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転生龍の諸国漫遊記!  作者: バリ君
子龍編
56/174

アレクス観光 降臨編


【ドライト様、10分経ちましたよ】


お、なら休憩は終わりにして続きを見るか!


【続きを見たら、皆さんどんな反応をするか……非常に楽しみですね!】


ちゃんと録画しとかなきゃだな!

あひゃひゃひゃひゃ!


【うひょひょひょひょ!】




「おのれ!どこに逃げましたか!?」


「ここまで真っ直ぐでしたから、近くに居るはずです!探すのですよ!」


「アラトロン!出てきなさい!

今なら本気で殴るだけで勘弁してあげますから!」


「と言うか、狭いですよ!?」


続きの上映が始まると、ドライトヒロシ探検隊はいまだに地下空間でアラトロン達を探しているようだった。

しかし、そこは少し広くなっている行き止まりで探検隊員達でいっぱいになってしまっているのだった。


「お、おのれ……どこに隠れたんですか!?」


ドライトヒロシ隊長は周りを見回して、探すが行き止まりにしか見えないこの場所に、アラトロン達の姿は見えない。


「皆さん、静かに!」


「ドライト総統!?」


「あのアホ達の為にわざわざ……!」


ドライト総統が現れて一瞬ざわつくが、ドライト総統が周囲を調べているのが分かり、探検隊は静まりかえる。


「……そこです!オ~ォ……オアタァ!」


右側の壁に注目したドライトが本気で拳を繰り出すと、右の壁とその先が100mほどが消えた、消えた先に人1人がなんとか通れる通路が現れる、それを見たドライトが叫んだ!


「あのアホ共、こんな隠し通路を用意するとは……!

絶対に許しません!追撃です!必ず捕らえるのですよ!」


そうドライトが叫ぶとドライトヒロシ探検隊が通路に殺到する!

が、人1人がやっとの通路に5000を越えるドライトヒロシ探検隊が殺到したために、詰まってしまった。


「な、何をしているんですか!掘るんですよ!掘って道を拡張しながら追いかけるのです!」


「なるほど、流石は総統閣下ですよ!皆で掘りましょう!」


そうドライトヒロシ隊長が言うと、ドライトヒロシ探検隊員はシャベルやスコップを取り出して、掘りながら進み始めるのだった。




「……え?か、壁が消えました!?」


「な、なんで!?壊したとか、爆発とかなら分かるけど、なんで消えたの!」


「アレナム、ドラ公が本気で殴ったんで、分子レベルで壊れたんだよ」


「リア様、シリカ様や他の龍の方々でも出来るんですか?」


「レイナ、私達ならブレスでなら可能よ?……ディアン様やセレナ様なら出来ると思うけど」


「え?え?え?で、でも、壁の後ろの方の岩とかも……え!?」


「キャ、キャロも見た事ないの?」


「は、はい、セイネちゃん、私の見間違いじゃないですよね!?」


「皆さん、落ち着きなさい、ドライトさんの力の一端よ?でも、正直私達もここまでとは思わなかったわ……」


「うん、看破の魔眼でも分からない事が世界には色々有るとだけ解りましたわ!」


「……ドラちゃん、……やり方教えて?」


「力を込めて殴るのですよ!」


「「「………」」」


キャロリン達は大混乱だが、シリカ達はどうやったのか見極めようとしているようだった。

そんな中、画面の中ではドライトの言った通りにドライトヒロシ探検隊が掘って通路を拡張して進んでいた、ただそのスピードが尋常ではない速さで進んで行きあっと言う間に1キロ以上を進んで、広い通路に出ると一斉に走り始めるのだった。




そして別の通路に画面が切り替わると、アラトロン、ファレグ、べトールが全力で走って逃げていた。


「ハァハァハァ……うぉ!な、なんか尋常じゃない力を感じたぞ!?」


「お、おい、べトール!さっきの隠し通路、埋めてふさいだよな!?」


「あ、ああ、突破されたようだ、この力はドライト様本体がいらっしゃるんじゃないか?」


「げ!な、なんでドライト様が!」


「よく考えたら、分身体と本体は繋がってるんだから手を抜いたりしたら、バレるんじゃ……」


「べ、べトール!そう言う事はもっと早く言え!し、しかたない天使族に支援を求めよう!」


「ハァハァ……ア、アラトロン、あいつ等が来るか?」


「天使族の野郎共が俺達だけ置いて行かれたと、泣いていたから呼べば来るんじゃないか?」


「よし……!だましてでも呼ぼう!……ん?なんだ?」


「この先に何か、居るな……?」


「おい、2人とも、そんな事より……」


「な、なんだべトール!」


「前にかなりの力を持つ奴が居るんだ、気になるだろ!?」


「ドライト様にかなり追いつかれたぞ、そんな事はほっといて全力で逃げるべきじゃないか?」


「げ!ぜ、全力で無心で走れ!」


「うおぉぉぉ!俺は鯖だ!鯖になるんだ!」


「ファレグ、なんで鯖に……」


「鯖は足が速いって有名だろうが!」


「「ち、力が萎えてスピードが……!」」


アラトロンとべトールの速度が落ちると、ファレグは加速する、それを見た2人は、


「お、お前、今のわざとか!?」


「アラトロン!こいつ俺達を生け贄にする気だぞ!?」


「うおぉぉぉ!お前達の事は忘れない!さらばだ!」


「「まちやがれ!」」


こうして、3人は絶望的な逃亡を続けるのだった。




「こ、このアホ共は……!」


「協力しようって気は無いのかしら?」


「逃げるにしても、助け合えよ!」


「……頭の教育もするべき」


「「オクねーちゃんをおさにしよう!」」


「ステラちゃんとルチルちゃんの言うのがもっともなんだけど、ドライトもアラトロンが長って認めちゃったのよ」


「「にーちゃがみとめてるなら、しかたがない……」」


「ドラ公、本当にこいつ等の序列下げた方が良いんじゃねえか?」


「一応他の者達よりこの3人が、力はまだまだ上なんですよ、それが慢心に繋がってるのかもしれませんが……」


などと話していると映像の中でアラトロン達は広い空間に出た、そこには100人ほどのローブを着たフードで顔を隠した人物が居て、突然走り込んで来たアラトロン達に驚いている。

アラトロン達もフードで顔を隠した相手を見て一瞬戸惑るが、背後に迫るドライト達の気配を感じたのか、居た者達や荷物を避けて全力で走り抜けると、地下通路の奥に走って行ってしまった……


「……お、追え、なんだ!?」


怪しさ全開のローブ達の中で色違いの漆黒を着ていた3人が指揮官だったらしく、追えと言った瞬間地響きが響いた。

慌ててローブ達が音のする方、アラトロン達が来た方向に向き直ると、ドライトヒロシ探検隊が怒涛の勢いで向かってきていた、しかも何故か5m程のサイズで、


「い、いかん!逃げよ!」


「逃げる場所が!……ギャアァァァ!」


「うおぉぉぉ?……グワアァァァ!」


「た、助け!……うわあぁぁぁ!」


「お、おのれぃ!……ヒイィィィ!」


「な、なにぃ!?……グェェェ!」


5mサイズのドライトヒロシ探検隊にローブ達は次々と踏みつぶされて死んでいく……しかしドライトヒロシ探検隊はそれを気にせずに進む。


「なんか、踏みましたか!?」


「そんな事よりもあいつ等は何処です!?」


「走りにくいですよ!」


「アホを捕まえる邪魔をする者達は排除です!」


次々と踏みつぶされていくローブ達だったが、奥に居た何人かと漆黒のローブを着た3人が回避に成功したが、次の瞬間にドライトヒロシ探検隊の持つ武器でボコボコにされてしまう、そして倒したローブの上をわざわざ踏んでドライトヒロシ探検隊はアラトロン達を追いかけて行ったのだった……


「お、おのれえぇぇぇい!」


全滅したかと思われたローブ達だったが、漆黒のローブを着た3人組は息が合った様で、その中のローブに気味の悪い紋様が書かれた者が怒りの声と共に起き上がろうとしている、そして同時に体がみるみる大きくなり、正体を現す!


その姿は巨大で丸く、三つの足と三つの腕で首がない怪物で、体全体に数個の目がある、化け物だった!




「こ、こいつ、アサグだ!」


「メルクルナ、知り合い?」


「知り合いなんかじゃないわよ!

こいつは強力な魔神の1頭で、原始の神々にも指名手配されてる大物よ!」


「……龍神様か原始の神に……通報する!」


「で、でもメルクルナ、なんで指名手配なんかされてるんだよ?強いっちゃ強いけど、指名手配されるほどじゃないぞこいつ?」


「こいつは、病気を撒き散らしたりするのよ!それに薬関係にも強くて、それで滅ぼされた世界が数百も有るのよ!

それに護衛としてかなり強力な邪神が2体ついてる……あの倒れてるのがそうよ!」


「病気に……薬に強いって……魔薬!」


「「「………あ!」」」


メルクルナの話を聞き、サルファが魔薬との関係に気がつき発した言葉に、全員も何故魔薬と言う薬が現れて、驚異的なスピードで蔓延し始めたか気がついた。


「おのれ、龍の産卵地の有るユノガンドに現れるとは良い度胸だ……!」


「その薄汚い姿を我が子達に見せるとは、決して逃がしません……滅ぼしてあげます!」


今まで静かにしていた、ディアンとセレナは怒り凄まじい力を出し始める……!

と、同時にステラとルチルが叫んだ。


「「あ!にーちゃだ!」」


その言葉に全員が映像を見直すと、立ち上がろうとしているアサグに凄まじい勢いで突っ込んで来たドライトが、叫びなが3節棍を叩きつけた!


「調子にのって分身体より大きくなったら、詰まって出遅れました!

む!?邪魔ですよ!オリャアァァ!」


[ドガアァァァン!]


「ギャアァァァ!」


ドライトは分身体より大きい、10メートルほどだった、そしてそのせいで通路の狭い所に引っかかり出遅れたようだった、なんにしろ、走ってきてドライトはアサグに振り回していた3節棍を叩きつけた!


「グウゥゥ、き、きさまあぁぁ!」


「むぅ!?魔神の分際で耐えるとは生意気な!

オリャリャリャリャ!ふぉぉぉ……リャアアァァァァ!」


一撃は耐えたアサグだったが、ドライトが振り回す3節棍によりボコボコにされてしまい、止めとばかりに渾身の一撃を食らってしまう。


「ギャアァァァ、こ、こんなところで……バカなああぁぁぁ!」


アサグの体は霧の様に消えると共に魂だけになる、それをドライトはサッと金剛石の宝珠に入れるとニコリと笑って言う。


「アホ共に追いつけずにイライラして思わずやってしまいましたが、問題ないでしょう!

それにしても、中々の魂ですよ、どんな実験に使いますかね!」


[ドコォ!][バキィ!]


「グワアァァァ!」


「ギエェェェ!」


何時の間にか復活していた漆黒のローブを着た邪神2体が、ドライトに攻撃するが、結界に弾かれパンチをした邪神は手と腕が、蹴りを放った邪神は膝から下が消滅してしまった。


「……せっかく、中々レアな物を手に入れて良い気分ですのに、無粋な者達です!ホァチャチャ!」


ドライトは偽装を解き、真の姿を見せる!

その姿を見た邪神は達は……


「りゅ、龍……!?」


「し、しかも、この力は……!?」


そう言い、驚き慌てて逃げ様としたが、


[トストストストストストストストストストス………………!]


「「グエエェェェ!?」」


ドライトが放った無数の匕首に貫かれてやはり肉体が滅び、魂だけになってしまう……それをドライトが宝珠に回収すると3つ並べて、ニコニコと嬉しそうに笑い座り込んで眺めはじめてしまった。




そして、メルクルナや龍達だけでなく、キャロリン達やアンディ王太子など全員が呆然と映像を見ている、ステラとルチルだけは、「「おお〜!」」と手をパチパチと叩いて、喜んでいるのだった。


「さすが、にーちゃ!」


「にーちゃ、つよい!」


「ド、ドライト、アサグを討伐しちゃったわよ……」


「だ、大金星よ!逃げ足が速くてそこそこ強いし、護衛はかなり強いから、討伐は難しい。

って言われてたのよ!」


「さ、流石はドライトさんですわ!」


「しかし、あの護衛達、攻撃したのに自分がやられてたな?」


「ドラちゃん……変な結界を張ってた……」


「アンジェ様、私には2枚の結界を重ねるように、張っていたように見えましたわ」


「リティアの魔眼も誤魔化してるのですね、私は3枚は張ってたと思いますわ?」


「うーん、俺は4……5枚にかけるぜ!」


「以外と2枚だけ……かも……」


「大穴で8枚とかどう!?」


「シリカさん、賭け事だなんて……10枚でどうよ!?」


などと、メルクルナとシリカ達は賭けを始めたが、レイナが言う。


「シリカ様、正解をどうやって数を知るのですか?」


「ん?それなら簡単よ!

……キャロちゃん聞いてみて?」


そう、シリカは言うと周りの皆は「えー……」っと、自分で聞かないのかとガッカリしているが、シリカに「ならあんた等だったらどうするのよ!」と、言われて静かに目を反らすしかなかった。


なんにしろ、キャロリンがドライトの前に進み出る、ドライトはステラとルチルと一緒に、魔神と邪神の魂を封じ込めた宝玉を手拭いで綺麗に磨いていた。


「あ、あのドライト様、今良いですか?」


「どうしましたか?ああ、宝玉が見たいのですか?私が磨いてるのが魔神ので、ステラとルチルが磨いているのが邪神のですよ!

中々の物です!どんな実験に使うかで今から悩んでいますよ!」


「え、えっと、それはそれで心配ですし、興味が有るんですが、先程の映像で邪神の攻撃を受けた時の事なんですが、どんな結界を張っていたのですか?」


キャロリンにそう言われて、ドライトはチラッとシリカ達を見る、目と言うか顔を背けているのを見てドライトはため息をつきながら答えた。


「まったく……キャロに聞かせるなんてずるいマネを……まぁ、良いでしょう。

種類は15で数は38枚です、戦闘用パターン7で大した相手では無かったのでそれで済ましました」


そうドライトが言うと、シリカ達だけでなくリティアやアンディ王太子達も驚いている。


「ちょ、ドライトさん!種類もだけどその数は何よ!それにパターン7って、何種類かパターンが有るの!?

それに大した相手じゃないから済ませたって、もっと強固な結界のパターンが有るって事!?」


そう聞かれて、ドライトは少し考えてからメルクルナに7冊の本を渡す、続いてセイネ達も手招いてキャロリン以外の4人にも7冊の本を渡す。

それを見ていた、キャロリンが気がつく。




「これって、私がドライト様に授けて貰ったのと同じ本ですか?」


「へー……キャロちゃん、こんなの貰ってたの?

で?これが結界と何の関係が有るのよ?」


メルクルナはそう言って1冊づつ見始める、セイネ達は興味津々でそれぞれ興味のある本を見ていた。


「こ、これって、[武術を極めよう!]す、凄い本を貰っちゃったわ!」


「[生活魔法の活用術]と[楽しい偽装]……早速見なきゃ!」


「皆さん、[祝福、加護、守護の違いと使い方]に[力の抑え方と使用方法]から見なければでしょう!」


「[魔法と魔術の違いと使い方][魔道具の作り方と使用方法]……す、すっごい!ちょっと見ただけだけですけど、凄い内容だわ!」


すると、ステラとルチルも取り出して、嬉しそうに掲げて見せる。


「「にーちゃにわたちたちも、もらってるの~!」」


「キャロちゃん達だけでなく、ステラちゃんとルチルちゃんも、貰ってるの?……なんか有るって事ね、これに」


そう言って、メルクルナがステラとルチルを見ていると、ステラとルチルは意外な行動に出る。


「にーちゃのけっかいのことをしりたいなら、こーするの!」


「だいじなことだから、ほかのひとにはないしょだよ~!」


そう言って、本を重ねていき、「「けつごう!」」と、言うと、7冊の本が1冊の本になる、、、

表紙には何も書かれておらず、中も真っ白だ、だがステラとルチルが「「けっかいについておしえて!」」っと言うと、本が輝き[結界術についての理論と実践]と表紙に現れた。


ディアンとセレナは「あまり世に広めないでね?」「まぁ、簡単にマネできるとは思わんが……」っと言っている。

何にしろ、皆でステラとルチルの本を広げて見てみるとそこに書かれていたのは、




結界術についての理論と実践について、全ての本を読めば結界術についても理解が深まると思うが、ここではさらに結界術の発展型とも言える事について触れる。


結界術は防御に必要な大事な技術であるが、その展開と維持、コントロールはかなり難しい。

その理由が流し込む力の量の調整だ、例えば同じ物理防御用の結界だけを2枚3枚と展開するのは難しくない、だが同じ物理防御ではなく、違う物理系の防御結界を展開するとなると、わずかだが流す力の量に差がでる、これが魔法用の防御結界と物理用の防御結界を同時に展開するとなると、流す力の量が極端に変わり難易度が跳ねあがるのだ。


原始の神々で、特に強力な者の1柱が10種類、23枚の結界を展開した者が居るそうだが、維持だけで動けなくなってしまったらしい。

それほど難しいのだ、だが、解決方法が無いわけではない。


結界の展開方法と構造を変える事で解決する事ができる、その構造と理論について説明しよう。


どの様な構造で展開するかと言うと、多層構造にツリー構造を合わせて展開するのだ、この構造にする事により結界の魔術陣がツリー構造で連結され、強化されると共に魔術陣に出力調整を組み込み、力の流れを自分でコントロールする必要を無くす、また極薄の多層構造にする事で敵の目を欺く事が期待できる。


次に理論についてだが、多層化してツリー構造にした結界術の立体映像を見てもらいたい。

ここで最初に見るのは、一番内側の結界の魔術陣なのだが、見て分かる通り力の制御とコントロールのみとなっており………




「な、なんだこれ!」


「……凄い……結界術の連結なんか……普通は考えつかない!」


「こ、これで私達も、先程ドライトさんが使っていた様な結界術が使えるのですわね!」


「せ、設置型についても詳しく書かれてい……ド、ドライトが作った術式まで載ってるわ!」


すると、目を皿のようにして本を見ていたメルクルナが探していた部分を見つけた。


「こ、これってさっきの!」


「なによ、メルクルナ……あ、戦闘用パターン7!」


「攻撃型……防御結界……?」


「どれどれ、ウゲ!嫌な結界だなこれ!」


「ええ、敵には普通の結界に見えるように偽装して、攻撃を受けると反射して敵に返す……しかも、ドライトさんの力で増幅して」


邪神が何故あんな事になったかをシリカ達は理解して嫌そうな顔をしていると、メルクルナが気がついた。


「……ん?これってまさか、結合されたこの本に結界だけじゃなく、他に見たい技術を聞けば色々分かるって事!?」


「メルクルナさん、正解です、ただしこの本を誰でも彼でも見せない様にお願いしますね?」


「え~良いじゃん!ユノガンド様にアサグ討伐の報告のついでに、この便利な新結界式を報告すれば、私の評価も上がるんだし!」


「なんであなたの評価の為に私の技術をさらさないといけないのですか!?

この新結界術は私達家族以外には、あなた達しか見せてないのですから、他の人達には教えてはなりませんよ!」


「この、ケチ龍!少し位は良いじゃないのよ!」


「ケ、ケチ龍!?この駄は、本当に言い度胸ですね!?」


「駄!?か、神を付けなさいよ!」


メルクルナは怒ってドライトにつかみかかる、ドライトは迎撃とばかりに3節棍を取り出して振り回す!


すると、メルクルナは神剣を取り出して打ち合いになった。


「ヌリャリャリャ!」


「おりゃあぁぁぁ!」


[ガキン、ガンガンキン!]


「おお!?メルクルナのやつ、ドラ公とまともに打ち合ってるぞ!?」


「あら!メルクルナさんったら腕をあげましたわね!」


「……駄、いきなり……強くなった?」


「うーん?……あ!メルクルナったらユノガンド様の加護もらってるわ!」


どうやら、メルクルナはユノガンドの加護を授かったようで、ドライトとも打ち合えるほどに強くなっている。

それにシリカが気がつき、言ったのだった。


「な、なんですと!?

メルクルナさん、あなた……見てる物を他の神々とリンクする事が出来ましたね?」


「げ!なんで知ってるのよ!?」


「ユノガンド様にもう報告済みと言うことですか、許しません!私の本気の攻撃を食らいなさい!」


「か、かかってこいや!」


ドライトは3節棍を放り出すと、構えをとる……!




「そ、その構え……鷹券か!?」


だが、ドライトは手を広げ、腕と指を曲げてメルクルナに向ける!


「ドライト拳法奥義、猫拳法!にゃあぁぁ~……!」


「ね、猫拳法!?そんな変な拳法に負けてたまるか!」


メルクルナも構えをとると、ドライトが音もなくメルクルナに肉薄すると、


「にゃにゃにゃ!」


ドライトはメルクルナが構えている神剣に、まるで爪研ぎをする様に爪をふるう!


[スパスパスパ!]


「おおおおお!?な、何この切れ味!!」


ドライトの爪が剣に触れると、まるで豆腐を斬るように神剣も切られてしまう、しかも何かしらドライトがしてるのか、神剣にメルクルナが魔素を注いでも剣が生えてこない。


「ふにゃあぁ~……にゃ!」


次いでドライトが飛び蹴りを放つが、距離が有ったので届かない、かと思われた次の瞬間、メルクルナが吹っ飛んだ。


「ギャアァァァ!?」[ドガ!]


壁に叩きつけられたメルクルナはなんとか起き上がると、メルクルナは慌てて神槍を取り出して構えるが……


「にゃお~ん!」


ドライトが放った猫なでパンチにより、槍は手元から吹き飛びバラバラになってしまう。


「あああ!?し、神槍までえー!?

……ん?ギャアァァァ!く、来るなあ!」


ドライトは武器を失ったメルクルナに、にゃーにゃー言いながら、近づいていく。

慌てて逃げるメルクルナだか、ドライトに回り込まれてしまい……


「にゃにゃ!」[バシバキン!]


「あんぎゃあ~!」[ドカン!]


メルクルナは再度、殴り飛ばされて壁に叩きつけられてしまう。


「うう……ゲフ!」


メルクルナの口から赤い物がこぼれる、それを見てシリカ達は驚き慌てる。


「ちょ、ちょっと、ドライト!まさか本気じゃないでしょうね!?」


「メルクルナさん!一旦引いて、ドライトさんが落ち着くのを待って!」


「ドラ公!やりすぎだ!」


「……ドラちゃん……今のうちに止めを!」


なんか、1人がヤバイことを言っているが、それに反応したのかドライトがメルクルナに近づいていく……次の瞬間!


「……にゃ、にゃ!?」


[ドカーン!]


ドライトの立っていた場所に魔法が炸裂した!




「だらしないぞ、メルクルナ!

わらわが助太刀するから頑張るのじゃ!」


そう言いながら魔窟の建物の屋上から、金髪をツインテールにしている美幼女が、ドライトとアンジュラを睨み付け飛び降りてくる!


[チャポン!]


そして、ドライトが作った酢球に飛び込んだ!


「ガボォ!?ゴボゴボ……!」


「こんにゃちわ、ユノガンド様!

何しに来たにゃ?」




こうして、駄神のボスが何故かやって来たのだった。

お読みいただきありがとうございました。


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