっけ?」


「そうだよね?そのあとドライト様に追いかけ回されてたけど」


「アレナム様、あれはドライト様の著書を勝手に禁書にしたメリルルナ様に問題が……」


「いや、セレナ様も言ってたじゃない?

誰でも神になれるような本をホイホイ渡すなって」


「そう言われると……」


「そんなことよりも、この本を見たからと言って、ドライト様と同じことが出来るとは思えませんわ」


「そうですよね……武術を極めように載ってる技とかも、無理です!っと、思わず叫んだものも有りましたし」


「「だいじょぶ!ねえちゃたちならそのうちできるようになる!」」


「ステラ様、ルチル様……信じていただいて嬉しいですが、私も自信が有りません……」


キャロリン達がそう言い、すまなそうに頭を下げたがステラとルチルは首を横に振りながら言う。


「ううん、ちがうよ!」


「このごほんをよんでれば!」


「「にーちゃたちのちからで、かみになる!かってに!!」」


ステラとルチルの言葉にキャロリン達や学園長達も「へ?」っと、意味がわからないという顔をする。


それまで黙って聞いていたセレナが身を動かす。


それと同時にドライトとシリカ達が逃げようとして、レムリア達に捕まっている。




「ステラ、ルチル、皆にも分かるように念話でどう言うことか教えてちょうだい?」


『『はい、お母様』』


『お兄様達はキャロ姉さん達に何か有ったらと考えていました』


『お兄様とシリカお姉様達の祝福は強力ですが、万が一の事も考えないといけないとの事で』


『お兄様のご本に改良をほどこして、お兄様が直接渡した人達には』


『読めば読むほど、理解すれば理解するほどに、お兄様達から力が送られて』


『数年で神に勝手になると言う、素晴らしい機能をつけたのです!』


『『これでキャロ姉さん達やお気に入りの人達は素早く神になり、自分を自分で守ることが出来るのです!

お母様、流石はお兄様ですよね?』』


「なるほど、だからシリカちゃん達も自分の祝福者達に読め読めって進めてたのね……」


セレナは満面の笑みを浮かべているが、凄いオーラ出しているのでかなり怒っているようだった。


そんな母を見ていたステラとルチルは、何かを思い出したように話し合う。


『……あれ?ねえルチル、何かお兄様に言われてなかったっけ?』


『ステラもそう思う?

この事で何か大事な事言ってたよね?』


『『………………あ!大事な事だから、お父様にもお母様にも、じいちゃや、ばあちゃ達にも内緒だった!』』


ステラとルチルは大事な事を思い出したが、時すでに遅くドライト達のお仕置きは始まってしまったのだった!




「おおお!?酷い目にあいましたよ!?」


「お、お尻が……普段ドライトはこんな痛い思いしてたのね!?」


「しかもドサクサ紛れにドライト大将にも逃げられました!

今からでもまた捕まえられないかしら?」


「いや、サルファ姉、流石に諦めろよ……ううう、いてえ!」


「………………!?……私は生き残ったのか……あの地獄を!」


お仕置きが終了し、ドライト達が尻を抱えて転がっているとそれを見てセレナが言う。


「まったく、キャロちゃん達が可愛いのは分かるけど、神にホイホイさせようとしちゃダメでしょ!」


そう言われてドライト達はうなだれて言うのだった。


「ううう……キャロ達に何かあったら心配なのですよ……

ん?ホイホイがダメなら厳選して、選びに選び抜いたキャロ達は良いと言うこと[バチーン!]ギャアァァ!?」


ドライトの言葉にシリカ達は喜び顔を上げると同時に、ドライトが強烈な一撃を尻に食らっているのを見て、慌てて顔を下げたのだった。




結局、さらにお説教をされたドライト達がショボくれて帰ろうとしたのだが、急にドライトは壇上に上がり話始めた。


「大事な事を忘れてました、魔導の深淵や魔法と魔術の秘法の解説です!」


ドライトが急に先程の解説をし始めたので、学園長達教師陣にキャロリン達などの生徒達は慌てて議論を止めて席に戻る。


セレナ達はドライトを怒ろうとするが、ドライトに


「中途半端ではあまりにも可哀想です、それに大したことは教えませんし安心して下さい」


そう言われて、しぶしぶ席に戻るのだった。


「では、良いですか?

最初に私は魔法と魔術陣に魔導具を使って姿を消していました。

これが魔法と魔術の秘法の1つです。

以外に思うかも知れませんが使い方を間違えなければ、魔法と魔術を重複させても問題なく使えるのです!

詳しくは[魔法と魔術の違いと使い方]の一般人にも開示許可の出ている部分を読んでください!」


ドライト達がお仕置きされている間に学園長がレムリアに何処まで開示して良いか指示を受け、その部分の写本を作って開示したのだが、ドライトがそれを見ろと言うのだった。


「そして、光るだけの魔導具が魔導深淵の1つと言う事の意味ですが、あの極限まで無駄を削った物は芸術とも言えます。

理由が知りたいならストス先生の魔導具の授業に行き、この魔導具を改良することに挑戦してみれば解りますよ?

魔法も魔術もどれだけ無駄な部分を削るかで必要な魔力などが違うことは皆さんも理解出来るでしょう?そう意味です!」


ドライトの言葉にクリスティーナを筆頭に教師達は驚き目を見開き、顔を見合わせている、そんな中でも名指しで言われたストスは、


「なるほど……無理に言葉で説明するよりも実際に触らせてみた方が早いか……」


っと、うなずいているのだった。




「最後に、魔導の深淵にして秘法を、少しお見せしましょう!」


ドライトがそう言うと出しっぱなしだった光る珠が動き出す、珠はドライトの周りを回転しながら回り始める、そして少しすると光る珠はスゥーっと消えてしまったのだった。


そして珠が消えると同時に大講堂の壁が爆発した!


「見つけたぞ、ドライトよ!神罰を大人しく受けるがよいぞ!」


「あなた、私達のご飯どうしたのよ!?」


「起きて食堂に行ったらロッテンドライヤー女史が居て、食いつくしてたんだけど!?」


「朝だけじゃなくて、昼の分におやつまでもよ!?」


「飯だ!飯を出せ!!」


「禿げも大事だけど食事も大事なんだからね!?」


現れたのはユノガンドとエルナルナ達だった、全員がフル装備で殺気だっている!


「へ?あの人達は何をあんなに殺気だってるの?」


「ロッテンドライヤーって、旦那様はそこに居ますわよ?」


「指揮個体をまた増やしたんじゃないの?」


「……あいつら、寝てたから……飯を食い損ねた!」


「寝てたので食事が冷めてしまうと思ったざます、それだと作ってくれた方に悪いと思って食べたのざますが、ダメだったざますか?」


「うお!?」


「「ドライヤーねえちゃ!」」


突然に現れたロッテンドライヤーにカーネリアが驚き、ステラとルチルが嬉しそうに抱きつく。


「ドライトったら、本当にまた指揮個体を創っちゃったのね……」


「また怒られますわね」


「私の役目はステラちゃんとルチルちゃんのお世話ざますわ、指揮なんかしないざますわよ?」


「へ?」


「「にーちゃがいないときにさびしくないように、にーちゃがつくってくれた!」」


「なるほどねぇ……っておい!」


「は、放すざますわ!スカートを放すのざますよ!?」


ロッテンドライヤーから一瞬目をはなした隙に、ロッテンドライヤーのスカートをアンジュラが脱がそうとしていた!


「……女かどうか調べる……脱ぐべし!」


その言葉を聞いてシリカ達は顔を見合わせると、アンジュラに協力し始めるのだった。




「なんか向こうがえらい事になってるので、さっさと始末をつけるのですよ!」


「「「かかってこい!」」」


「お主ら、わらわを盾にするでない!」


エルナルナ達は殺る気だ、誰をかは分からないが……!


盾にされているユノガンドがギャーギャー騒いでいる間に、光る珠はエルナルナ達の背後に回り込むと姿を現す。


「くらえぇぇぇい!」


ドライトの雄叫びと共に、光る珠から光線が放たれる!


[ジュ!]


「「「「「アチイイィィ!?」」」」」


「……また私だけスルーか!」


光線は的確にユノガンド達の尻を撃つ、何故かチエナルナをスルーして!


「な、何故じゃ!?何故わらわだけが両尻に攻撃されるのじゃ!?」


余ったチエナルナの分はユノガンドの尻を攻撃している、2つで右尻と左尻の片方づつを……


「余ったからですよ!ヒャハー!」


逃げ回るユノガンド達を光る珠は追いかけ、光線で尻を焼いている。

そうこうしているとメルクルナがドライトの前を走り抜けた。


「ヒャハーー!……ヒャハァ!?」


メルクルナが走り抜けた結果、メルクルナと光る珠の射線の間にドライトは立つ事になり、もろに光線を受ける。


「あっつ!?熱いですよ!?」


ドライトは走り回り、ユノガンドやエルナルナ達をはね飛ばすのだった。




「あれはダメですね、教えてもらえそうにないです……」


「でも凄いです!エルナルナ様の攻撃を防ぎましたよ!」


「攻防一体なのですわね?

魔法が得意なメリルルナ様の魔法攻撃も跳ね返しましたわ!」


「ってか、自動で目標を追うのね?

……あれ?目標を変えた?」


「光線を擦り付けると、擦り付けられた相手を追うのか、面白そうだね!参加する!?」


「いや、セイネさん、あの光線を私達が受けたら即蒸発しちゃうと思いますよ?」


キャロリン達は心配しつつ、魔導の深淵を少しでも知ろうとドライト達を見守る。


「あつ!あつ!このおでんあつう!?」


ドライトは光線を受けながらおでんを食べて熱がってる。


「お主は本当に熱いと、あちゃあぁぁ!?」


「ユノガンド様、龍がこの程度の熱で熱いと感じるわけないじゃないですかあぁぁ!?」


「ちょっと!こっちに来ないで熱いってばあぁぁ!」


「うおぉぉぉ!この珠を壊すのよ!壊せばあちゃあぁぁ!?」


「この珠、どういう原理か解らないけど、攻撃を弾いたりするし、壊れたと思っても復活するんだけどおぉぉぉ!?」


「ふははは!逃げ惑え!私の手のひらで逃げまどおぉぉぉ!?本当にアチイイィィ!」


逃げ回るドライトやユノガンド達を見て高笑いしていたチエナルナに、全員が珠を擦り付けると絶叫が響き渡るのだった。


その声を聞きながらキャロリン達に学園長達や生徒達は、光る珠の謎を解明しようと見つめるのだった!




「スカートを取られたざます!?」


「よし!見せるのよ!」


「って、あら?」


「なんだこれ?」


「……下にジャージを着てるのは……卑怯だ!」


一部関係ない事で揉めている人達を除いて……

お読みいただきありがとうございました。


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