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初恋と彼氏

 次の日学校へ行くと、会議に参加していた7人の女子達がニヤニヤしていた。




「はい。

 分かります。報告します。

 真田君と付き合う事になりました。」


 私がそう言うと黄色い悲鳴が沸いた。




 冴子ちゃんは真田君の気持ちに以前から気付いていたらしい。

 同じクラスで私の友人という事で、どういう女子かと探られたりしたのだとか。


 そして会議で私の話を聞いた瞬間に心の中でガッツポーズを決め、テニス部の女子とバス停作戦を練り、真田君の背中をガンガン押してくれたようだった。


 とても気恥ずかしかったが、とても嬉しかった。




 お礼としては貧相だが、購買で冴子ちゃんとテニス部の女子にジュースを買ってきた。

 すると会議参加者達に

「自分も心の中で応援してたし!」

といった具合にたかられ、何か違う気もしながらさらに5本のジュースを追加で買った。


 それを見た冴子ちゃんが

「女の嫉妬は大変だからね。」

と笑って言った。




 この時は分からなかったのだが、そのうち私は色んな意味でこの女の嫉妬というやつにかなり苦しめられる事になる。




 しかし大好きな彼氏ができたものの、どう付き合えば良いものか悩んだ。


 私も彼も運動部で遅くまで練習するので、放課後にデートをするのは難しい。


 休日も私の部は午前練習で、サッカー部は午後練習だ。

 冴子ちゃんと山崎君は部活動が同じだからずっと一緒なんだ、ちょっと羨ましいなと思った。


 せめて帰る方向が同じなら良かったのに。






 とりあえず私は幸に会いに行った。


 そもそも幸のクラスに出入りしていなかったらこうはならなかった気がして、親友である幸には報告義務があると思ったのだ。


 隣のクラスへ行くと真田君は窓際で男子同士で固まっていた。

 ちょっと目が合ったのだが、緊張のあまりすぐに目をそらしてしまった。

 また間違ったかなと後ろ髪をひかれながら幸を連れて廊下へ出た。




 幸に報告すると、幸はこれでもかという程笑った。


 幸は冴子ちゃんより随分詳細に真田君と私の事を話していたようだった。

 そして幸は私がまだ恋心を知らないのも見抜いていた。

 自分の友人二人がうまくいかないかなと思いつつ、下手に刺激したら危ないかなと悩みつつ過ごしていたらしい。

 そのせいか、これまでの私と幸の会話には恋ネタがほとんどなかった。


 それが急展開で電撃報告をされて笑ってしまったらしい。




「真田君は口数少ないけど良い人だと思うよ。

 私も好きな人がいて、その人のことで相談にのってもらっているよ。」


 幸に好きな人がいた事に驚き、その相手が昨日真田君から聞いた名前であった事に驚き、話してくれた幸が凄く可愛く見えて悲鳴をあげそうになった。

 いや実際には抑えきれずに少し悲鳴が漏れた気がする。




 しばらくすると真田君が廊下に顔を出してこちらへ来て

「報告終わった?」

と言うと私に紙切れを差し出した。


 受けとると中には電話番号が書いてあった。


「夜9時30分以降なら大抵電話に出られるから。」


 私は

「どうやって付き合うか」

について問題の一部解消が見えた嬉しさと、幸の話を聞いたドキドキと、真田君と学校内で初めてちゃんと会話をしているドキドキで、脳内がお花畑になった。


 身長157センチの自分から見ると、168センチの彼は目線が少し上にくる。

 そういえば会議で知ったのだが、女子の間では自分と15センチ差以上の男子が人気で求められる傾向があるようだったが、なぜなのかよく分からなかった。




 などと考えていたら

「いよっ!童顔カップル!」

と大谷君がちゃかしてきて

「うるせーよ!」

と言いながら真田君はそちらへ行ってしまった。




 幸が

「二人お似合いだと思うよ。」

と笑って言ってから

「わたしも頑張るかなあ。」

と頭の後で腕組みをした。




 初めて童顔で良かったと思った。

 ゲンキンなものだが、つまりそれが恋のなせるわざだと思う。


 私は週に何回か真田君と電話をするようになった。

 お互い部活動が終わって帰宅すると疲れてボロボロなので、あまり長話はできなかったが、それでもその時間はかけがえのないものだった。






 数日後、幸にも彼氏ができた。

 相手は幸のクラスメイトで、先日真田君から協力依頼されて、幸が好きだと言っていた男子だった。


 幸は凄く幸せそうで見た事が無い程の可愛い顔をした。


 恋って凄いんだと改めて思った。




 幸の彼氏は野球部の人だった。

 野球部は部活動が割と盛んな我が高校の中で、最も練習が厳しい部だ。


 幸は彼氏の部活動が終わるのをいつも私と待っていた。

 二人は帰り道が同じ方向なので、一緒に帰る後姿をよく見送った。


 見た目がボーイッシュな幸は、男くさいほど男らしい彼氏と凄くお似合いだった。

 二人の身長差は丁度15センチだった。


 私はこの時初めて女子がこだわる15センチが少し分かった。

 ウェディングドレスのヒールをはくと身長差が15センチはないと見た目がどうこうなど諸説あるのだが、一番は男性らしく女性らしく見える良いバランスが15センチからのようだ。

 このような二人を見て、自分もそうなりたいと憧れるのだろう。




 私は身長に拘りを持たなかったが、その二人を見る度に真田君と釣り合うように可愛くなりたいと思い奮起するのだった。






 これが一年生の終わり頃だった。

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