約束の証
拓也が...死んじゃった。
私は葬式の間も拓也の死を受け入れることができなかった。
最後に花を添えるとき、私は拓也の顔を見ることができなかった。
おばちゃんが私に指輪を渡してきた。
ちょっとサイズの大きい指輪。
私の薬指についているのと同じ。
約束の証と最初にくれたプレゼント。
「今、拓也の指からとったの。もらっといてくれる?」
おばちゃんは泣きすぎて腫れた目で言ってきた。
「はい。いただきます。」
私はそう言って葬儀所をあとにした。
私はある場所に向かっていた。
バスに乗って30分。
着くとあのときと変わらない風景。
ここから始まったんだよね。
「拓也...」
私は景色を見ながらいっぱい泣いた。
「なんで!!
約束したよね!?
帰って来るって言ったじゃん!!
あんたの帰る場所はここでしょ!!
どこいってんの?
また動物園行くって言ったじゃん。
今度は二人で海にも行こうって約束したじゃ ん!!
まだまだ行ってないとこいっぱいだよ?
早く帰って来てよ...
いつもの笑顔見せてよ...
なんで?...なんでなの...」
私は泣き叫んだ。
「桜!!もういないんだよ...あいつはもう...」
私は誰かに抱き締められた。
その誰かはすぐに分かった。
「智兄...私...もし神様がいるなら、一発殴って
やりたい。拓也が何か悪いことしたの?」
私は子どもみたいに泣きまくった。
智兄はその間ずっと抱き締めてくれた。
私が泣き止んだとき、智兄は1つの箱を出した。
「おばさんから渡された。拓也から桜へのプレゼントだったんじゃないかって。」
私は震える手で箱を開けた。
そこには小さなハートのネックレスが入っていた。
「バカ...」
私はもう必要の無くなった「約束の証」を大事に握りしめた。




